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幸せとは「HAM」である

仕事柄いろいろな人の悩みを聞く機会がある。人生と言うのは、なかなか複雑で本当に幸せな気分で生きている人は少ない。

昔私の好きな小説家が、どこかでこんなことを書いていた。
知識労働者より肉体労働者の方が幸せを感じる瞬間が多い。1日現場で肉体労働をして、その日の日当でおいしいご飯をたくさん食べて、仕事が終わったら大好きなビールを飲む。疲れ切って寝るから、1日中忙しくて、食欲も満たされている。

一方毎日デスクワークをしてるような人は、疲れ方が違うし、知識労働をしている位だから、むしろいろいろ自分に起きることや、周囲で起きていることをネガティブに考えたりして、悩んでしまう。

まぁこれは、若干ステレオタイプで見ていて、すべての肉体労働者と知識労働者に当てはまるわけではないが、傾向としてはあるだろう。

デールカーネギーも、同じようなことを言っていた。不安をなくすことに成功している人たちは、とにかく忙しく働くことで、不安を感じるような時間を作らない。

さて、前置きが長くなったが、今日は私が考える幸せについて書きたいと思う。

タイトルのHAMは、次の3つの頭文字である。

H  Honmono(本物)の仕事を持っているのH
A  自分の仕事が高く評価され感謝されている、Appreciation(評価/感謝)のA
M  自分が納得できるお金を得ている、MoneyのM

私の人脈の中には、Z世代から団塊の世代までかなり幅広くいる。

若い人に関しては、例外を除いてまだHAMの3つがすべて満たされている人は少ない。
特にMoney/収入だ。年功序列は崩壊する方向に徐々に動いてはいるが、まだまだ20代30代の収入は低空飛行だ。
そこが、米国など熾烈な競争社会における年齢に関係なく、能力が高ければ高収入、低ければ低収入あるいは解雇というシステムと大きく違う。

それでは40代以上ではどうだろうか?
これもなかなか難しい。上場企業の管理職の方々などは、Moneyに関しては、高年収で満足している人も多いが、本物の仕事があって、その仕事に対して周囲から高く評価され、かつ感謝されていることを実感している人は意外と少ないのではないか。

私はエグゼクティブコーチの仕事もしているが、周囲から見たら学歴、ステータス、お金において、全てを持っているような方々で、仕事に満足をしていたとしても、自分が本物の仕事をしているか?と改めて問われると確信のない人が多い。

「本物の仕事」の状態とは、例えば、心理学者チクセントミハイの「フロー」で説明するとわかりやすい。
すなわち、目標や目的がクリアで、そのことに最高に集中していて、かつリラックスしている。
そして、最大のパフォーマンスを発揮できている。
はっと気がついたら、6時間が経過していたとか、その仕事をやっている自分に本当の自分らしさを感じている。周囲からの評価とかは重要ではない。本物の自分の仕事とは、その人独自のものなのである。

よくフローとゾーンはどう違うのかと問われるが、私の理解ではフローの最上位の状態がゾーンである。
フロー状態と言うのは、比較的多く起きるが、ゾーンが起きるのは稀である。例えば、野球の選手が、ボールが止まって見えたなどと表現することがあるが、それがゾーンである。
どんなに凄い選手であっても、毎回ボールが止まって見えるわけではない。

それでは、HAMな自分(幸せな自分)になるにはどうしたらいいかを、私が考案したキャリア論の「gALf」から説明させていただきたい。

このブログには何度か書いているが、簡単に説明すると、gALf とは、次の頭文字である。

grit やり抜く力
Able できること
Like 好きなこと
foresight 先見性/洞察力

gALfの構造


AとLが大文字なのは、このコンセプトの最も重要な部分が、(Able /できること)と(Like /好きなこと)の関係性だからである。
すなわち、現場で、目の前の仕事に本気で取り組み(Able/できること)を大きくしていく過程で、本物の好きなことが見えてくる、という考え方なのだ。
もちろん、好きを仕事にすると言う考え方もあり、それを否定するわけではないが、20代30代40代とそれほど努力もせず、(Like /好きなこと)探しの旅をし続ける人たちは、本物の仕事が見つからず、40代以降人生がふわふわしているのをたくさん見てきている。

一方、本気で(Able/できること)を大きく、広く、深くしてくる過程で自分の本物の仕事を見つけた人は、その天職にじっくりと腰を落ち着けて、40歳50歳を過ぎても、まだまだ学び成長している。
そしてそんな人たちには、良い偶然が首を長くして待っているのだ。

grit/やり抜く力は、できることを大きくする過程で必要なものであり、foresight/先見性•洞察力は、できることを大きくする過程で必要な羅針盤である。

「本物の仕事(天職)があり、周囲からも感謝され、納得できるお金も得ている状態」が、HAMなのであるが、どこが起点になるか言うと、「本物の仕事がある」が実感できている状態だ。

自分の仕事が本物と感じていればそれは天職である。それを実現していなければ、感謝もお金もなかなか手に入らない。お金だけ手に入る、すなわち年収は高いが、実は仕事に誇りも持てず、フローも起きない状態だと、真の幸せは感じていない。

gALf は、A(できること)とL(好きなこと)の関係性が重要だと言うことをすでに述べた。

私の周囲にいる成功者たちの特徴がここにある。

できることを大きくしていく過程で、周囲から高く評価されたり感謝され、自分が何者であるか、何によって社会貢献できるのかがより鮮明に見えてくる。そして、自分の本物の仕事に出会えたと述懐する人は多いのである。

繰り返しになるが、本物の仕事を得るにはAble(できること)を大きくしていくプロセスが必ず必要になる。

Ableが大きくなって、本当に好きな仕事が見つかって、パッションにつながり、さらにAbleを大きくしていく意欲が高まる好循環が起きてしまえば、もうその人はフロー状態である。
そして、その人が作り出す質の高い仕事が、周囲に感動を与え、高い評価を受け感謝されるのである。
そしてそこまで周囲から感謝される状態になれば、お金は後からついてくるものだ。

まとめさせていただくと、幸せ(HAM)な人は、「本物の仕事があり(Honmono)周囲から高く評価/感謝され(Appreciation)、納得できるお金を得ている状態(Money)」であり、HAMは人生を幸せに生きるシンプルな「3文字のヒント」なのだ。

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