料理するということ(1)
1. 苛立ち、ノスタルジー僕は、自分で初めて能動的に料理をしてみようとしたことを鮮明に覚えている。あれは神戸の大学に入って2年経ち、寮を追い出されてその結果アパートを借りた頃。急な衝動だったことも覚えている。夏の真昼間、自主休講、蝉の声、20℃に設定しているのに一向に涼しくならないエアコン。何かに苛立ちやすい時期だったので、そのすべてに嫌気がさし、「よし、なんか料理してみよう」と思い立ったのだ。因果や合理性のまったくないモチベーションである。
プロフィールにもあるように、僕