崩れかけたクリッパーズ

お久しぶりです。
今回はクリッパーズについて書きます。
やや、というか大分批判的な意見ばかりになりますがご承知おきください。
noteを書いていない間もNBAはちゃんと見ていました。

今後はプレーオフ前ということでチームを幾つかピックアップしていきます。

OF面  3Pの悪化

まずはオールスター前と後でのチームスタッツから

オールスター前       オールスター後
OFRT  119.7        OFRT 116.4
FG 49.4%             FG 49.1%
3P 39.5%             3P 36.8%
26.0アシスト         24.6アシスト
12.9ターンオーバー 13.4ターンオーバー

始めはOF面からいきましょう。

まず分かりやすく得点数が落ちました。
しかもオールスター後はウエストブルックが長期離脱したのにもかかわらず3P%は下がっています。

3Pを細かく見ていきます。
3P%  39.5%→36.8%
3PA   33.3本→32.4本

オープン3PA     12.7本  38.6% →12.4本 37.9%
ワイドオープン  13.8本  40.4% →13.4本 34.9%

ちなみにタフな3Pは大きく差がありません。

1番大きいのはワイドオープンの3Pが入らない事。アテンプトもそこまで減っていないためチーム全体のプレーメイクに問題が出てきた、プレーメイクの方針が変わった訳ではありません。

問題は個人の3Pです。

ハーデン 6.7本 42.1%→6.8本 31.1%
レナード 5.1本 45.3%→4.5本 31.5%

ここでしょうね。
この2人はプレータイムでも上位2人に入っており(約35分)明らかに前半戦戦ってきた疲労が今出てきているような確率。というかオールスター前に関しては3P入りすぎではって感じです。特にハーデンはプルアップ系多いし。

2人ともオールスター後にオープン、ワイドオープンの確率がかなり低くなっており3P%の悪化に関してはほぼここ2人の問題です。

ハーデンが入らなくなった感はありましたがまさかレナードまで入っていないとは。
ちなみにFG%で見るとハーデンが大きく下がっているのに対してレナードは変わらないため試合を見ている時のイメージと合ってきます。

色々言われているポールジョージは39%→47%とアテンプトはやや減っていますが確率は上がっており平均でみると実はそんなに問題が無かったりします。 てか7本以上打ってて47%ってのは凄いね。
テレンスマンも30%→43%と上り調子。

アシストに関しては元から少ないチームなのでなんとも。ここはウエストブルックの離脱が響いてそうです。
しかしウエストブルックが離脱したのにターンオーバーも増加しています。レナード、ポールジョージに無理なプレーメイクをさせている影響はあります。がそんなに大きく影響が出ている部分だとは思っていません。

結局の所OF面ではハーデンが悪化してるんじゃないかって個人的には感じています。

ハーデン問題

次にハーデン個人のOFを見ていきます。

オールスター前          
34.6分
17.5点
FG45.0%
3P42.1%
FT87.4%

8.4アシスト
2.5ターンオーバー

オールスター後
35.1分
14.8点
FG39.1%
3P31.1%
FT88.5%

8.9アシスト
2.7ターンオーバー

前述の通り単純にシュートが入ってません。

しかしプレーチョイスを見てもドライブ数は増えているし確率は上がっています。

だからマジでジャンプシュートがとにかく入っていない。キャッチ&シュート、プルアップ、どちらも入ってません。

普段の試合を見ていてもそんなに悪いプレーチョイスはしていません。ステップバック3なんていつもの事だしさ。色々言われるほど攻め気が足りないわけでもない。むしろFGAは微量ではありますが増えています。

アシストもボールを持つ機会は増えた分ちゃんと増えています。
正直本当にシュートが入っていないことだけが大きなマイナスに見えてしまうのです。

でもハーデンって元から確率がずば抜けていい選手って訳では無いんですよね。入る時は入るけど入らない時なんてこんなもの。
しかしそれなら色んなチームにいましたがその度これぐらいマイナスに見えていてもおかしくないはずです。

ご存知の通りネッツ在籍時辺りからハーデンは完全にプレーメイカーへと姿を変えました。実は全てを1人で完結させるロケッツ時代よりも見ていて面白くなったと感じています。

もちろん今のように個人でシュートが入らない時もありましたがそれでもデュラント、カイリー、エンビードを相手と駆け引きする中で見事なプレーメイクで活かしていたためそこまで大きなマイナスに捉えることは少なかったです。

クリッパーズはここがハッキリと足りていません。ハーデンのプレーメイクが使える選手が限りなく少ない。

デュラント、カイリー、エンビードに共通しているのは少しのズレを作るだけでシュートを決められる、それ以上にシュートまで持っていける能力の高さです。ハーデンはその少しのズレを作る能力に非常に長けています。

ポールジョージ、レナードも能力的に出来ないことは無いはずですがシュートを打ち切る思い切りの良さに関しては上の3人に到底及びません。何でも出来るが故、ボールを持ってから考えすぎてしまいます。
ハーデンがなんでもないパスで作ったズレを活かせるタイプの選手達では無いと言うことです。

元からクリッパーズのOFは1on1を基本としたOFを構築していました。それは分かりやすく個人力勝負な為、連携ミスが出ずらく、フィニッシュ力はありますが判断力に乏しいジョージ、レナードには割と向いているOFです。
しかし判断力は必要としているOFではありません。実際これまでレジージャクソンなどをPGとしていたように判断力よりも個人で点を取る能力、安定したシュート力を重視していました。


