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ZARD『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』(後編)

どーも、ゲッティです。27日。坂井さんの月命日ですね。

いつも寄り添ってくれるZARD/坂井泉水さんの歌、詞に感謝です。恩返しに少しでも皆さんにも興味を持っていただけたらと思い、曲紹介をします♪

引き続き『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』をご紹介!

大好きな曲のため、文字数がとても多くなってしまいました🤣
前編では好きになった理由や坂井さんのこの曲への思い入れを綴りました。

今回の後編では、好きな詞やストーリー性、楽曲そのものについて投稿します。

この曲の好きな部分を語るため、今回も自分語りが多くなってしまいますが、ご容赦ください。自分の考えや解釈を押し付けるつもりはありませんし、違和感を覚える方もいらっしゃるでしょうが、「そんな考え方もあるんだな」程度に思っていただけたらと思います。各々の感じ方や曲と結びつくご自身の思い出を大切にしていただけたら幸いです✨

音楽としての『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』

作曲された織田哲郎さんがご自身のYouTubeチャンネルで弾き語りと曲の解説をしてくださっています。カッコいいですよね!

この曲はですね、メロディー的に言うとちょっと面白い曲でして。 A部分B部分、とても淡々としてます。 で、サビに入ると下がります。 普通サビ盛り上がるんですよね普通はね。 サビで下がった、ここがメロディー的に言うと実は一番印象的なメロだと自分的には思ってるんですけどね。 なおかつ、それでその後で上がるというのが最後にサビに出てくるわけですけど。 これ結構厄介な歌なんですよ。 実はね、坂井さんっていわゆる「歌唱力を誇る」っていう風に聞こえるタイプの歌手じゃないんだけれども、低い所がしっかり声が出てくれて、高いとこ上がっても、苦しい聞きづらい声じゃない声が出る…っていう、すごく有効音域のレンジが広い方だったんですね。 だからこういうのでも大丈夫だったっていうね。 これ試しカラオケで歌ってみたら、歌いにくいことにびっくりしますよ。

動画の概要欄より

織田さんもおっしゃっていますが、サビで最初下がる曲ってあまり思いつかないですね🤔それもあってか、「低いから男性の自分でも歌いやすいかも」と思ってカラオケで歌ってみたら織田さんのおっしゃる通り!上がった時の声が出しにくくて歌いにくいですね😓

「有効音域のレンジが広い方」とおっしゃっているように、坂井さんの歌声は低い部分も高い部分も自然と綺麗に聴こえるのは本当に凄いですよね♪

また、「WEZARD TV petit#10」でおでらちゃんが話していますが、ライブの時に、坂井さんは当日リハのサウンドチェックで2~3曲しかやらなかったのですが、最初に必ずやるのがこの『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』

低いところと高いところがあるから自分の調子が分かると言っていたそうです。坂井さんのお気に入りの曲というだけでなく、ご自身の調子を測る大切な一曲だったんですね♪

編曲を担当された池田大介さんは、My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』のアレンジについて、書籍『ZARD/坂井泉水~forever you~』にて次のようにお話しされています。

●ちなみに「My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~」のイントロのフレーズは?
ヴォーカルの最後のシメのフレーズ、「街中がやさしい」の「やさしい」の部分、音階でいうと"ドソファ~"のメロディを追いかけたいという発想から生まれました。「街中がやさしい タンタタ~ン♪」という最後の部分を聴いていただくとわかりやすいと思うのですが、歌詞の最後の二文字から発送してイントロのフレーズは生まれました。両曲ともイントロを聴いただけで、「あっ、あの曲が来るな!」とすぐ思い浮かぶ曲にしたいという意図で作っていきましたね。

『ZARD/坂井泉水~forever you~』より

池田さんが意図している通り、サブスクでシャッフルして聴いてても、イントロを聴いただけですぐに「お、きたきた!」と気が付きますね♪

ストーリー

坂井さんはこの曲について、以下のように語っています。

これはクリスマスの物語なんです。恋愛の一番いい時期を書いています。地味だけど味のある、計算されたサウンドに仕上がっていると思います。

『What a Rare Issue!~軌跡~』より

もうすぐ12月ですし、よりこの曲が味わい深くなってくる時期になりますね🎄

1番のAメロが「恋をしていても 時々すごく不安になる どんなに忙しい時も ひとりになると寂しい」から始まり、主人公の気持ちがネガティブなものになっているのが伝わりますね。

会えないもどかしさを感じ、孤独になりながらも、人混みを歩いて優しさを感じたり、遠い街にいる相手に想いを届けようとしたりと切なさを感じるストーリーですね。

坂井さんが、なぜこういった時期を恋愛の一番いい時期と捉えていたのか気になりますね!

