つまり、データサイエンティストとは何であってほしいのか。きわめて個人的な観点から。

私、だみ〜、データサイエンティスト歴がすでに5年目に突入し、そろそろシニアデータサイエンティストを名乗ってもいいのではないかと思っているのですが、その上で、自分はこういう理由でデータサイエンティストとして名乗るし、こういう理由でデータサイエンティストとしてやっているんだ、やっていくんだ、というのを改めて書こうかと思います。

一言に言ってしまえば、データサイエンティストとは、データを数理の力で競争力に変える存在、だと思っています。

この、数理の力でっていうのが非常に自分にとっては重要な点なのです。

というのもですね、2000年代後半の当時、田舎の高校で悶々と暮らしていた自分は、数学の才能がないことはなんとなくわかっていたのです。
どうあがいても全国模試に名前とか乗らんし。数学オリンピックとか出ることすら検討してなかったし。同級生に一人そういうの積極的にでてる超人が居たんですが、別世界で、東大受かるか受からんか微妙だな〜。でも俺勝負強いし、まあなんとかなるだろな〜と思ってました。それでも漠然と、東大にはホンモノの数学とか物理があって、俺はそれをやるんだと思ってたわけです。

で、そこからなんとか東大に入って、通ってたんですが、その当時すでに同級生とかにはものすごいカシコがたくさんいて、あんまり成績も良くなくて、端的にヘコんでたんですね。数学とか物理好きだけど才能ないわ、俺もうどうやって生きていこう的な。

そこから優秀な友達がたまたま出来て、そいつが当時あんまり人気のない電気にわざわざ行くというので、まあ助けてもらえるかなと思って行ったわけです。履歴書にカタカナを書きたくなかったというのも理由の一つです。
そしたら、ある程度成績も好転しまして(たぶん、ドイツ語に勉強のリソース、取られてたのかな……)最終的にそこそこな感じで、大学・大学院と出るわけです。

その時期に自分のメンターになってくださった人もすごい人ばっかで、そういう人たちのマインドセットを研究を通じて学べたなあ〜と今思い返してもしみじみしています。ヘコんだ時にとりあえず温かい飯を食うのも、本代をケチらないのも、メンター達からの教えなので守っています。あれ、研究のマインドセットじゃなくない?まあいいや。

B4からM2では、実験もやったし、コンピュータシミュレーションもやったし、紙ペンな研究もやったし、数学・物理の才能はなくても、まあ、こういう仕事、やれるなあ〜と思ったわけです。人生はなかなか捨てたもんじゃないなと。数学の模試ランカーじゃなくても、ちゃんとそれなりに数学や物理のことを考えて暮らして行けるんじゃん、と思ったわけです。

で、某SIerに入ったんですが、そこではまあ、めちゃめちゃにハマらず、大変でした。
当時はそれこそ2016年で、TJOさんのブログを読んでて、ああ、こういう仕事が世の中にあるんだ、なら俺これやろ、某SIerくらいでかい会社ならこういう仕事、あるだろ、と思ったんですが、配属のミスマッチが激しかったんですね。ちなみに、新卒研修もまあまあ厳しかったです。

そこを逃げるように辞めて、某大手web系に本当にたまたま拾ってもらって、イキった若者の私を本当に暖かく教育してもらい、そのあと現職に至る感じです。
そこでは数理や問題解決に強い人がたくさんいて、問題解決手法として数理・統計的なアプローチが実際にワークしていました。自身はそれに強く影響を受けています。

ここまで、ざーっと自分語りをしてきたのですが、統合してみると、結局以下の理由で、データサイエンティストとは、数理の力でデータを競争優位性に変える存在でありたい、と思っているのです。

それは何かというと、下手したら自身が小学生の頃くらいからずっと持っている、数理的なものが好きだ、これで世界を良く出来る、という気持ちを、世の中にぶつけることが出来る仕事であってほしいからなのです。それが、決して大したことなかった自分でも。そういう仕事がなくなると、自分は何をやっていいか全くわからないから、端的に困るのです。

このモチベーションを果たすためには、アウトプットの形式や、ロールなんてものにこだわってはいけないのです。
つまり、データサイエンティストにとっては、誰かの意思決定の精度を上げ続けるのも、データから筋の良さそうな施策を提案するのも、バックエンドのロジックの性能の向上をするのも仕事であるべきだと思っています。(ちなみに、新規事業や事業開発だけはデータに基づいてやるようなもんではないと思っています。これだけは言っておきたい。)
もちろん、こんなこと、一人では到底なしえないので、たくさんの人を巻き込んで、問題解決にあたっていく必要があります。これがまた、この仕事を、どうしようもなくやりがいのある仕事にしているのだと思っています。

ということで、秋の夜長の、極めて個人的なデータサイエンティスト論でした。
自分語りはするなと教わってきたのですが、でもそろそろ、データサイエンティストという単語やその定義の独り歩きに対する自分なりのメッセージを書きたくて、書いてみました。
刺さる人がいればいいな〜と思っています。

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