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流浪の食微録

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知られざる美味の探求と出逢いを求めて彷徨う、ロンリー・ミニマリストの食紀行。
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#札幌ラーメン

ラーメン店と居酒屋の暗黙の不文律。

ラーメン店と居酒屋の暗黙の不文律。

「一徹」2021年4月30日(金)

今年のこの地の連休は、季節に応じない寒さに見舞われて、冷涼どころか冷酷なほどの雨と風が市民の体をこわばらせた。
朝からストーブをつけて暖を求めるも、取るに足らない用事のためにダウンジャケットとグローブを着用して中心地へと急いだ。

狸小路商店街のアーケードで雨を凌ぐも、人の気配が薄らぐ路は容赦なく冷風を体に浴びせかかる。
5月前日ということも手伝って、その寒さ

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裏錆びた寂寥に包まれる、新古典的ラーメン。

裏錆びた寂寥に包まれる、新古典的ラーメン。

「あけぼのラーメン」2021年4月24日(土)

忙殺の日々の頂点を下る。
その時、心に再び余白が生まれた。
気がつけば、北の街角はいつになく桜が早咲いていた。
聞き慣れないSDG’sというキーワード。
それも当然のように世間に跋扈するようになったが、それを裏付ける気候変動の予兆は4月らしからぬ陽気をもたらしていた。

昨年の今頃、ロードバイク転倒による肋骨骨折という“セルフ・ロックダウン”がまざ

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スパイスラーメンという新潮流の不意の試み。

スパイスラーメンという新潮流の不意の試み。

「辛いラーメン14」2021年2月28日(日)

透徹とした夜の空に、朧げな光を放つ月が浮かんでいた。
もうすぐ冬が終わるはずだった。
なのに、何故に寒いのであろう。
“永遠というものは、何か不可解な観念、何かとてつもなく大きな物だ”
と、ロシアの文豪ドストエフスキーは書き連ねた。
きっと永遠にこの寒さが続くはずもなく、さもなくば永遠などは存在しない、と焼鳥と酒で酩酊した思考が迷走しているだけなの

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真冬のすすきのに吹き荒ぶ辛麺の熱風。

「札幌らーめん 一門」2021年1月16日(土)

札幌駅から、大通エリアへ。
その人の流れは首を締めつけるように閉ざしてゆく。
そして、夜の完膚なきまでの寒さは街の気配を打ち消し続けた。
この気配は1年も続くと精神の強壮は確実に奪われ、もはや老いたデカダンスの腐臭さえ漂っているようだ。

すすきのの中心を貫く駅前通りの青白い街灯が、閑散とした歩道を虚しく照らす。
静かな断末魔のため息を放つこの街

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