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【012】HAPPENING

お話を伺った相手:まえだみみさん

好きな音楽の傾向:4分前後のポップな音楽
好きなクラブ:関西だと京都メトロ、ソーコアファクトリー、NOON
東京だとリブハウス、マーズ、無くなっちゃいましたがgarageが好きでした
行く頻度:コロナ禍以前は週1~2が、今は月1回あるか無いか…
よく頼むドリンク:お茶割り、芋焼酎の水割り、メトロならレモンサワー、踊りたい時は水
音楽を聴く手段:基本的にはSpotify
サブスクリプションに無いものはCDからスマホに落として聞いています
現在の職種:フリーター

みんな大好きまえみみちゃん。このインタビュー企画でお話を聞いた皆さんからも「まえみみちゃんにお話聞いてきてほしい」と何度か要望を受けており、私も同じ気持ちだけど…最近のまえみみちゃんは芸人をよく観に行っておられるし…芸人は日々追うコンテンツ量が多すぎるし…もうクラブやフロアには戻ってきてくれないかもな…と、置いて行かれたような気持ちでいたのですが(どこ目線???)、今回こうしてお話を聞けてうれしかったです。

それにしてもめちゃくちゃ濃い。誰かが渇望した二周目の人生をやらされてるんじゃないかという意識の詰め込まれ具合でクラックラしました。うまくまとめられたかさっぱりわかりませんが、みんなもクラクラして好きになってほしい。


「親自体がけっこう音楽好きというか、母親はYMO・戸川純・EP-4・ハルメンズをリアルタイムで。京都でクラブモダーンによく行ってたタイプのサブカル女なんですよ。忌野清志郎とかボガンボスとか、あのへん父親も聴いてて」
「ちっちゃい頃から、お父さんがとにかく家でビートルズとストーンズ、奥田民生をずっとかけてるみたいな感じやった中で、私が3歳ぐらいに宇多田ヒカルを聴いて『これいい!これほしい!』言うたらしくて、『sakuraドロップス』とか1stから3rdぐらいまでの宇多田ヒカルにめちゃくちゃハマって親が発狂しかけるほど聴いてたらしいんですが、大人になって聞き返してみてもあまりピンと来ず。曲を覚えてもおらず不思議でした」

『ララナギはりけ~ん』が連載されてるちゃおとか『アニマル横丁』が載ってるりぼん読んでたんですけど、私ちっちゃい頃から卑屈やったんで、(他に連載されてる)恋愛漫画読んで、あたしにはこんな経験できへんのになんでこんなん読まされなあかんねんってちゃおぶん投げたことがあるんですよ。そんぐらいなんか歪んでたっていうか」
羊水からサブカルやったんですよ。私産まれてきた時に、首にへその緒二重に巻き付けて産まれてきて、生まれた時からアングラパフォーマンス
「インターネットに触れるのも早すぎたせいで、その頃『スイーツ笑』とか冷笑派が流行ってたんです。心のやわい時期にそれを受けてたんで、ちっちゃい、小学生のくせにミソジニストみたいな」

「ニコニコ動画で倉橋ヨエコを知って衝撃を受けて、Amazonでいちばん安かったのが『ただいま』で、親に頼み込んでそれを購入した覚えがあります。ギリギリ廃業される前だったんですが、当時8歳だったので観に行けず
「倉橋ヨエコから、『シフォン主義』の頃の相対性理論アーバンギャルドモーモールルギャバン、とかの流れから、フジテレビの『FACTORY』にモーモー出てたのきっかけでファクトリーの系列聴くようになって」
ガレージパンクとかガレージロックみたいなのも『かっこええやん』て思えたきっかけがTHE BAWDIESで、『ライブ楽しい』てなれたんもTHE BAWDIESきっかけです」
「相対性理論は、9歳とか10歳の頃『銀魂の声優が他のどのアニメの声優をやっているか』っていうまとめ動画のBGMに『おはようオーパーツ』が使われてて『めっちゃいい曲~!』て。ウィスパーボイス繋がりでアーバンギャルドも知って」
「このへんはニコニコ動画ですね。mixiはあったんですけど登録できなかったんですよ、紹介制やったし年齢制限もあったし
「『自分の好きな曲まとめ』みたいなとこで、八十八ケ所巡礼とか初期の[Champagne]とか入ってたの聴いて、それこそゆら帝なんかそれで知ったと思う。ニコニコ動画で殆ど知ったかもしれないです」

