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ビヨサイユ宮殿を自分なりに読み解く(追記)

はじめに

2022年11月11日~11月20日にスペースゼロにて開催された
BEYOOOOONDSによる舞台
「ビヨサイユ宮殿」についての記事になります。
いろんな人とお話しながら、個人的にこの舞台について考えたことを記しておこうと思います。
個人的な感想になりますので、色々なご意見はあるかと思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。
そこまでネガティブなことは書かないとは思いますが…。
なおここからはネタバレもございますのでご注意ください。


ビヨサイユ宮殿の難しい位置づけ

BEYOOOOONDSにおける舞台に関しての感想については以前から記していますが、
寸劇を行うグループとして、
須藤茉麻さんやこぶしファクトリーと共演しながら、演劇に奮闘した「不思議の国のアリスたち」「リボーン~13人の魂は神様の夢を見る~」

そして、KANA∞さんの力を借りつつも
ほぼ12人だけで、アイドルの魅力を最大限に活かした舞台として集大成になった「アラビヨーンズナイト」

12人でひとつの集大成ができたからこそ、更なる進化を求められた中で
複雑なストーリーかつダークファンタジーの本格派演劇をやり切った「眠れる森のビヨ」
この「森ビヨ」が完成度が高く反響もあったことで、BEYOOOOONDSにおける舞台での成長のステップアップは順調に進んできました。

その中で行われる「ビヨサイユ宮殿」
12人で「アイドル舞台」も「本格派演劇」もできると証明してしまった中でどの位置づけとして観る舞台なのかというのは難しいところではありました。


際立つ楽曲の良さ

「ビヨサイユ宮殿」の最大の良さは楽曲にあったと思います。

「ファーストステップ」を始めBURUBOOOOONDSによる、普段聞けないような王道アイドルソングから
マリーによる最後の訴えで使われたかなりクールなダンスナンバーまで多彩な楽曲を楽しむことができました。
ラ・マルセイエーズを彷彿とさせる「戦いの歌」も味がありましたし、
デュバリ・ドミニクが貴族の意地をみせるインパクト抜群の楽曲も聞きごたえがありました。

ルソーによる講義の歌も平井美葉さんの声を活かしたメロディー
そして難しい世界史実をアップテンポで繰り出す爽快感
更に革命前夜の不安定な情勢を煽る雰囲気を醸し出したダンスやパフォーマンスなど、全楽曲の中でも好きな楽曲でした。
ルソーのストーリーテラーの場面でもBGMとしてイントロが流れており、本人の演技との世界観がすごく好きでした。

全編通して、マリー扮する山﨑夢羽さんの歌唱力を活かした楽曲が多かったですし、その伸びやかで透き通る歌声はとても聞き心地がよかったです。

BEYOOOOONDSの高いパフォーマンス力を舞台の世界観の中で様々な角度で見せる。
アイドルとしての舞台として王道の楽しさがそこには詰まっていたと思います。
その中核として務め上げることができる山﨑夢羽さんが主役として抜擢される理由も頷けました。

そして前述のどの位置づけの舞台かを問われれば
「王道アイドル舞台」になるのだと思います。
「アラビヨーンズナイト」でやったとはいえ、
そこから約2年。そのころからBEYOOOOONDS全員の成長もあると思いますし、
そもそもアラビヨーンズナイト以降の2年でファンになった方もいることなので、このタイミングでの「王道アイドル舞台」はありなのかもしれません。

魅せたいがための副産物

ビヨサイユ宮殿の脚本家が発表された際に
それまでの手がけた作品からも、今回の王道のアイドル舞台はなんとなく予測していました。
(森ビヨでは何も準備していなくて大変な目に遭ったので)
というわけで、脚本がどんなご都合主義であろうとBEYOOOOONDSが輝いていればいい。そんな気持ちではいました。

とはいえ、初回に観劇した際に
舞台の世界観で輝くBEYOOOOONDSに没入しきれなくなるほどの
「あ、そんなあっさり?」「え?そうだったの?」みたいな「?」が浮かんだのは確かでした。

その原因はなんだったのかを考えると、
前述の
「BEYOOOOONDSの高いパフォーマンス力を舞台の世界観の中で様々な角度で見せる。」
という点を果たすために様々なエピソードを盛り込んだことにあるのかなと思いました。
エピソードを盛り込んだことで多くの楽曲を楽しむことができた反面、
受難→パラレルワールドへ→楽曲→解決→ストーリーテラーの繋ぎ→受難という流れになり
各エピソードの詳細や、心境の移り変わりが捉えづらくなってしまったところがあったのかなと感じました。

1クールのドラマやアニメだったらストーリーに没入できる作品だったのではないかと他の方が言っていましたが、
確かに105分の舞台に詰めるにはこれが精一杯だったように思えます。
色んな魅力をみせたいがための副産物でした。

マリーとリーナが美鈴としとね
山﨑夢羽さんが再びマリー・アントワネット
アリス達とBURUBOOOOONDSと
色々既視感があったのもありますが、
これは最初にどんなご都合主義でも構わないと覚悟した以上指摘するのはフェアじゃないかなと思いました(笑)
どうしてもアイドル舞台という大筋が重なれば設定も似てしまうのは仕方ないのかもしれません。

そしてシンプルに短い期間で舞台を作り上げなければならない難しさもあったかもしれません。


今までの舞台を観てきたからこそ

今までの舞台を見てきたからこそ
リーナを演じた里吉うたのさんの抜擢には嬉しさを覚えました。
アラビヨーンズナイトや森ビヨでは個人的印象的なシーンを演じていて存在感があったので、カーテンコール終わりに座長山﨑夢羽さんとお辞儀をして袖に帰る姿に涙が出そうになりました。

そして高瀬くるみさんや清野桃々姫さんはこの舞台でも高い演技力を見せてくれましたが、演技力が高いからこそどうしても舞台に足りないピースを埋める役割を担う傾向がありました。
ただ、他のメンバーも演技力が高くなっていますし、
雨ノ森川海の最初のコンセプトもあることですし、ぜひこの2人の主演を観たいと願っていますし、
この2人の主演舞台がBEYOOOOONDS×舞台でやり残したことなのではと思っています。

最後に

前作、「眠れる森のビヨ」は
アイドルBEYOOOOONDSが高い演技力でダークファンタジーを見せたというギャップとインパクトにより、大きな影響を与えたと思います。
だからこそ
観る側がBEYOOOOONDSの舞台は「本格派」を観るというベクトルに合ってしまった感がありました。
そのベクトルで見てしまうと今回は物足りなさを覚えるかもしれません。

しかし
キラキラしているBEYOOOOONDS12人を観にきた。
2回目の観劇でベクトルを変えて観た。という人には楽しかったと思います。
そもそもエンタメコンテンツは色んな人が色んなベクトルで見て色んな感想を持って帰るもの。
改めてそれだけ森ビヨのインパクトの大きさを感じました。

ただこの舞台はBEYOOOOONDSへのリスペクトは大いに感じた舞台でしたし、BEYOOOOONDSの良さを引き出そうという気持ちが伝わってきました。
色んな舞台を観てきた中でリスペクトを感じない舞台にも出会ってきたわけなので、やっぱりこの舞台はいい舞台なのだと思いました。

というわけで、
冷静にビヨサイユ宮殿を見つめなおした中身となりました。
共感していただけるかは分かりませんが、備忘録として観ていただけると幸いです。

本当に最後に
ルソーのことが本当に好きでした。
ルソーを観に劇場に通う日々はとても楽しかったです!

それでは!また次の投稿で!