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サーフィンは自粛すべきか否か

湘南エリアに住んで約1年ほど経った。海をみて過ごす時間は、鬱屈とした日々の中で、少なからず癒やしを与えてくれる。私が住む鵠沼海岸は、サーフィンが盛んで、明け方から日暮れまでサーフボードを抱えた人々が行き交う。

コロナ禍以降、そんなサーファーたちに自粛を求める声が増えた。

今日の江ノ島はどうですか?

連日、テレビで江ノ島周辺の映像が映し出される。3月頃から徐々に人が増えてきて、外出自粛を求める中で観光客が溢れかえった。番組の出演者たちは連日「今日も人が多いです!信じられない」と苦言を呈する。

確かに、あふれかえる車と人に、付近の住民はあまり穏やかな気持ちではなかった。自分たちも海岸への散歩も自粛する中だから、なおさらかもしれない。しかしそんな状況も変わっていった。付近の駐車場は封鎖され、店も営業自粛となったことで、波が引いていくように人気はなくなったのだ。

ただ、それでも変わらなかったのが、サーファーたちの様子だった。

サーフィンは密なのか?

サーファーの半数以上は、おそらく付近の住民だ。冬でも、このあたりは多くのサーファーたちが日課としてサーフィンをしている。海岸には、サーフボードを乗せるためのパーツが取り付けられた自転車が相変わらず並ぶ。

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そうしたサーファーたちの姿に、テレビのタレントたちは「STAY HOMEですよ!信じられない」と声を荒らげる。

しかし、サーフィンは本当に駄目なのだろうか?

基本的にオープンエアな空間で、波待ちをするサーファー同士の感覚もソーシャルディスタンスが保たれている。多くのサーファーは、独りでやってきて、独りで帰っていくことから、砂浜での交流も少ない。

、、、なんて感じの声が、波乗り士たちから聞こえてくる。

コロナ対策の視点の違い

サーフィン中は密ではない。しかし、サーファーは海から上がってもマスクをしない。

サーフボードを自転車に乗せ、ウェットスーツを着て、家から海までやってくる。サンダルを脱ぎ、そのまま海に入り、波に乗る。付近の水道でボードを洗い、自転車にまたがって、また自宅へ帰っていく、ビショビショのまま。だからマスクなんてするタイミングはない。

これはジョギングをするランナーにも見られる光景だ。密でなく、オープンエアであれば、マスクをしないでいいと思っている人は少なくない。もしコロナに感染しても、自己責任だと。

しかし、それでよいのだろうか。

自己責任だと考えているのは、あくまでも自分が感染するか否か。もし自分が感染していたとしたら、行き交う人々にウイルスを移してしまうかもしれない。だとすれば、マスクをしない行為は糾弾されるのもうなずける。

しかし、ウイルスを持っていないなら、マスクをしろと言われるのはうざったい声でしかない。結局は視点の違いだ。

自粛か否か

何でもかんでも自粛しろという声も迷惑。しかし、自粛の声に言い返す声も、聞き苦しく感じる。ソーシャルディスタンスの外側で、思いやりを忘れ、他人を批判ばかりする発言こそ、自粛する時なのかもしれない。

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