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均衡財政と公会計 子どもにツケをまわさない 

今回ご紹介する本は公会計研究所の吉田寛先生が書いた「均衡財政と公会計」という本です。
公会計や均衡財政という言葉はなかなか聞き覚えがないと思う方が多いのでは?
調べてみると以下のような説明でした。  
均衡財政とは... 収入と支出が均衡をたもっている財政のこと。
公会計とは... 公会計は民間企業ではなく、国や地方公共団体で行われる会計のこと。


ここからは、本の内容を一部紹介します。

①会計の意味


司馬遷の「史記」という本の中から会計の語源の話から解説がはじまります。
約4000年前の治水工事のお話で
黄河の治水事業を命じられた鯀という黄帝の
曾孫にあたる人が9年かけて堤防を作るが
よくならず民の労役を無駄にした(今で言う税金の無駄)ために死刑になり、息子の禹が事業を再開したところ今度は成功し民が豊かな生活になったことから、
「禹は一緒に仕事をした諸侯(近世の諸大名)と江南でって功績をった」
これが会計の始まりで、人の能力を適切に評価して適材適所を実現することが会計だと説明されていました。

②税金を払うのは、納税者が承諾するから。


憲法第30条
「国民は法律の定めるところにより納税の義務を負ふ」

この憲法は一般的に広く理解浸透していると思います。
だからこそ、税金が高くとも払わなきゃ。と思いきちんと税を払っている人は多いはず。

が、しかし!この本には、
憲法の前文には「主権在民」と書いてあると指摘し、課税権は国民にあり我々が承諾するから
払うんですよ。と説明しています

*主権とは…略奪する力、課税する権利

承諾をする事、税金に対する意思表示は
選挙になります。
そこから繋がってくるのが、選挙権を持たない子どもたちの話。
子どもたちには税金を払う意思表示ができないんですよね。

子どもにツケをまわすってどんなこと!

本の中では税負担を2012年度国家予算で
説明していました。
国民1人あたりの計算だと
1人につきおよそ42万円の税金を払うが、
92万円を使っている(50万円の赤字)
この赤字が子どもにツケがまわったこと

なるわけです。

③そもそも税は略奪

民という字は人の目を針で突いているところを表したものが始まり。
昔の奴隷は片目を傷つけられ白濁した目が目印で命令に反抗せず従う人、素直な人という意味が「民」という字になったとか。
現在の民はそんな事はありませんが、
4つの方法で民の目はつぶされていると
説明しています。

第一の方法
主権者が何者かを忘れさせる
第二の方法
主権者に情報を提供しない
第三の方法
主権者に選択肢を提供しない
第四の方法
税制度を複雑にする

まず、税が何種類あるかをご存知ですか?
と問いかけています。
この本が書かれた当時で
国税22種類、地方税は45種類でした。
種類だけでも覚えきれませんが、その制度も
となると一般人では理解不可能な気がします。

主権者とはだれか?

②にもありましたが、
憲法の前文に書いてあります。
主権が国民に存することを宣言し、とあります

海外での重税による争いの歴史で示されたこと

1789年フランス人権の第14条
「税の負担には人民の承諾が必要だ」
税を払う根拠が示された

1776年米国の独立宣言の理由の一つ
「我々の合意なしに課税した」
英国国王の罪状の一つとして記された

米国の第30代大統領カルビン・クーリッジは
政の本質を、このように述べた。
「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」

富の本質

アダムスミス 「諸国民の富」
良い取引が増えることで、社会的な富は蓄積される。良い取引とは、お互いにありがとうで終わる取引だといいます。
逆に悪い取引は、どちらか一方の富だけを増やします。
取引とは、「私の欲しいものをください、そうすればあなたの欲しいものをあげましょう」


税金を払う時ありがとうと言えますか?

④この人でいいのか?


主権者の選択肢には、二つの側面

1、自分で稼いだお金を自分で使う(減税)
  政府が使う(増税)
2、成すべき仕事を自分でするか、能力のある 
  人に任せる

最近は2にある能力のある人に任せるが行政に任せるに置き換わることが多いけど、選挙で選ばれた人の能力の有無はわからない

2003年度末からの総理大臣が残した「将来の税金」と「納税者の持分」の推移
子どもにまわしたツケは増加し、国民の持分は
マイナスになっている。↓



感想

この本の内容は、私にとって非常に新鮮な内容でした。普段自分がお金を払うのは、自分の目的を達成するためであり、相手のためではないとは思っていましたが、税金についてもそれは当てはまることがわかりました。
この本では良い取引にはお互いの合意と感謝が必要であることが強調されています。
そして、現在の日本では税金を払っても使途は分からず、自分の生活が豊かになっている実感もなく略奪のように感じてしまう状況になっていることが改めて理解できました。
このことは本来最も大切なことなのに、私たちはそれを忘れてしまっているか、気付けなくなっているのだと思います。
だからこそ、どの部分を抜粋するかに悩みました。出来れば他人事とは思わずに興味を持ってこの本を読んでいただけると嬉しいです。
会計についてですが、数学的なイメージを持っていました。数字を合わせて赤字や黒字にするといったイメージです。
しかし、この本では会計は適材適所の考え方を持つことが重要だと教えてくれました。
「能力のないものにやらせてはいけない」
この言葉の意味は数字として表れていると
思います。
きちんとした公会計が行われれば、現在のように問題が山積みだ!とは政治家は言わないはずです。無限に事業が増えて国民負担率が約50%になることもなかったのではないでしょうか。

子どもにツケをまわさない。
この意味については選挙権という意思表示を持たない子どもたちが大人になった途端に重税を強いられることは問題だと思います。
更に税金を使い計画した事業で失敗し、子どもたちが大事にしていた物が大人になるまでに消えてしまったらどうでしょうか。
個人的には選挙制度についても疑問があります。
年齢問わず子どもたちはすでに買い物などで
直接税金を払っています。
これから生きていく時間を考える上でも、
子どもたちが1番長く社会と関わる訳です。
しかし、現在子どもには選挙権はありません。
その逆に要介護状態にあり理解力が低下した
状態であっても高齢者は選挙権を持っているというのはかなりの矛盾を感じます。
個人的には、まだ社会の仕組みを理解できていない状況にある子どもの訳のわからない不満
という意見はとても重要なのではないかと考えます。(わかりずらくてごめんなさい)

いつもより、長々と書いてしまいましたが、
なかなか下手な文章ですが、お読みいただき
ありがとうございます。

ご興味を持たれた方は
公会計研究所 吉田寛先生
を検索🔍してみて下さい。




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