見出し画像

医局を辞めた理由3つ


はじめに

 私は現在は市中病院勤務+アルバイトで生活をしています。大学の医局に数年前まで属しておりましたが、退局しました。今回は何故医局を辞めたかをお話ししたいと思います。

何故医局を辞めたのか

 理由は主に3つありまして

  1. 研究に興味が持てなかったから

  2. 経験値がこれ以上積めないと感じたから

  3. 需要の高いところで働きたいと思ったから

の3つです。一つ一つお話しします。

研究に興味が持てなかった

 大学病院は臨床・研究・教育の3本柱で成り立っています。大学によって細かい違いはあると思いますが、基本的にこの3つすべてを行うことが大学病院の医局員には要求されます。

私のように研究をサボっていると、上司から目をつけられて、やれ学会発表をやれだの、この研究をやってみろだのいろいろ言われるようになります。
最初のうちはこれも良い経験だ、と思ってまじめにやっていたんですよ。

ですが、まったく楽しいと思えなかったのです。そして、一番残念だったのは周りの上司も楽しそうに研究している人がほとんどいなかったことです。まるで苦行のようでした。これは自分が選択した研究チームが勢いがなく、負のスパイラルに陥っていたためと思います。

 そういった研究チームだったので、何をやればよいですか?聞いても「とりあえずやってみろ」とか、「お前は甘い」などと言われてしまいました。自分が甘いことをは否定しませんし、もっと頑張れば違う世界が見えていたのかもしれません。私にはできませんでした。

若い先生は、研究をしたいと思ったら、実績をあげつつも楽しそうにやっている人の下につくとよいと思います。

経験値が積めない

 大学病院の医師ってレベルが高いと思われる方が少なくないかもしれません。確かに、専門性は高いのですが、本当の意味で実力があるかというと必ずしもそうではないと思います。

それにはいろいろな理由がありますが、その一つが意外に臨床の経験値が意外に積みにくい、ということです。

これはどういうことかというと、私が退局したいわゆる中堅医師 (10年目前後)は、大学病院では非常に微妙な立場となってしまうという事です。下の指導もしつつ、上のお伺いを立てないといけないのです。

下の指導はむしろ好きだったのですが、基本的な手技などはすべて譲らないといけない立場でした。中心静脈カテーテルの挿入など、もちろんできるにはできるけど、お恥ずかしい話もう何があっても怖くないとは言えない状態でした。

もっといろいろ自分でやりたいのに!と思いつつ下に譲らないといけないのは結構ストレスでした。現に退局してから中心静脈カテーテルの挿入は自分で言うのもなんですがレベルはかなり上がったと思います。

同時に、上の顔色もうかがわないといけませんでした。もうお前は自分で治療方針を決めるんだぞ、と言われるのですが、カンファレンスなどで自分の方針を変えられてしまうことが多々ありました。

もちろん、自分が間違っていたことも少なからずあったと思います。ですが、他人が決めた治療方針でうまくいっても成長には結び付きませんし、失敗したら非常にストレスが溜まります。

ということで、中間管理職的な立場になってしまい、成長が止まってしまうのでは?と思ったのでした。

需要の高いところで働きたい

 大学病院は医師がいっぱいいます。自分が一人欠けたところですぐに埋め合わせが派遣され、何も変わらず診療が継続されるわけです。まさに歯車として働いている、という感覚を持っていました。

このままただの歯車として医者人生を続けるのはどうなのだろう?少し診療の質が落ちてしまうかもしれないけど、市中病院でもっと経験値を積みつつ大車輪として働いてみたい、と思ったのでした。

現在市中病院の勤務となりましたが、想像以上に需要があり、良い意味でも悪い意味でも重宝されています。田舎の市中病院では、普通の医者でもとっても重宝されます。

医局を辞めて良かったか?

 もちろんよかったです。自分の意思でやめたわけですから後悔はありません。医局離れが加速度的に進んでいますが、ある意味当然と思います。

大学病院に残るメリットって、研究をしたいとか、医療の最先端に触れ続けたいという医者以外はほとんど残っていないような気がします。その上給料も安い、わけのわからないカンファレンスや委員会なども多いときたら、なおさらです。若手のうちは、いろいろな病院に勤務したり、同期と切磋琢磨したりして楽しかったんですがね。。

大学病院が嫌なら医局に残りつつ関連市中病院で勤務し続ければいいじゃない、という意見もあるかもしれません。ですが、それであれば私のように退局して好きな病院で働いた方が良いと思います。関連病院に居ようが、いろいろと面倒な仕事は降ってきますし、ずっと関連病院に居られるかも決定権は医局にあるからです。

少なくとも現時点では、大学である程度まじめにやってきた医者であれば需要はいくらでもあります。なんとなく大学病院で働いてしまって時間を無駄にするのはもったいないです。明確に大学病院に居続ける理由がない場合は、大学病院以外で働く人生も考慮してみることをお勧めします。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?