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今週の私 4/24-4/30 灰色の空

ほぼ1ヶ月ぶりに電車に乗った
体調回復後、念願の都内入りである

都内に行くときはいつも同じ電車に乗る
1ヶ月でこんなに変わるものかというくらいに人が多いことに驚いた

考えてみれば今は1番人出が多い季節なのかもしれない

年が明けてから3月までは卒業を控えた学生や、春休み、年度の変わりで転職をする人の有給消化など様々な要因が重なり、電車に乗る人が少ない、もしくは、時間がばらけやすい季節でもある

ところが年度が明けた4月は学生にせよ、社会人にせよ、登校、出勤を余儀なくさせられるケースが圧倒的に多い時期でもある

そう思えば納得ではある
真新しい制服、スーツに身を包んだ人々はどこか動きがぎこちない

服がまだ身体に馴染んでいないのもあるだろうし、緊張しているのもあるのだろう
年度が明けて1ヶ月弱、学校や会社の雰囲気も見えてきてホッとしている人、あるいは絶望する人、それも色々なのだと思う

目の前を女子高生の集団が歩いている
一目見て、新一年生と分かる
二人、三人で談笑しながら登校するグループもあれば、一人でとぼとぼと歩く生徒もいる
その後ろ姿に、何となく胸が痛くなる

社会人になってから数十年を経てさえも、学生のころの夢を時々見た
別に陰惨ないじめにあっていたわけでも、特筆すべき黒歴史があるわけでもない学生時代ではあったが、私にとっての学生時代というのは、言うなれば灰歴史である

黒でも白でもない
ただただ、淡々と時間だけが流れていった時間
もともと友人が多いわけでもないが、学生時代の友人など、ただの一人も私にはいない

アニメ、小説、ゲーム、映画…
それらで扱われる学校の描写は、私にはただただ眩しい
灰色の学生時代は、私という人間を語る上では、決して無視できない時間だと思う
私がきっと異常犯罪者となって逮捕されたのならば、きっと偉い心理学者の先生たちが、その事に触れるんだろうなと思う

人生もとっくに折り返した今、大抵のことは、笑って振り返ることが出来る
けれど、あの灰色の時間だけは、いまだにあまり触れたくないし、触れられたくもない

この時間の電車に、少なくとも一目で学生と分かるものはいない
そのことにどこか安心しながら電車に揺られて移動をする

いつも通り上野で降りた
歩いているのは疲れた顔の大人ばかり
疲れているのは私だけではないことに、また安心する

そういえば学生の頃に「疲れた」と感じた記憶がない
若かったからだろうか、とも思ったが、きっとそうじゃない
何もない空白は疲れさえも感じさせないのだと思った

今の私は疲れを感じることが多い
今の私に空白はない、という事なのだろうか

空を見上げる
灰色の空が広がる

優しくないな、と思った

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