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ケリー 5

ママの昔の話を避ける空気を感じ 当たり障りのない話題に変えた俺・・・

「アハハハ オホホ!!」と うわべのだけの話が続いた。

そのバカ話をしている間中も、俺はずっと彼女のピアスが気になっていたのである。

両耳につけられたダイヤモンドのピアス・・・

どうみても片方で1カラット以上は有る。

ダウンライトの灯りにキラキラ輝き その眩しさからも かなり高価なダイヤに思えた。

(例の疑惑の件もあるし 探りを入れてみようかな!?)

俺 「さっきから気になってるんですけど そのダイヤ 凄いですね!!」

「えっ!? これ???  やだ! 私 ダイヤが好きだから・・・」

左耳のダイヤを触りながら まんざらでもない様子で答える彼女・・・

俺 「たぶん それ1カラット以上有りますよね!??」

ママ 「ええ まあ・・・」

すると その話が聞こえたのか それまでマリちゃんとイチャイチャしていたK村が解説を始めた。

K村 「先輩 ダイヤの4Cって知ってますか???」

俺 「4C??? カラットとか そう言う話か???」

K村 「そうそう そのCです。 一番有名なCは そのカラット(重さ)ですが その他に、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨)があって その4つのCを ダイヤの4Cって言うんですよ! そしてそのバランスで ダイヤの価値が決まるんですよ!! ブヒョヒョヒョヒョ・・・」

俺 「さすが 宝石売り場の店長さんだな!! その手の話は詳しいな!! ギャハッ!」

K村 「ママのダイヤは カラーがEクラスで クラリティはVVS2、カットもエクセレント、もちろんカラットは1カラットオーバーですから かなりのハイクラスのダイヤです。(キリッ)」

俺 「ハッ!? やけに詳しいな!! こんな暗がりで いくらなんでも そこまで分かる訳ないだろ!? (うっ!? もしかして お前が売ったダイヤなのか!??? ・・・・ それじゃ この前 言っていた『他のデパートの店長』っていうのは・・・)」

K村 「イヤッ!? その・・・ 」

(『ダイヤを介した小遣い稼ぎ』って お前が その片棒を担いでいたのか!??? どおりでその話に詳しい訳だ!!)

そんなテレパシーを交えた2人のやり取りを 怪訝な顔で見ていたママさん・・・

「俺も ちょっと前に嫁さんに指輪を買ったんで なんとなく値段は想像出来るけど たぶん 一粒で指2本以上ですよね!?」

そんな疑問を ママにぶつけてみた。

ママ 「指2本??? ええ そのぐらいかしら・・・ ウフフフフ・・・」

俺 「凄いな 両方の耳に高級車1台分のダイヤがブラ下がってるんだ?? ギャハハハハハ・・・」

ママ 「いやだわ ケンさん! 変な事言わないでくださいよ! それじゃ 耳がちぎれちゃいますよ!? ホホホホホホホ・・・」

「そうですよ 先輩! そんな言い方 やめて下さいよ!! 少し 生々しいですよ!! ブヒョヒョヒョヒョ・・・」

誤魔化すように話を合わせるK村・・・

俺 「そんな高価なもの・・・ 俺だったら ギリギリ一粒しか買えないな!! ブヒャヒャヒャヒャ・・・」

「えっ!?」

それまで一緒に笑っていたママが 急に真顔になった。

そして ほぼ同時にK村も顔色を変えたのを俺は見逃さなかったのである。

(やっぱり・・・ ココとK村はグルだったのか!??)

そう確信したとき・・・

店のドアが開き 一人の中年のオヤジが入って来たのであった。

「イラッサイマセ~~!!」

黄色い声が店内に響く・・・

その男は まっすぐ店の奥に進み、カウンターの端っこの席に腰を下ろした。

すると そばに居たチーママっぽい女性が おしぼりを差し出した。

「スーさん いらっしゃい! いつものロックですね!!」

少し緊張した様子で話し掛けるチーママ・・・

その声には 他の客に対するそれと ちょっと違う雰囲気が混じっていたのであった。

店内が全部見渡せるカウンター奥に座った40絡みのオヤジ・・・

その姿を無表情に 目だけで「チラッ」と追ったアケミママ・・・

(『いらっしゃい!』の一言も言わない・・・)

こりゃ もしかして・・・????

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