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新作公開しました

こんにちは、架空書店「鹿書房」店主、伍月鹿です

本日は鹿書房・玄関店からのお届けです
架空書店と申しましても、普段、店主が活動している場所はだいたい決まっております。いつものテーブル、いつもの椅子、いつもの場所で執筆やその他の行動をしていることが多いです
しかし、夏場は玄関に臨時の活動スペースを設けることも。何故ならそこが一番涼しいから(笑)
靴箱の上にパソコンを置いて、飲み物その他を用意して、今年はミニ冷風機も完備でなんとか執筆作業をしております
このnoteを書いたらさすがにクーラーが効いてる場所に避難しようかな……

本日は新作公開のお知らせです


夢が叶う魔法のクリームソーダ

クラスや同世代の女の子たちの間で、エモくてかわいいクリームソーダが流行っている。夏休みにクラスで人気もののレモンに誘われたラムネは、初めて友達とだけで電車に乗って、隣街まで魔法のクリームソーダを飲みに行くことになった

pixiv公式コンテスト「百合文芸マンガ原作コンテスト」に参加させていただきました

pixiv限定公開です。ぜひ、お楽しみいただければ嬉しいです


この先、あとがきのようなものです

百合系のコンテストは二度目の参加となります
一度目の「私の桃色をあなたの色で染めて」は、カスタム表紙を使いたくて書いた企画ありきのものでした
その際にプロットやキャラデザの採用に使ったのが、今回公開した「夢が叶う魔法のクリームソーダ」の下書きでした

女の子二人がとびきりすてきなクリームソーダを飲みに冒険する話は、少し前から構想がありました
しかし、冒頭から展開につまずいてしまい、なかなか先が書けないでおりました
そこで個人的に気に入った「レモン」と「ラムネ」というキャラクターを他の作品に活かした形となります
正直、ラストシーンはかなりの投げやりですね。ちょっとSFぽくしたかったんです

今回も百合文芸の企画を知り、当初は別のプロットを練っておりました
しかし、未完成のまま置いてあるクリームソーダを書くいい機会ではないかと思いつき、数年越しに完成させることができました
締め切りができると筆が進むのはあるあるです

今回目指したのは、あるシーンを境に登場人物の印象を変えること
「マンガ原作コンテスト」をなにひとつ考慮しておりませんが、読んだ方が思わず冒頭に戻って読み返したくなるような展開を差し込んでみました
意図がどのくらい効果的であるのかはわかりませんが、いつものと違うことができて少し楽しかったです

結果的に「私の桃色~」とはスターシステム的な立ち位置になった二人ですが、彼女たちの力関係は絶妙で気に入っております
人気者で家庭環境に恵まれ、そのほかの部分でも羨む部分の多い女の子であるレモンと、そんな彼女を焦がれながらも、自分とは別の存在だと自覚ができているラムネ
レモンはこれまでの経験から人に愛されることには慣れていますが、おそらくラムネのように、媚びてこない存在は珍しいのではないかと思います
思い通りにならなくて、どこか気になってしまうラムネという存在が、彼女の中で次第に特別になっていったのでしょう。皆がほしがるレモンの片方の靴紐を、彼女は何のためらいもなくラムネに捧げます
しかし、ラムネは自身が地味でなんの取柄もないと考えているため、レモンからの好意を深いところでは理解してません
靴紐や今回の冒険も、レモンの気まぐれであると勝手に納得し、自分が特別だと思い込まないよう感情をセーブしています
ラムネがレモンに振り回されている話のようで、実は逆……というのはわたしが百合で好きなシチュエーションかもしれません

また、お金のやりとりのエピソードも個人的には気に入っています
レモンのこんな形でしか好意を伝えられない不器用さは、実際に中学の時にいた同級生の女の子をモデルにさせていただきました
気前のいい子のことを、皆が呆れ心配していたけれど、本人はなかなか気づけていなかったのが印象によく残っています
わたしはそんなコミュニティにあとから入った存在だったのですが、わたしは昔から嫌なものは嫌、いらないものはいらないという子供だったので、わりとはっきり断っていたらすごく関心された覚えがあります。わたしからしたら本当にいらなかっただけなんですけどね……(笑)

学生からしたら、ジャンプを買って持ってきて、気前よく読ませてくれるだけで神のような存在だったじゃないですか。でもそういうとき、貸しを作りっぱなしも落ち着かなくて、頼り切りになれなかった
そういうわたしの不器用さや律儀さを「やさしさ」と表現してくれた同級生たちこそやさしいなあといまでは思います

一年生は靴紐を変えられない、というドローカルルールや、大好きな基次郎先生の「檸檬」の一節のオマージュなど、いろいろ遊び心詰め込んだ作品にできました。ぜひ、夏の眠れない夜などのおともにどうぞ

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