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自己紹介

蜘蛛が宇宙空間で巣を作ることは可能なのだろうか。そういう実験があった。蜘蛛を国際宇宙ステーションに送り込んだのだ。

蜘蛛は自分の体重に見合う太さの糸で巣を作るそうだ。大きめの蜘蛛は太い糸で巣を作り、小さめの蜘蛛は細い糸で巣を作る。『大は小を兼ねる』と人間のようにドバドバ消費せず、ほどよい太さの糸を節約して使う。

それなら自分の重さが分からない、無重力状態の宇宙空間ならどういった巣を作るのか。あるいは巣を作らずに、全てを悟った虚無の顔をして、浮遊しているだけかもしれない。

しかし結果として、蜘蛛は巣を完成させた。やはり最初のうちは上手くいかない。感知出来ない自分の重さと、無重力空間との均衡を保つので精一杯だ。やっと作れても、すぐにそれは破れる。その繰り返しだ。しかし蜘蛛は時間をかけてそこに順応していった。最後にはさながら『龍の髭』のように極めて細い一本々々を繰り出し、巣の中央に鎮座した。

新生活を始める身として、蜘蛛のように『自分の重さ』を認識し、『場の空気』と調和する能力が高いものになりたいとつくづく思う。

※蛙の画像貼ります。

今思えば生まれてからけっこうな年月が経ち、学びえたものも比較的多いように思う。しかし、案外にもそれは社会という巨大な構造体の中では矮小だった。まさに『井の中の蛙』。蛙も蛙、⤵︎ ︎である。

世界で1番小さい蛙 パエドフリン・アマウンシス
体長はわずか7mmほど

自分という存在が貧弱ならば貧弱で、なんとかその場に居続けようとふんばる精神も重要だが、小手先の工夫、変に言えば、狡がしこさも必要かもしれない。その場、というのは、想像しえるなかでもっとも自分らしさが発揮出来ない空間。なにもしなければただ浮いているだけということになりかねない、空間のことだ。

そこには昔なじみの友人もいないし、我儘をゆるしてくれる先輩もいない。マスクというある意味での防火壁も取り壊され、思いがけぬことを口走ってしまったり、あるいは言われたり……。(思えば、相手の表情が分からないという緊迫した状態の中ではあったが、マスクというものは相手と良い距離感を保つための役割を果たしていたのだ)

そして、浮いてしまう。ぎこちない空気に一瞬でもなってしまったら、死にたくなる。死にたくなる、は言い過ぎだけれども、少なくとも自分を客観視したくなくなる。

けれども蜘蛛は、ただ浮いているだけではなかった。無重力という訳の分からない未知の空間の中で、巣作りの本能というのか、生まれながらにしての使命を成就してみせた。まさか蜘蛛に嫉妬することはないが、自分なりにこれから頑張るつもりだ。

そして、遅れましたが、よろしくお願いします。いつまで続けるかも、このアカウントの方向性も分かりませんが、主に文学、旅行、音楽などを中心に書いていきます。

1曲添えておきます。また今度。


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