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【レビュー】Inverted Angel


 わ……私も! 私も楽しかった!!
 
 
……はい。
 ちょっと久々にドストライクなゲームをプレイしてしまったので、レビューを書こうと思います。
 とはいえレビューを書く上で最初に悩むところがあり、このゲームはどう考えても「ネタバレ無しで初見プレイした方がキラキラした体験を得られる」内容となっています。『undertale』や『inscription』と同タイプですね。ただしそれら二つより、はるかにこれは尖った層向けのゲームとなっています。間違いなく万人ウケするゲームでは無いです。
 なのでネタバレにならない範囲で、まずInverted Angelがどういうゲームか。どういう層なら楽しめそうか説明していきたいと思います。

①Inverted Angelは推理ゲー

 Inverted Angelのストア画面を見た際、大体のユーザの第一印象は『ドキドキ文芸部』とか『needy girl overdose』みたいな闇のあるタイプのギャルゲーと感じるかと思います。それは間違っているわけではないのですが、表面的な一部分でもあります。ゲームデザインとしては、『逆転裁判』とか『ダンガンロンパ』の方が近いです。そう、Inverted Angelは推理ゲーなんです。文章の矛盾を見つけて「くらえ!」ってするのがメインです。そしてコンシューマーゲーとしてカジュアルな難易度をしているそれらと違い、Inverted Angelはかなり高難易度になっています。

 その難易度の一環がこの自由入力形式で、本作の推理はなんとAIを用い「文章入力」で行われるところがほとんどです。これがゲームデザイン上重要な意味を持つと共に、総当たりが出来ないため推理ゲーとしての難易度を大きく上げています。
 推理も簡単なものから国語力が求められるもの、発想の転換が求められるものまで幅広いです。少なくとも、気になる単語があったらメモする、矛盾があったらメモする、推理に詰まったらバックログを読み漁るといった作業が苦手な方は辛いんじゃないでしょうか。逆にCoCの高難度推理シナリオとかが好きな方はかなりハマると思います。推理シーンの大部分は正解を当ててしまった時に「ぎゃあああああああ!!」「う、嘘……!!」ってなりました。『意外な真実を突き付けられる』というミステリーの基本に沿った、非常に上手い物語構造をされていたと思います。本当に構成力が高いんですよ……。

 その次に言及しておきたいのは本作のヒロイン、”知らない女性”です。本作はプレイ時間のほぼすべてを彼女との会話で過ごすのですが、それ故彼女を好きになれるかどうかでこのゲームを楽しめるかが大分左右されるでしょう。「感情的な割に回りくどい言い回しや例え話を好む」言動は大分好き嫌いが別れるタイプかと思います。私は好きです……。
 とはいえ「うーん彼女好みっぽい! イチャイチャするぞ!」ともし意気込んでこのゲームをプレイされるならきっと道中ゲロ吐きまくることになるので、やはり推理を楽しめるかどうかの方が重要かもしれません。

 あと言っておいた方が良いと思うのは、このゲーム、ルートによっては結構グロいです。ホラー系ギャルゲにありがちなジャンプスケア、突然グロイ画像がどーん! とかそういうのはないですが、文章だけな分逆に質が悪いです。猟奇系、狂気系の文章が苦手な人は気分を害するかもしれませんのでそれは気を付けてください。なんというか、そうですね。自分はこのゲーム間違いなく名作だと思うのですが、このゲームを見境なくお勧めすることは「沙耶の唄を『素晴らしい純愛ゲー!』と言って勧める」のとあんまり変わらないと思っています。そんな感じです。

②ネタバレ込み感想

 自分自身情緒をぐちゃぐちゃにされた自覚があり、何が良かったのか上手く言語化できている自信がありません。それでも最初に何が良かったかと言えば、やはり「演出」「構成」だと思います。
 特にルート確定後、『朝焼け』というワードを交えた口上から♥が浮かぶ演出は、「ここからが本番!」というのをあまりにも上手く演出していて震えました。あの口上バリエーションほんっっっと良いんですよ。「因果律が確定した」ということを滅茶苦茶カッコよく演出しています。