「中学生の時はやたら活発やって、吹奏楽部で部長もやって、生徒会にも入ってて」
「(吹奏楽は)高校で辞めちゃった。マーチングが嫌いすぎて。マーチングの大会常連校で全国目指してるタイプやって『音楽やって楽しいだけやったら、やめてもらっていいから』て言ってたんですよ部長の人が。あっ、じゃあやめよう、と辞めて」
「(パートは)パーカッション。小学生の頃最初はアコーディオンとかリコーダーとかで、学年上がるごとにドラムとか叩かせてもらえるようになるんですけど、(部と)そりが合わなすぎてやめて」
「中学あがった時、たまたまドラムが叩けるやつが学年に私一人しか居なくて、それで打楽器になっちゃった。ほんまはチューバやりたかったんですよ。低音、ベースが好きなんで。ベース音やりたいぜって思ったらパーカッションになっちゃった」
踊り方とか全部、パーカッションやってたせいやろなと思いますね。シンバルの叩き方とかタンバリンの叩き方とか、動きがうるさすぎるって当時からめっちゃ言われてたので
imaiさんも元はドラムですよね)「納得しました、それ知った時に」
『4つで刻まれていたのが終盤に表拍の1と3の2つでドン!ドン!となる瞬間がある曲』がめちゃめちゃ好きなんですよ。imaiさんはそれすごい多いんです、『XP』『55』『mad mouse』もそうやし、それが大好きなんですよ。で私はそれのせいで額割ったんですよ
心斎橋パンゲアimaiさんが来られた時、お母さんも来てて『初めてimaiさん観るわ~』てすごい盛り上がってたんですよ。私最前で、お酒一切吞んでなくて、で今言ったデーデーデデデッデデで最後速くなる曲、最後二つ打ちになる瞬間で頭バンッて振ったら、最前やからステージの角に(額が)ダンッて当たって、なんか垂れてきたな汗かな、て見たら真っ赤やって、で、真後ろにさちさんが居てて『やばい、額割れました』て言ったらさちさんが母親に声かけてくれて、そのまま救急車に乗って。ほんま情けない、ほんまに申し訳ないんですけど、その三日後にFFFに行ってた感じです。そのFFF、tomadさんのDJで土下座してヘドバンしてたら、ちゅんさんが額を心配して体を以して止めてくれたんです。みんな心配してくれて申し訳ないな、笑ってほしい、ぜひ」

「執拗なカットアップ大好きなんですよ。DE DE MOUSEの『Light night dance』を、大沢伸一がRemixしたやつ、何回も音が切られてるじゃないですか。そういう曲がほんま大好きで」
去年のABCグランプリという賞レースでヨネダ2000がやってたネタが『大きい声を出す、大きい声を出す、で、驚く、驚く、あやまり合う』っていう、『だっだっ、ごめんね、ごめんね、だっだっ、ごめんね、ごめんね』って言い続けて話が進んでいくんですけど、テクノなんですよ。かなり

(最初に買った音源が倉橋ヨエコなので歌詞の人かと思っていたけど、リズムの人なんですね)
「でも今ここに来て歌詞の人になってるんですよ、カネコアヤノとか横沢俊一郎Hasami Groupあたりの。一回好きになった曲ってずっと好きじゃないですか。高校生の時ヨエコ聴いたら、歌詞がグーって入ってきて」
「歌詞聞いて初めて感動したのが中3の時に聴いた挫・人間この歌わたしのこと歌ってる、って大森靖子の歌詞にありますけど、下川くん(ボーカル)は私だ、私は下川くんだ、と事ある毎にライブに行っては号泣してました。場の空気感や歌詞に泣くまでに感動するようになったのは、間違いなく挫・人間がきっかけです。初めて1人でライブ行ったんも、挫・人間です。ベースの人がやめるまでずっと神様でした」
「挫・人間はMTVのインディーズMV特集で『人類』っていう一番最初のMVで、曲良いし『大学生が嫌い』っていうことをとにかく言いまくってて、なんか、うわ!て釘付けになっちゃったんですよ。私ずっと大学生嫌いなんですよ、小学生の時から大学生ずっと嫌いで
(自分が大学生の時も大学生嫌いだったんです?)「そう。一人も友達いなくて喫煙所と教室の往復で。空きコマにハイボール飲んで酔ったまま授業出るみたいな。そこに良さを感じているというよりかは、自分が大学生であることが嫌すぎて、逃れたかったんですよ。なんかやっぱ、普通にやりたかったなみたいな。『中学の時にAKB好きになって誰が好きとか言って、吹奏楽部入ってそのタイミングで初めて彼氏ができて、高校上がって部活頑張って勉強も頑張って志望校合格して、高校の友達と今でも会うねん』みたいな、『昔、セカオワめっちゃハマってた』みたいな、そういうのになりたかったんですよ。私かて『世界の終わり』やった時は聞いてたんですよ。ずっと憧れながら、やっぱりグッとくるのってそういう。高校2年生くらいからサンクラ聴き始めて誰とも話合わへんし、大学で会った人には『ほんま変わってんな』みたいな。なまじ変にインターネットばっかりやってきたおかげで、自分への解像度も高いから『ちょっと変わってるけど、おもろいやつ』みたいなのをやるのが得意やったんで、そればっか」
今、ようやくちゃんと、なんか、こう、『みみちゃんっておもろいよな』から外れてようやく喋れるようになったんがクラブで。だから大学ん時って大学が居場所なんじゃなくて、エイジアとかメトロとかの方が居場所として成り立ってたんですよ」

