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「抜く前」と「抜いた後」の前のほう

いつ出会ったのかすらわからない。気づけばずっと奥の方、ずっと奥の方で毎日一緒に過ごしていた。君のことを、両親は知らない。君の名は「親知らず」。

人によっては4本生えていれば、まったく生えてこないこともあると聞いたことがある。僕は4本生えている。正直なところ、歯並びが悪くなったぐらいで、痛みもないし、困ってはいなかった。しかし、右下は自分でもあきらかにわかるくらい斜めに生えていて、これがものがつまりやすいし、舌にあたって痛いときもあったりと、心地が良くない。

歯科医が嫌いなわけじゃない

これを言うと非常に驚かれるし、中には嫌悪を感じる人もいると思うが、実は歯科医にいったのは15,6歳ぐらいの頃にいったキリだ。それ以来、特に歯痛に悩まされることもなく、いく必要を感じなかったので、気づけば20数年足を踏み入れることがなかったというわけだ。

じゃあ、歯科医が嫌いかと言われると、まったくもってそうではない。世間一般でみれば、まったく嫌いでは部類に入ると思う。あのキィーンという音に不快感は感じないし、尖ったやつでグリグリやられても「あぁ、治療されているな」ぐらいで、なんとも思わない。独特の匂いも嫌いではない。

むしろ小中の同級生に歯科医の娘さんがいて、それがとても可愛かったなとか、その親父さんが面白い人だったなとか、マスクした衛生士の女性との距離感が思春期には刺激的だったなとか、そんな好印象なイメージしかない。

成人してからは、貧乏なら金がないし、金がある頃は忙しくて行く気にもなれないし、とにかく痛むことなんてほぼなく、歯もずっと健康なので、お世話になることがなかったのだ。

なんで今さらという話だ

親知らずを抜く理由はすでに書いたが、なんでいまさらなのかは、正直なところわからない。ましてや、今は不要不急な外出は控えるタイミングでもある。しかしだ、心がざわついたのだ。

先日、家から歩いて数分の歯科医を予約して、診てもらった。現時点で至急抜かないといけないこともなさそうだが、たしかに歯茎が腫れてきているので、抜いたほうがよいだろうとのことだった。心がざわついたというより、歯茎がはれていただけなのかもしれない。

電動歯ブラシに変えた

歯に関していうと、先日ずーっと歯ブラシでゴシゴシ磨いていたのを、電動歯ブラシに変えた。いろいろな歯ブラシを試してきたが、ずーっとしっくりこないまま、とにかく力加減やブラッシングの仕方を変えながら、歯医者にいくこともなく磨き続けてきたマイトゥース。

かつて付き合いのあった女性が、自分の部屋に荷物を置きはじめた頃、電動歯ブラシを部屋に置いてあったのをみかけた以外、間近で触れることもなかった。しかし、ドルツの水でプシャーっと歯間を洗うやつはもっている。電動歯ブラシより先に手をだした。プシャーっと歯間を洗うと気持ちが良い。デンタルフロスとのあわせ技でさらに気持ちがよい。でも、電動歯ブラシは買うことはなかった。

試してみたいと思ったことがないわけでもないが、簡単に友人間で試すものでもないし、恋人同士でも貸し借りするのが憚られる。とどのつまり自分用で買うしかないのだが、電動歯ブラシは、YouTubeでレビューしたら100万再生されるわけでもないし、パッと試すにしては値段が高いと思っていた。

だから買うことはなかったのだが、心がざわついたのだ。

実際は、たまたまドラッグストアで2千円ぐらいで売っているのを見かけただけだ。もっと高いものだと思いこんでいた。興味がないというのは恐ろしい。それぐらいから試せるなら、もっと早めに試せばよかったと思っている。

そんなこんなで安い(とはいっても、よくCMでみるブラウンのあれ)電動歯ブラシを使い始めたのだが、ファーストタッチの瞬間から恋をした。なんでずっと使ってこなかったのだろうかと思うほどに。食事の時以外も、磨きたくなるほど、めっちゃ愛用している。これを恋と呼ばずなんて呼べばよいのか。そうだ、歯磨きだ。

歯磨きが楽しくなったので、もっとキレイに磨きたいと思ったのが、親知らずを抜きたいと思った理由かもしれない。なんだ、心がざわついたわけではなかったのか。自分との対話は面白い。

数時間後には右側の親知らずはいざしらず

これは抜く数時間前に書いている。これから右側の上下を抜きに行ってくる。

実は病院では右側の下の親知らずの抜歯について話が進められていた。しかし、一箇所だけ抜いたらバランス悪くないのかと思い、上も抜いてもらうように提案したら「そうですね」と、かつての森田一義アワーの観客みたいな返答が返ってきたので、上下抜くことにした。

しかし、右側だけでは顔のバランスが悪くなりそうなので、左側も上下抜いてもらえないかと行ったら「大丈夫ですよ」とあっさりと言われた。じゃあ、一気に4本抜いてくださいと言ったら、「それはやめましょう」と提案された。一気に抜くのは、いろいろとリスクがあるらしい。ということで、右側だけ抜いて少し経過観測してから、問題なければ左側も上下抜くことで、我々の意見は一致した。

最新鋭の歯科医はすごいの一言。

実は、今回行くことにした歯科医の前に、もうひとつ別の院に電話して予約しようとしたら、現在は初診を断っているそうだ。小さい院なので、ソーシャルをディスタンスするためにそうしていると。で、今回の院に行き着いたわけだが、決してそこまで大きな院ではないのだが、CTスキャンなんてあって、その場で撮影した3D映像をみながら、丁寧に説明をしていただけた。

目の前に薄型テレビがあって、そこに「こんな風に治療しますよ」との解説アニメーションが映し出されたり、神経の位置がこのあたりだから親知らずを抜いても影響ないと思うといった話など、とにかくわかりやすく、迅速で、めっちゃ良い。最新鋭はすごい。

顔が腫れて、人生が晴れて

親知らずを抜いたら当然のごとく、顔の骨格も変わるわけだ。わずかな変化かもしれないが、小顔的な効果があるのだろうか。顔の脂肪を吸引してもらうほうが先かもしれない。

しばらく顔が腫れるらしいが、どの程度腫れるのだろうか。飲みすぎて顔がパンパンになる以外、顔が腫れたことがないので、それもまた楽しみだ。

あと、親知らずを抜く前と、抜いたあとで、人生が変わるみたいな話もきいたことがある。いわる顔相学的な話だと思うが、顔の形が少なからず変わるわけなので、それがどう影響するのかも楽しみだ。少なくとも、最近は暇ばかりしているので、逆にこれを機に忙しくなって、人生が晴れてくれたらありがたい。

では、このあと右側の上下を抜いてきてもらう。抜いた後の話は、またいつか。


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