見出し画像

世界での活躍が期待される日本人アーティスト

日本の音楽業界は世界から遅れを取っているという言葉を耳にすることがよくある。しかしそれは音楽産業という大きな括りの意味においてであり、グローバル市場で活躍が期待できるアーティストは多くいる。またTiny Desk Concertに出演したCHAI、アジアにファンベースを持つThe fin.など既にグローバルに活躍しているアーティストがいることも事実としてある。音楽配信が主流になり楽曲を世界へ届けることが容易になった時代に、海外での活躍を目論むアーティストが今後さらに増えてゆくことも間違い無いだろう。今回は個人的に気になっているグローバルな活躍が期待される日本のアーティスト4組を紹介したいと思う。


NTsKi

NTsKi(エヌ・ティー・エス・ケー・アイ)は京都出身のアーティスト。エレクトロをベースに多様なジャンルの音楽を吸収したであろうトラックに、キュートでどこか不気味さも感じるボーカルがNTsKi独自の世界観を作り上げている。アートワークやMVのディレクションなども自身で手掛けているとのこと。"1992"のMVは脱力感と夢の中にいるような不思議な世界観を感じた。

またDYGLのYosuke Shimonakaが参加した"Heaven"も必聴だ。心地良いベッドルーム感と囁くようなラップに近いボーカルが上手くマッチしている。最新アルバムの『Orca』は米オハイオのエレクトロレーベル〈Orange Milk〉よりリリースされており、今後もグローバル市場での活動が期待される。


MÖSHI

TOWER RECORDSによるキュレーションメディアTOWER DOORSでPOWER PUSHをされていたこともあり、早い段階で注目していたラッパー。ロンドンのセントラルセントマーチンズ芸術大学を卒業後、UNIQLOからスポンサーシップを得て、ニューヨークのパーソンズ美術大学院に在学しファッションデザイナーとしても活躍している。またLaastcというクリエイティブコレクティブの中心メンバーでもある。

フジロックのROOKIE A GO-GOステージで披露された"Back And Forth"はLaastc所属Pause CattiのExperimentalなビートにMÖSHIの特徴的な声色のラップが乗る。バース部分のバリトンヴォイスと、フックでのファルセットのギャップには驚かされる。"Back And Forth"のようなオルタナティブな楽曲もあれば日本のヒップホップシーンにも呼応する楽曲もあり、最近ではkiki vivi lilyとのコラボも話題となっている。McGuffinで彼の特集が組まれておりMÖSHIの音楽やファッションに対する考え方を感じることができる。

音楽に留まらずファッションやインスタレーションなど様々な表現活動で世界を舞台に活躍が期待できる存在であることは間違いない。


Ryuuta Takaki

東京を拠点に活動するビートメーカー。ヒップホップ、アンビエント、エレクトロニカ、チルウェイヴなどの要素を取り込んだサウンドでありながらジャンル化できないクロスオーバーで実験的なサウンド。コラージュ的楽曲アプローチから感じる不気味さ、アンビエントで見せる壮大な景色の中にある脆さは全てRyuuta Takakiのパーソナルな部分を映しているように感じる。海外レーベルからのリリースや映像作品への楽曲提供なども行なっており多方面で活躍している。

またオルタナティブとオーバーグラウンドを繋ぐ交易路としての存在を標榜する音楽レーベル、makranの運営も行なっており日本のアーティストの中でも稀有な存在であると感じる。

音楽制作に対する考え方や自身の生い立ち、レーベル運営を始めたきっかけなどを語っているビデオインタビューがあるので是非チェックして欲しい。


Gliiico

東京を拠点に活動するバンド。彼らは日系カナダ人ということで日本人アーティストという括りから外れてしまうかもしれないが(そもそも国籍で一括りにすること自体が間違ってるかもしれない)どうしても紹介したい。

長髪が特徴の3人は兄弟で昨年の3月に1stシングル『Around』でデビューしたばかり。それぞれがファッションモデルや音楽プロデューサとして活動をしており、3人全員が日本へ移住をしてきたタイミングでGliiicoの活動を本格的にスタートさせたとのこと。

最初にGliiicoを知ったのはRakuten Fashion Weekのプロモーションムービーで、使用されている楽曲"Nonchalant"の圧倒的なカッコよさと、ムービー内で登場する3人の特徴的なヴィジュアルに完全に魅了された。サイケデリックな雰囲気にノスタルジーも混在する何故か新鮮な音像だった。最新リリースとなるEP"Ephemeral"は私が最も好きなヒップホップアーティストの一人であるLootaとの共作。Gliiicoが奏でる温かくも実験的で個性的なサウンドにLootaの抽象的で詩的な言語表現が絡み合い全く新しい独自の作品を生み出している。

既に世界を舞台に活躍しているLootaとのコラボレーションや、あるインタビューの(日本から世界に発信できるバンドになりたい)との発言からも今後日本からグローバルに活躍していくアーティストになると確信している。


まだまだ紹介したいアーティストが沢山いるが、今回はNTsKi、MÖSHI、Ryuuta Takaki、Gliiicoの4組を紹介した。今回紹介した4組に共通して言えるのは強い個性を持っているということで、この個性はグローバル市場で戦う強烈な武器になることは間違いない。今後も4組の活躍に注目しながら応援していきたいと思う。


Genya

website : https://www.genya.online

Instagram : https://www.instagram.com/genyahamada/

Twitter : https://twitter.com/genya_hamada?lang=ja

Streaming : https://linktr.ee/genya

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?