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隠し砦の三悪人

先日、ふと黒澤明監督の作品を見たくなり、U-NEXTで検索をしたら、色々とヒットしました。以前七人の侍を見たため、やはり侍ものが見たいと思い、初めて隠し砦の三悪人を見たため感想を残します。

あまり詳しい記載しないようにしますが、読むのは自己責任でお願いします。

時代背景に関する表現はされておりませんでしたが、恐らく14世紀から15世紀の戦国時代かと思われます。

三悪人と言うくらいなので、事前にイメージしていたのは3人の侍か盗賊のような屈強な男がが出てくるものと思っていました。

実際見てみると、太平と又七という2人の農民と、真壁六郎太というとても強い侍の3人です。

この3人がお姫様と、隠して運んだ財宝を、守りながら同盟国へにげのびることが映画の本筋です。

ジョージ・ルーカス監督は日本のチャンバラに深く感銘を受けてスター・ウォーズを作ったといいます。ジェダイの騎士は『時代劇』から作った言葉だと言うのは有名です。

スターウォーズでお馴染みのR2D2と、C3POのコンビは、この太平と又七がモデルとのことです。

確かに太平と又七も喧嘩ばかりしていますが、仲が良くお互いを頼りにしています。
また、この2人は欲望の象徴とも言えるところがあり、度々財宝を持って逃げ出そうとしたり、そのせいでピンチに陥ることがよくあります。
その度に、お互いを励ましあって友情を再確認するのですが、またチャンスがあれば逃げ出したり、財宝の取り分をめぐって喧嘩します。

そんな2人を、侍の真壁が見限らないのは、強欲であるからこそ、褒美を与えればちゃんと動くということを見抜いているからです。

行動のベクトルは「財宝の山分け」と「生きて帰る」ことなので、扱いやすいと言えばそうでしょう。

一方真壁は姫を守ることと、お家を復興させる忠義の士です。
太平と又七とは全くの正反対と言えるでしょう。

僕らは皆、この両面を備えているでしょう。仕事に対して「この仕事は社会の役に立つ」「みんなに必要とされている」という『やりがい』の部分、また一方では「たくさんの給料をもらいたい」という『欲望』の部分。
どちらかだけではだめなんですよね。やりがいがあったって給料が安くちゃやってられない。
給料がよくたって、やりがいがあって楽しくなきゃやっぱりだめになる。

特に仕事をマネージメントする立場の人は、チームメンバーのそこをちゃんと理解していないとだめですよね。

敵の1人、田所兵衛という侍は以前、真壁と打ち合いをし、負けたにも関わらず首をとらなかったことに「情けをかけやがって!」と文句を言います。

これに対して姫様は「生かされた命をどう使うもお前次第だ」と一喝します。
ちなみに、このとき姫様は敵に捕まりいよいよ殺されるという時です。
「この旅は楽しかった。潔く死にたい。」と言います。

黒澤明監督はこの時の姫の姿に生き様を映したのかと僕は思っています。

姫様の言葉に感銘を受けた田所兵衛のこの後の行動はまさに、生かされた命をどう使うかを自分自身で切り拓いたものだと思います。

古い映画ではありますが、どう生きるかということを見つめ直すことができる素晴らしい作品です。

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