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5分で分かる!脂質異常症の予防とケア~コレステロールって何?~

みなさん、こんにちは、春カルボナーラです。
今日は、脂質異常症のよくある質問について、医療関係者の方から一般の方まで、明日から使える知識を分かりやすくお伝えしたいと思います。

「健診で、コレステロールが高いって言われたけど、このままでいいの?」
「病院に行くと、一生薬を飲まないといけないんじゃないか?」
そんな心配を抱く方やご家族が悩んでおられる方も少なくないのではないでしょうか。

総合診療医として約10年間、大学や地域で勤務し、市民の方への無料講座や医療相談を行っている経験から、日々の生活に役立つ予防とケアのコツを5分程度でさくっと読めるよう、嚙み砕いて書きました。

それではさっそく、ここだけは押さえてほしい!「脂質異常症の予防とケア~診断編~」のまとめです。

・LDLコレステロールは「血管にコレステロールを運ぶ輸送車」。
 だから、下げたほうがよい!

・中性脂肪は、摂取した余分なエネルギーが蓄えられたもの。
 糖質・アルコールも、脂肪となり体内に貯まる。

・冠動脈疾患のリスクに応じて治療目標や治療方針が変わる。


1) LDLコレステロールは「血管にコレステロールを運ぶ輸送車」。だから、下げたほうがよい!

脂質異常症の診断には、中性脂肪(トリグリセライド;TG)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロールなどの数値の基準が複数あります。
そのなかでも、LDLは、主に肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ、「輸送トラック」のような役割を果たしています。一方、HDLは、余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す「清掃トラック」の役割を果たしています。LDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁にプラークという動脈硬化のもととなる物質がたまっていくため、LDLコレステロールを下げることが動脈硬化の予防のために重要です。
引用:小林製薬



2)中性脂肪は、摂取した余分なエネルギーが蓄えられたもの。糖質・アルコールも、脂肪となり体内に貯まる。

食べ物から摂った脂質は、体内で中性脂肪という形に変化することで、血液を通して全身で主にエネルギー源として使われます。そして使われずに残った中性脂肪は、肝臓や皮下脂肪として溜まっていきます。摂取したエネルギーとは、油だけなく、アルコール、糖質も、脂肪として蓄えられます。糖質ゼロのアルコール飲料もありますが、アルコール自体、「純アルコール量1g=7kcal」のエネルギーがあるため、注意が必要です。

3)冠動脈疾患のリスクに応じて治療目標や治療方針が変わる。

脂質異常症の治療は、心血管合併症のリスクに応じて治療の基準や治療方針が変わります。具体的には、「吹田(すいた)スコア」という予測ツールを使い、「将来、冠動脈疾患を発症するリスクはどれくらいか?」を予測し、LDLコレステロールの管理目標値を決めていきます。
(最新の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、久山町スコアが採用されていますが、今回は省略します)

例えば、70代のAさん(喫煙なし、脳梗塞なし、若年冠動脈疾患の家族歴なし)という方の場合、冠動脈疾患のリスクは一番低い「低リスク」に分類されるため、LDLコレステロールの治療基準は160未満となります。
健康診断の結果で、基準値を(140)を越えていたとしても、低リスクのばあいは、すぐに薬とはならず、まずは、生活習慣の改善を行っていくという治療方針となります。


では、どうしてコレステロールや中性脂肪を下げないといけないのでしょうか?それは、心臓や脳の合併症を防ぐためです。LDLコレステロールが高い状態だと、血管壁にプラークがたまり、動脈硬化が進行するとお伝えしました。さらに動脈硬化が進むと、血管が古いホースのように柔軟性がなくなり、「やぶれたり」、「つまったり」しやすくなります

これがゆくゆくは、心筋梗塞や脳梗塞につながります。
心筋梗塞は「心臓の血管がつまった状態」、脳梗塞は「脳の血管が詰まった状態」です。これらの合併症を防ぐため脂質異常症の治療が重要です。


語弊のないよう記載し、引用文献やサイトを記載していますが、分かりにくい箇所や修正が必要な場合は、随時更新したいと思います。ご容赦頂ければ幸いです。

それでは、次回、薬物治療について解説します!

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