夏の前の風

僅かながら
ではあったが
これまでの
わたしにすれば
大きな前進

目には見ぬ
風がひるりと
吹き抜けた
我の毛だけが
先に気付いた

暑い日に
熱いラーメン
いただきます
ずるりずるずる
独りのリビング

笑うな
今はまだ
その時ではない
私の未来が
わかると言うのか

走った
思い切り手を
振りながら
風を切った
8年ぶりに

水道水
頭から首に
流れ行く
ケツから垂れる
サンクチュアリ

椅子に座り
ほうと一息
アイスコーヒー
熱持つ胃の中
溜まる感覚

忘れないで
彼は確かに
そう言った
わたしはそれを
おぼえているのに

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