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【映画日記】『プリキュアオールスターズF』『オオカミの家』『バーナデット ママは行方不明』

2023年9月23日(土)

府中TOHOシネマズ 『プリキュアオールスターズF』
プリキュア映画はここでも何度か紹介しているように,娘と何度か観に行っている。そこでも説明しているが,毎回観ているわけでもなければ,娘がプリキュア大好きなわけでもない。でも,何となく映画館の入場特典でもらえるライトは欲しいようで,今回は観ることになった。
やはり客席の年齢は若く,騒がしい雰囲気はなんだか懐かしさを感じる。今回は,オールスターということで,メインとなるプリキュアもこれといってなく,むしろ適役が中心のようだ。最近のアニメは異世界ものが流行っているし,実写のSFでもAIものなどが多いが,その辺りを意識しながらも,完全に異世界ものでもAIものでもなく,そして悪の描き方も変わってきているように思う。多分,プリキュアは特定の支持者の間で再生産され続け,再度大きな波としてファン層が拡大するということはないような気もするが,映像表現としては強い支持層の期待を裏切らない安定さに加え,そこそこ新しい要素を取り込むということを続けていくのではないだろうか。

 
2023年9月27日(水)

立川シネマシティ 『オオカミの家』
先日,時間ができた時にいろんな映画館の上映作品を調べていて見つけた作品。南米はチリの作品だということだが,予告編で衝撃を受けた。一応,アニメ作品といっていいと思うが,いわゆる作画のアニメだけではなく,クレイアニメやチェコのカレル・ゼマンの人形劇的アニメなど,多様なものがあるが,本作はそんなアニメ界の新ジャンルを築きそうな作品。言葉で説明するよりも一度予告編を観ていただいた方が早いのだが,ほとんどが室内で撮影されている。壁面のペイントで表現されているのだが,壁面に描かれた人物(や豚)が次々と描かれる位置を変えて,これまで描かれていたものは塗りつぶされていく。壁面は別の空間表現で描かれる。また,人形も登場するのだが,いわゆる張りぼての人形で,表面にテープが巻きつけられ着色される。その解体と制作過程がそのまま連続的に撮影されて人形の動きを表現している。ともかく,その表現方法に驚かされる作品。ストーリー的にも意味不明で難解ということもあり,観ながら何度か意識を失う(寝てしまう)場面もあった(当日は3時に起きてしまった)が,素晴らしい作品。はるばるチリからきて日本で上映されたことに感謝したい。

 
2023年9月30日(土)

立川シネマシティ 『バーナデット ママは行方不明』
リチャード・リンクレイター監督作品。最近は『6才のボクが,大人になるまで。』という2014年の実験的な作品が代表作という感じだが,私にとっては何といっても1996年の『恋人までの距離(ビフォア・サンライズ)』だ。米俳優イーサン・ホークと仏俳優ジュリー・デルピーのラブ・ストーリーだが,2004年に『ビフォア・サンセット』,2013年には『ビフォア・ミッドナイト』(私は未見)を同じキャストで撮るというところも実験的。そして,何よりもこれらの作品はほぼ俳優たちの会話だけで成り立っているという極めて演劇的なシチュエーションであり,このどこにも逃げられない二人による対話によって,人間関係の本質が描かれるという点においてリンクレイター作品の神髄をみることができる。2001年に立て続けに発表された『ウェイキング・ライフ』では実写で撮った映像をアニメ化するという新しい手法があり,『テープ』では密室での二人演技という対話手法がもっと極限まで達している。そして,これらの多くにイーサン・ホークが配役されている。
Wikipediaなどを見ていると,いろいろ思い出がよみがえって語りたくなるが,それでも結局観ていない作品もかなりあることに驚いたりする。本作は実は2019年の作品ということだが,私が彼の監督作品を観たのが『6才のボクが,』以来なので,もう10年近くたってしまった。いずれにせよ,まだまだ魅力的な作品を撮ってくれていることを喜びたい。しかし,コロナの影響もあろうが,配給会社にももう少し頑張ってほしい。
本作は,日本語訳もされている原作があるとのこと。マリア・センプルの『バーナデットをさがせ!』というタイトルで昨年の11月に出ているようだが,映画のタイトルは原著と同じとのこと。主演のケイト・ブランシェットは私より1つ年上なのだが,本作でも本当に美しい。そして,作品のサイトによると,原作を読んで出演を本人が希望したとのこと。いやいや,本当に素晴らしい演技を見せてくれています。そして,なんといっても中学生の娘役を演じるエマ・ネルソンという俳優さんがとても魅力的。役どころとしても,建築家の母親とマイクロソフトのエンジニアの父親という才能あふれた,しかし親としては欠陥のある両親のもとで育った魅力的な中学生を演じている。愛すべき映画作品。


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