祖父のXデー
祖父がもう長くないらしい。
といってももう95を超えているので元々老い先長いとは言えない老人なのだが、先日入院と手術をして、どうやら癌であるという。
「おじいちゃんが入院しました」という連絡が来て、最初に思ったのは「やっとか」ということで、次に思ったのが「入院に付き添うお母さんが気苦労で倒れないだろうか」だった。正直、「おじいちゃんが心配」とか、「死んじゃったらどうしよう」とかの感情は全くない。ジジイもようやく年貢の納め時か、というのがシンプルな感想である。
ポッドキャストや他の記事でもちょくちょく話しているが、私の祖父は家父長制が服を着て歩いているような男である。私や嫁である母のことを「女子供」と呼び、「女子供」とは命令形でしか会話ができず、死んだ祖母を邪険に扱い、平気で容姿や学歴で人を悪く言う(しかし本人はブ男かつ小卒である)。汚くて品がなくて思いやりのかけらもない。
風呂に入っていたら戸を開けられたことも何度かある。絶対わざとだろ死ね。本当に真剣に頼むから今すぐ死んでほしい、とその度に思った。
ここから先は
1,277字
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?