要するにハーデンをOF面でどうしても必要としていたとは思えないって事です。
実際連勝していた期間もハーデンの1on1が決まっていたという要素が大きく、ウィングエースとの連携が良くなっていた、という印象はあまりありません。

ハーデンが30点を平均していたのは勿論本人のスコアリング能力はありますがシュートが落ちても拾ってくれる、DFでカバーしてくれる選手達がいたからこそ。
レナードのように1on1を確率良く決めて欲しいというのは本来ハーデンに求めるべき仕事では無いと思うのです。

だからって開幕してからハーデン仕様のOFに作り直すのは無理があるしポールジョージ、レナードに非があるとも思いません。結局のところ、

ハーデンという選手に求めるOF要素が違いすぎる

気がします。そもそもOFシステムを変えることも無くハーデンを獲得したフロントのミス。獲得するにしても時期と出す選手はよく考えるべきだったと思います。

OFシステムが今更改善するはずはなく、正直プレーオフでは1on1を決めてくれと願うしかありません。それはポールジョージ、レナード、ウエストブルックにも同じことが言えます。
DF力さえあるならばそれでも十分なんですけどね...

次はそのDFについてです。

ハッスル

次にDFスタッツを見ていきます。
DFRT 114.3 → 118.0
DFリバウンド  32.8→31.5
被FG%  46.6% → 48.3%
被3P%  35.7% → 40.1%

DF面でも3Pに困っているクリッパーズ。5%増というのはとても大きい。というか試合平均で40%も決められていては厳しすぎます。

今季はウィングを減らしたクリッパーズですがその影響もあって明らかにスイッチDFは弱体化しています。

ショットコンテスト数
22-23 45.5本
23-24 41.1本

被3PA (0ドリブル)
22-23 23.3本
23-24 25.2本

シュートチェックに行く本数も減っていればキャッチ&3Pも喰らいやすくなっています。
コビントン、バトゥームなどを放出したことによりスモールの時間も減った影響は強くでています。
実際ズバッツの所を狙っていれば3Pは結構打ててしまう。
しかもそこにサボりがちなハーデン、サボりよりもローテの下手なウエストブルックなどが混じっているためボールムーブで3Pが更に打ちやすくなっています。
前述のコビントン、バトゥームは気の利くローテもしてくれていた為尚更響いています。

反対にインサイドはなかなか難しい。ハーデンもウエストブルックもドライブを叩く能力だったり、ミスマッチでも守れてしまうフィジカルがある為簡単に攻略は出来ません。

結論が早いですが今のクリッパーズにはローテの部分で気が利く選手が欲しい。特にウィングサイズの選手が欲しいです。正直フィジカルの部分はウエストブルックをセンターに付けても何とかなっており、リバウンドの部分もポールジョージ、レナードにもう少し頑張って貰えば解決はします。

問題はハーデン、ウエストブルックのローテをカバーしてくれる選手が居ないこと。テレンスマンはそれなりに動いてくれますがどうしても高さが足りず打ち切られてしまうこともあります。ポールジョージ、レナードにそこまで求めるのはやや酷だとも感じます。

しかし今更言っても補強出来る可能性は低いです。結局のところ1on1で強く守っていくしか方法は無いような気がします。
ズバッツにも積極的にショーDF、場合によってはスイッチをさせたいですが本人的にもチーム構成的にもそれは結構難しい問題です。誰がインサイドカバーしてくれるのかという問題。

本当はウエストブルックを使っておきたいけどシュート力の問題があるし本当に難しい。レナード、ポールジョージにやらせると怪我する未来が待っている気もします。ある意味今年はそれが少なかったから怪我が防げた面もある気がしています。

結局スローダウンするオフェンスをしていくのならばもう少しDFのプレッシャーを上げていく必要があります。そこは個人の頑張りでしかありません。
幸い万能なテレンスマン、1on1DFには強いパウエル、ミスも多いがセンターまで付けるウエストブルックなどもおり個人勝負であれば期待出来る選手は多いです。


個人技勝負

オールスター明けから一気に失速し上位シードがやや怪しくなってきたクリッパーズ。連勝時に隠れていた問題が今になって出てきたのは非常に辛いものがあります。あの連勝の後に補強に動くというのは分かっていても難しい。

結局のところ強みは攻守に1on1。ハーデンが入団当時に語っていた「システム」は攻守に構築出来たとはとても言い難いですが、ポールジョージ、レナード、ハーデンのビッグ3に加えベンチには昨季プレーオフで大爆発した元MVPウエストブルック、シックスマン候補のパウエルが控えています。シンプルなスターパワー、個人技の高さで言えばどのチームをも凌ぐ強さを持っています。
マイナスな事ばかり書いて来ましたがスターパワーは時にはこの問題すらも全て隠して勝ってしまう理不尽さを秘めています。

チーム力が重要となるNBAの世界の中でクリッパーズに集まった4人のスターはその概念を崩しチームを頂点まで連れていくことが出来るでしょうか。

スターの真価が問われるプレーオフになりそうです。

あとがき  

こんなに否定的なことばかり書くならオフに書くべきでした。反省です。
でも最近のクリッパーズって全然良くないんだよなーとか思ってしまいます。内容はほんとに良くない。

それでもスターは揃っているチームは期待したくなってしまうんですよね。時に1人で試合に勝ってしまうような選手達ですから。




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