トーフビーツの出会い…スペシャで『STAKEHOLDER』のMV見て、えっ怖…なんかいいMVやな…曲もええけどMVかっこいいって思ったまま時は流れ」
「当時好きやった人がSushi Killer『Waifu Dream』て曲を教えてくれたんですよ。それの媒体がサンクラやって」
「それと同じタイミングでSugar's Campaign『ホリデイ』がスペシャのお薦めに選ばれてて、めっちゃこの曲いい!てなって、調べたらそのAvecAvecていう人もこの媒体(サンクラ)で曲出してる、ってなって」
「その頃もトーフビーツのことは『居るなあ』ぐらいやって。2年後ぐらいからクラブ行き始めるようになったら、トーフビーツの曲がアンセムみたいな感じでかかるじゃないですか。後追いで聴くようになったら、大昔に私がサンクラでlikeしてたcontent IDマンションがトーフビーツやったって知るっていう
「サンクラキッズやった時にパソコン音楽クラブが出てきて。サンクラ死ぬほど漁ってたんですよその時期。初めて触れるジャンルやから何聴いても楽しくて。好きなテイストで言うと、ここポリリズムになっちゃってるやん!みたいな曲、ドロップがうるさすぎる曲、べーーーみたいなシンセが鳴ってる曲、これみよがしなクリシェがある曲、いやらしいくらい露骨な2015年前後のFuture bassとか大好きです!」

group_inouを好きになったきっかけ)
「中2の時まだガラケーやって、ガラケーってYouTube動画2分ごとに分割してたじゃないですか。『SHIP』だけ唯一分割せずに見れてたんでめっちゃ聴いてたのは覚えてるんすよ。何のきっかけで知ったかとかを一切思い出せなくて」
「もしかしたらスペシャ、なんかの企画でAC部が使われてて、AC部って何やって調べたときに『HEART』のMVが出てきて、見たん、かも知れん、わからん、でもきっかけはスペシャなんですよ」
「卒業引退の先輩に渡すミサンガ編みながら、スペシャであったgroup_inouのMV特集の録画ずっと流しまくって聴いてたら、父親に『お前、これ歌ってる人の顔が好きなだけちゃうんけ』みたいな言われてブチギレたってことがあります。曲が好きなんや」

group_inou知らんかったらエレクトロニカ聴いてない、そんな好きじゃなかったと思う。THE BAWDIESはずっと好きやけど、他の音楽自体そんな興味ないまま、クラブには行かへんかった絶対に
「それが人によってはトーフビーツやったりするんでしょうね」

(アンケートの『最近一番良かった現場』が2023年の11月25日のBarフェーダーでの『offline』
「すごい嬉しかったですね。最近クラブイベント行っても、人がぎゅうぎゅうで汗びしゃのばっかりやったんで。私が行った2019年のPLAYSETとかsoundexpo初回とかの『客入りはまあまあで邪魔されへんし、行こうと思ったら前で観れるし、後ろで観よう思ったら後ろで観れる』、もう求めてたクラブやったんですよ、それがもうほんまに嬉しくて、楽しかったな。コロナで忘れてたもの、これがしたかったんや私はっていう
「関西はほんま勢いなくなってた今、大阪のBarフェーダー京都のWest Harlemのおかげで、ようやくこうちょっとずつ、前までの関西のイベント、クラブみたいなのが盛り返してきた感じはありますね。コロナが全部潰してったな~長かったです、さすがに」


ちなみに、芸人さんの方が優先になっていることに対しては
「お笑いって2カ月前くらいに言って(告知して)くれるんで、行きやすいから行きまくってるだけで、もっと告知を早く出していただけたら私も行けるのですが…遅いんですよ、音楽イベントの告知が。コロナ経てから余計に遅くなってないですか」
とのことでした。みんな猛省してほしい。

かなり割愛しましたが、話の中で出てくるちょっとした悪口の対象への解像度が異様に高く、なんでそんな…見えてる世界の粒子が細かすぎる…なあ、漫画描こうや…とつい勧誘をしてしまいました。すみませんでした。
これからも、怪我をしない程度にたのしく爆踊りしていってほしい。行きたいイベントに全部行けてほしい。良い夜がいっぱいあってほしい。そう願いながら東から見守っております。今回は素敵なお話ありがとうございました。

(2024年3月・group_inou復活ライブ前日に、西新宿のタイ料理屋にて)

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