ホームドアから離れてください 7┃北川樹
僕たちは入部以来ずっと、二年生のクドウ先輩に基礎を叩き込まれていた。正面に向かって右の壁ぎわで、経験者の練習のじゃまにならないようにこぢんまりと三人で固まって、初心者向けの練習をする。
クドウ先輩の指導は気をつけの作法から始まった。気をつけ、立礼、正座、座礼、起立、そのどれもに決まった姿勢と手順があった。気をつけなら、かかとをつけてつま先を離す。礼をするときは腰から体を折って、両手の指先が膝の上端に触れるように。正座をするには、立った状態でまず左足から引いて座る。右足ではい