それでは自分の好きな詞をご紹介✨

好きな詞

その1:「どんなに忙しい時も ひとりになると寂しい」

暇になると孤独を感じたり、このままでいいのかと不安を感じたり…。そうなるのが嫌で、とにかく何かに打ち込んで忙しくしていた時がありました。
予定をたくさん埋めたり、仕事を頑張ったりしていても、誰かと頑張っていたらいいんですが、1人だと結局寂しさを感じてしまうんですよね。

寂しさを忘れたいから頑張るのに、頑張りすぎると結局さみしくなってくる。そんな矛盾というか、どうしていいかわからないもどかしさ…。

人に相談できるようなことでもないんですが、この人間味あふれる感じを坂井さんが寄り添ってくれるのが好きです✨

その2:1番サビ

ぬくもりが欲しくて 人混み歩いた
ブルーなときは そばにいて
今ならもっと素直になれる 街中がやさしい

今までの環境や人間関係を捨ててでも、本気で自分を変えたいと思って家を出ました。孤独を感じる時間は長かったですが、この曲を聴いてから、孤独だからこそ、繋がりや温かさを感じたくて人混みを歩いてもいいんだと安心感がありましたし、すごく心に響きました。

街をすれ違う家族やカップル、学生たち、サラリーマン…。幸せそうに歩いている人たちもいれば、疲れた顔で歩いている人たちもいる。

別にコミュニケーションを取るわけではありません。人混みを歩いていて否定されることはないですし、知らない人ばかりですから誰も自分の内面に変化を求めてくるわけでもありません。

自分も同じように、すれ違う人に何も求めませんし、否定することもありません。人混みを歩いているだけで、ある意味で「ありのままでいていい」と感じられます。

人の数だけ物語があって、ポジティブなものも、ネガティブなものもひっくるめて、みんな目的があって人混みを歩いています。

そんな中で、「みんな人生いろいろあるんだよなー」なんて考えながら歩いていると、不思議と温かさを感じられます。孤独なんだけど、孤立しているわけじゃない。

サビの最後の「街中がやさしい」ってこういうことなのかなって感じながらよく歩いていました。

その3:2番サビまで

常に前向きなんて みんな弱い部分持ってる
心許したごくわずかな友人(ひと)には おしゃべりになれるのに

冷静に考えれば誰しもが弱い部分を持っていることに「そりゃそうだよね」と納得できますが、自分が弱っている時、落ち込んでいる時には、周りの前向きな人たちに「弱い部分」があるだなんて思えませんでした。そんな人たちと自分自身を比較して「自分はダメなやつだなぁ」とより落ち込んでいきましたね。

また、弱さの裏返しで明るくポジティブでいることが多かったです。

「前向きだね!」
「ポジティブだね!」

そう言われるたびに「ありがとうございます!」と返していましたが、「ポジティブで居続けなくちゃ」と苦しみも感じていました。

「誰か自分の弱い部分もわかってくれよ」と感じながらも、「その程度の人間かよ」と評価が下がるのが怖くて、弱い部分はさらけ出せない。「察してほしい」と傲慢さが出ていましたね。結局察してもらったとしても、強がって否定していたでしょうね。

だからこそ後半部分の詞も物凄く刺さります。友人を「ひと」と読むところに「弱い部分を伝える相手は誰でもいい訳ではない」という強い想いがあるのかなと感じました。

坂井さんにも人には見せない弱い部分があって、それと向き合ってきたんだろうなと考えると、ミステリアスな雰囲気が強いですが、身近に感じられますね。

弱い部分を話せる関係は本当に大切にしたいなと感じますし、何より弱い部分を持っている自分にOKを出すことをより大切にしたいですね。

その4:「誰にでもいい顔する人は 嫌いだよ」

悩んでいる時の自分を気にかけてくれる相手が、その人自身の好感度のために誰彼構わずいい顔をしていると気が付いてしまうと、「自分の弱い部分を知ってほしい。助けてほしい。」と思う反面、「俺のこと考えているわけじゃないだろ。ほっといてくれ」という気持ちになりますね。

面倒くさい人間と思われるでしょうが、そんな自分もわかってもらえた感じがして好きです。

ここからの意見は曲のストーリーとはずれて、自分の勝手な捉え方が強くなります。逆もまた然りで、自分で自分に価値があると思えなかったから、人から価値がある人間と思ってもらいたくて、自分が他人にいい顔をしてしまうことがよくありました。

そうすると、より弱い部分は出せなくなりますし、「いい人」を演じ続けなければいけません。しかもそれは、人によっては、自分はただの「都合の」いい人になってしまいますし、八方美人だとばれて嫌がられることもあります。

そんな自分に対してますます嫌悪感を抱いてしまいます。自分から自分へ「誰にでもいい顔するのは嫌い」とメッセージを送っていました。そんな自分を卑下する、傷つけるようなどうしようもない状況でも、この詞を聴いて「誰にでもいい顔をする自分嫌いになっちゃうよね」と共感してもらっていると感じることもありました。