「朝焼けもまだまだ来ないんだから
 ゆっくりお話しようよ、昨日より明後日の事を」

「朝焼けもまだまだ来ないんだから
 ゆっくりお話しようよ、分かり合ったつもりになれるまで」

「ゆっくりお話しようよ、朝焼けもまだまだ来ないんだから
 一度生まれた輪郭は、歪むことはあっても消えることはないの」

「ゆっくりお話しようよ、朝焼けもまだまだ来ないんだから
 そうしたら君も、死にたくなるほど人を愛せるかも」

「朝焼けもまだまだ来ないんだし
 現実的じゃない現実を探しに行こうよ」

「朝焼けは渡してあげられないけど
 もう少しだけお話しようかな、羽根なんて見えないって諦めるために」

 もうせっかくなのでプレイの熱が残っている内に各エンドの感想を列挙していきます。見た順です。

 初週エンド。彼女が無実の自信があったとかそういう訳じゃなかったんですがドアは開けませんでした。「いや……いやだ……。殺したくなんて無い……。自分を傷つけたんだとしても……殺したくなんて無い………。だって、好きなんじゃないか……。それが、強いられたものであっても、好きなんじゃないか……。そんな、そんな相手を……殺したくなんて無い……!」とかそんな気持だった気がします。とはいえ綺麗に言語化できてたわけじゃなくプレイ中はちいかわみたいにイヤイヤわめいていただけなんですが。
 そうしたら主人公君が自分以上に冷静でなんとかハッピーエンドに連れてってもらえました。良かった~。

 グロルート。上のルートをプレイ後その熱のまま友人に勧め、その友人の配信を見ていたらこのルートに入ったのでめっちゃびっくらこいてました。こ、こんなゲームだと知らなかったんです……。
 友人に勧めた際「是非とも自宅に知らない人が押し掛けてきたと想像してプレイしてみてください」って言ったんですが、その結果主人公がこんなカスのルートになっちゃって可哀そうでした。

最後の最後まで主人公の善性を信じていた模様

 とはいえストーリーが面白かったのは間違いなく、というかこのゲームストーリーの面白さで言えば倫理観死んでるルートの方が面白かった気がします。意外性の強さともつながってるので。

 まあね。こういうルートあると思ってましたよ。全然関係ないんですけど私は『さよならを教えて』ってゲームが好きです。全然関係ありませんけど。
 関係ない話はともかく結構好きなルートです。今では闇系ギャルゲーのポピュラーな演出になりましたが、システム干渉系はやっぱりゾクっとしますよね。彼女は私の恋人です。恋人です。恋人。

 カスのミラーマッチ。狂気とインモラルでお手玉してるのがあまりに悪趣味すぎる。
 そりゃまあ私の好みとしてはこういうストーリーも言い回しも大好きではあるんですが、如何せん無数に世界線が存在する中でわざわざここに行きたいか? ってなっちゃうのがアレです。らぶらぶちゅっちゅしてるのが好きな恋愛脳なんで。Invalid? あれは結末じゃなくて世界改変みたいなもんですし……。

 攻略見ずに自力で入れた最後のルート。ルートに入る回答に大分悩み、当たった時に「ええっ!?」ってなったのをよく覚えています。
 全体としてはイイハナシダナーではあるのですが。何せこれの前に見たのがカスのミラーマッチだったせいで、主人公が「本当にお人好しだね」と言われるたびにそ、そうっすか……となってました。
 ただ朝焼け口上の演出はうわっとなりました。こういうちょっとした魅せ方が本当に巧みだと思います。

 こっからどうしても行き方がわからず、ルートの入り方だけ攻略見てます。
 しかし「DISCONNECTION」は自力で辿り着いたのになんでこっちに思い至らなかったんでしょうね……。
 花言葉めっちゃワロタから自分も真似したい。

 この世界の倫理観どうなってるんですか!?
 
前二つのカスルートとはまた別ベクトルのカスで笑いました。
 でもこんなカップルが嫌いじゃないから困っちゃう……。
 最終問題に苦戦したのが「チョコレート」「アイスクリーム」「シュガー」。あっさり解けちゃったのが「カラメル」「チーズケーキ」なんですが、振り返ると苦戦したルートの方が印象に残りますね。うぐ、刺された痛みが……。

 ( ;∀;)
 私も楽しかったよ、知らない人……。

 

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