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息子の病と...この10年①

⭐️高校1年の秋🍂
息子の調子がどうもおかしい。

当時仕事がドタバタし始めて
私自身も何だか余裕がなくなっていた頃。

娘から「竜ゴロの話を聞いてやってぇね、母さん!」と言われた時、咄嗟に出たのは「母さんも忙しいんよ!ちょっと待ってよ!」の言葉。

息子は元々あまり話をする子ではなく、学校での様子など殆ど聞いた事がない。
そんな子なんだろうと、私はさほど気にもしていなかったのだが...
その時の息子の姿は、それまで見た事のないようなもので、今でも思い出すと泣けてくる。

ゆっくり息子が話し出したのは
「髪の毛を食べてしまうんよ。」
「どの声が自分の声か分からん。」と
驚くような事ばかり。

高校で何かあったのか、思春期特有の悩みなのか...それにしても内容が少しおかしい。
どの声が自分の声か分からんって何。
ただならぬ予感を感じつつ、私はすぐに精神科に行こうと決意した。

私は...看護師をしている。
精神科に勤めていた事もあり...だからと言うわけではないがこれは精神科だ!と思った。
でも、当時の私はどこの精神科がいいのか全く分からず悩みに悩んだ。
そんな時、娘のクラスの子が学校に行けなくなり、通院した病院の医師がすごく良かったという話を思い出した。
藁にもすがる思いでその子のお母さんに事情を打ち明け、どこの病院か教えてもらった。
初めて聞く病院。受診の予約を入れようと電話をしたのだが...「最短でも来年の8日になります。」という驚愕の返事。
私が電話をしたのは12月の初め...1ヶ月も先?
えーーーっ!
愕然としたけれど、その病院を教えてくれたママ友の言葉を信じ待つことに。

息子の様子はその間にも刻々と深刻な事態になっていき...眠らなくなった...そして食事を摂らなくなった。

高校の養護教諭からのアドバイスで、近くの病院のカウンセリングを受けることになったが...そんな事でどうにかなるレベルでは既になかったのだ。

待って待ってようやく初受診。
その頃の私は、病院に行って薬を飲めばすぐに元の息子に戻ると信じて疑わなかった。

思春期外来のK先生。
何の診断を下されるのか、何の薬を出されるのか...だが初日はとにかく出生の時からの問診と、カウンセリングにも似た聴取のみで終了。
また2週間後に受診するよう言い渡された。

えっ⁈
えっ...えーーーっ⁈
これで終わり?
1ヶ月待ってたったこれだけで終わりなん?

心の声はそのまま言葉になって吐き出され、医師もその場にいた看護師も困惑していたのを覚えている。
ママ友の言葉を信じてここに来たけれど、ただのヤブ医者じゃないか!と...その時の私は本気で思った。

息子の調子はその後もどんどん悪くなるばかり。
食べない眠れない...。
それに加えて
「俺の頭の中の情報を、スマホから抜き取られとる。」
「誰かに監視されとる。」
「殺される。」
そう言って、布団を頭からすっぽり被ったまま動けなくなった。

         つづく

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