その5:「遠い街の灯夢を見る人 あなたへと届け」

坂井さんが亡くなられてしまったからこそ、より響く詞なのかなと感じています。

「平成を生きる昭和の女」として、坂井さんが遠いところから、曲を聴いている自分たちへ「ひとりじゃない」と思いを届けてくれる感じがして、心が温かくなりますね💓

「ZARDよ 永遠なれ 坂井泉水の歌はこう生まれた」

2019年4月20日NHK BSプレミアムで放送した番組の特別編集版がパッケージ化されています。

『ZARDよ 永遠なれ 坂井泉水の歌はこう生まれた』

今なお、多くの人に愛され続けるその楽曲はどのようにして生まれたのか。坂井泉水が日々書き続けた膨大な直筆メモを読み解き、名曲誕生の舞台裏、そして初公開の音源や撮影現場の何気ない姿から見える素顔に迫った、2019 年 4 月 20 日に放送されたNHK BSプレミアムの2時間特番がBlu-ray&DVDで登場!
関係者の証言はそのままに、番組ではワンコーラスのみの放送だった楽曲の Music Video を可能な限りフルサイズ(一部変則サイズ)で収録。また、ブックレットには直筆のメモの一部を鮮明な写真にて掲載。令和にも生きる ZARD 永遠のスタンダード・ナンバーの数々の魅力に改めて触れる貴重な映像作品となっています。

ZARD Official Website(https://wezard.net/news/news-707/)より

チャンカワイさん

この番組内でお笑い芸人のチャンカワイさんが『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』について語っています。

大都会のビル群って恐怖でしかないんです。人混みっていうのも本当に恐怖なんですよね。冷たい人たちが固まってガバッと自分がのまれていくような感覚で。だから僕引っ越した練馬から半年出られなかったんですよ。けど、ちょっと、お笑いをやるって決めたのに出て行かへんってどういうことやねん。行くときにやっぱ、学生時代に聴いてたMy Baby Grandを聴いたんです。(坂井さんも)こうやって人混み歩いたって作ったのかと思って重ねて聞いていたらだんだん歩く勇気になっていったんです。同じ境遇の歌だからこそ、重ねやすくて、立場は違うけれども、ぬくもりを感じるようになっていったというのが本音です。

自分と同じように、好きな歌で励まされているお話を伺えるのはうれしいですね✨

また、「宇宙の底に 二人生きてる」という詞を見て、「宇宙に底ってあるのか?どこだろう?」と考えることがありました。チャンカワイさんが、その詞について

宇宙からこの雑踏を見たらめっちゃ小さいこと言っているやん、頑張ろうよっていうメッセージに聞こえるんですよね。ぬくもりの感じ方が宇宙規模っていう。この曲はなんというパワーソングなんだろう。勇気をつける種がね、やっと雑踏に混じってわかったんですよね。

と話されていたんですよね。

「なるほど!自分たちを宇宙から俯瞰して見ているのか」と視野が広がりましたね。

西ヶ谷力哉さん

番組プロデューサーの西ヶ谷力哉さんのパッケージに同封されていたメッセージでも、『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』について触れている部分がありました。

今回の制作の中で、心に残ることが二つあります。(中略)
もう一つは「人間・坂井泉水さんとの対話」でした。ZARD初期のヒット曲はもちろんどれも名曲で、聴くほどに輝きを増します。その一方、成熟し、けん騒から解放された中期や工期の曲の中に、ふと坂井さんの素顔が垣間見え、まるで彼女と対面しているように感じるものがあるのです。『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』。坂井さんは「都会の孤独」をテーマに「宇宙の底に 二人生きてる」と歌いました。「宇宙の底に生きる」。「坂井さん。あなたはこのすごい言葉を生み出したとき、どんな孤独を抱えていたんですか?」(中略)……坂井さんに問いかけながら、歌を聴く過程は至極の時間でした。

西ヶ谷さんがおっしゃっているように、坂井さんも自身の音楽に悩んでいた時期、どんな孤独を抱えていたんでしょうか?

曲を聴く僕らは、音楽を通じて坂井さんに寄り添ってもらえたり、共感してもらえたりする感覚を味わえますが、坂井さんは一人でご自身の悩みと戦っていたのでしょうか?

坂井さんもご自身が辛い経験をされたからこそ、曲を聴く僕らが辛い時にも支えていただけるんでしょうね。

僕も自分の経験を糧に、辛い経験をされている人が周りにいた時に寄り添えるよう意識していきます。

「坂井さんに問いかけながら、歌を聴く過程は至極の時間でした。」とあるように、坂井さんがどんな経験、思いをされていたのか考えながら曲を聴くのは、きっと素敵な時間になるでしょうね♪そういった視点でも坂井さんの音楽を楽しんでいきます😄

終わりに

前編に引き続き、後編も最後までご一読いただき、ありがとうございました!

改めて、自分がこの曲が大好きだと実感できましたし、皆さんにも聴いていただくきっかけになれば嬉しいです。

今年最後、次回の月命日は坂井さんからファンへの感謝の気持ちをテーマにした『かけがえのないもの』をご紹介します!

坂井さん、これからもどうぞ、寄り添ってください。

(本文の歌詞は『My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~』作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎からの引用)

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