見出し画像

1-5少人数、決まったゴール、決まった日程・・・研究会シリーズ~グループワーカー感覚

レッツ中央(中央勤労青少年ホーム)に勤務するボクらは、当時闘っていた。その相手はマンネリ化したサークル活動だ。レッツ中央には、スポーツと文化活動のサークルが一〇数個あり、毎晩いろいろなサークルのメンバーが集まってきて活動をしていたが、やってきてはサークルの人数が集まらないとか面白くないとかいう愚痴をこぼしていた。そんなに面白くないものなら辞めてしまえばよいのに、それもできない。一度この負の連鎖に陥ったものは、なかなか元に戻すことは難しい。

そこで、ボクらスタッフが考え付いたのは、どこかの市役所でやっているというサービスを変化させたものである。それは、何かやりたい企画があるときに、三人が集まって申し込んだらそのサポートをします、というサービスだ。レッツのすばらしいところは、
「来館する青年の想いをカタチにする」ことにある。そんなことが当たり前になってきたのは、このころからの話である。それまでは、魚釣りと同じ、釣れそうな餌(事業)を撒いて来館者を増やす。しかし、今回の企画は、来ている人の声を聞いてそれをカタチにすることからスタートする。その条件は三人が集まること。このとき、ボクらがこだわったことは他に三つある。一つは、活動の最後をはっきりさせること。サークル活動の難点は終わりのない活動がいつまでも続くということだ。三回シリーズでおしまい。それでもやりたければ、終わってから立ち上げる。そういう気持ちで毎回の事業を作っていった。
もうひとつは、少人数制。三人でのスタートにもあったように、活動が面白ければ人数は集まってくる。今いる人たちを大切にすることが、その他大勢の人を想定するより重要だと考えた。
最後の三つめは、講師をつけないで自分たちで研究するということ。カクテル研究会を作ったときは、一冊カクテルの本を買ってきて、毎月一つベースのお酒を決め、それに合うカクテルを作っていった。誰も専門家はいない。レシピ本と自分の舌を頼りに、作っては飲み作っては飲み、だんだん酔っ払ってハイな雰囲気になる研究会であった。そんな馬鹿げたことをやっていると、別なサークルに来ている青年がバーで働いていることがわかり、急遽その青年に教えてもらいながら作った。圧巻だったのは、カクテル研究と称して、ノーチャージのお店を十数人のメンバーとハシゴしたことだ。もちろん、味や作り方のメモ帳を片手に・・・。

馬鹿げたことといえば、マラソン研究会も青年の声から始まった。
「マラソン大会によく出るのだが、一人じゃ面白くないので、みんなで出たい・・・だからマラソン研究会を作ってほしい」、と。目的もなく走ることに何の魅力も感じていなかったボクには、言語道断。しかもマラソンの研究など、やりたくない。でも、その話をすると俺もやりたい、私もやりたいという声が意外に多いことを発見した。半ば押し切られるような形でマラソン研究会はスタートした。みんなで練習するのも嫌だったので、基本は自主練習。大会にはみんなで出よう。そして、大会の後にはみんなで焼肉を食べながら一杯やろう!そういう内容にした。

キャンプ研究会、ビリヤード研究会、時間を上手に使う研究会、カレー研究会、お菓子作り研究会、聞き上手話し上手研究会、新渡戸稲造研究会等等。とにかく、短い期間で、少ない人数、そして自分たちの力で取り組むというのは面白いことがよくわかった。
グループワークの視点から行くと、目標がはっきりしていること、期限が決まっていること、そして自分たちで工夫できるということが大きな要素だったと思う。そして、短期間をねらっていたこの企画が、実はその後も短期間を繰り返し、最も息の長い活動に成長した。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?