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シルバー記念日

先日、少し混んだ電車に乗っていたら、なんと、生まれて初めて席を譲られました。見ると、30歳位の若い女性が優しく微笑んでいました。
私はマスクをして帽子をかぶり、背筋もピンと伸ばして立っていたつもりなので、いったいどうしてそんな年寄りに見られたのかと、一瞬戸惑いましたが、折角のご厚意を無にしてはいけないと思い直し、素直に座ることにしました。

 譲られし電車の席の初体験

 電車席どうぞと言われ周り見る

 折角の厚意素直に受けなさい

座ってみると、やはり楽なので、そんな年かと妙に納得したのでした。

 譲られてやっぱり座るお年頃

 自分ではいくら若いつもりでいても、帽子の下からはみ出した白髪までは隠せなかったようです。

 熟年のつもりでいても高齢者

 途中の駅でその女性が降りると、私はどういう訳か、なんとなくほっとしました。その女性には申し訳ないと思いながらも、どことなく居心地の悪い照れくささから、ようやく解放されたような気分になったのでした。

 譲られてお尻の下がむず痒い

その日が、私にとっては、自他ともに認めるシルバー記念日となりました。

この67歳にして初めての体験は、まるで初恋のように、ほんのりとほろ苦く、ちょっぴり切ない思い出となることでしょう。

 シルバーの席譲られて記念日に

 私はこれから先も、この記念日の初々しさを忘れずにいようと思っています。そのうち、席を譲られることに違和感がなくなり、しまいには、譲らない若者に腹を立てるような年寄りにだけはなりたくないものです。

 譲られて泰然自若大あくび

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