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小説読みます その6

こんにちは。
架空書店「鹿書房」店主、伍月鹿です。

「九龍妖魔學園記」を購入しました。
ここ最近はスマートフォンのゲームしかやっていなかったので、
複数のボタンや機能を使うのに慣れなくてちょっとした脳トレの気分です。

本日はツイッターハッシュタグ「#小説読みます」にて募集したインターネット上で読める創作作品の感想を書かせていただきます。
(順不同、短編~中編で募集したため、長編は途中までの感想となります。募集は現在締め切らせていただいております)


エノウエハルカ様「腐れ乙女は恋神様!?」

https://ncode.syosetu.com/n0751gi/

「小説家になろう」にて公開中の異世界トリップファンタジーです。
主人公は「正しく節度を保った、慎み深い隠れ腐女子」とのことで、他人事ではなさそうな設定に読む前からわくわくしてしまいました。

帰宅途中、さびれた遊園地に行きついた主人公。
彼女は暴走した遊具からイケメンに救われ命が救われますが、戻った先にした民衆に「恋神様」と呼ばれ祭り上げられてしまいます。
しかし、彼女が成就させなければならないのは青年と国の王子の恋。
守備範囲ともいえる役割に彼女は邁進することになります。
イケメンや様々な属性の男性が出てきて異世界にも従順していく主人公ですが、予想通り王子から求婚されたときに王道展開で拳を握ってしまいました。
様々な逆ハーレムものは存在しますが、主人公が別に自分自身の恋愛に興味がないパターン、個人的にはとても好きです。
「面白れー女」という王道台詞、いつかは自分の作品でも使ってみたいものです。

口語で簡単に見れば「痛いオタク」の主人公ですが、地の文が読みやすくて始終高いテンションと勢いがあるので、楽しく読むことができました。
以前男性と女性のストーリーの作り方が大きく異なるという説をみました。
読むときも感情移入をしやすい形が異なる部分があると私自身思うところもあるので、主人公の優しさや「モブ」である意識というのは、私にとっても心地のいい展開とテーマでした。

エノウエ様、タグへの反応ありがとうございました。


出津絵宵様「猫神と縁のお結び」

「アルファポリス」にて公開中の短編を読ませていただきました。
出津絵様は原案担当、執筆・宣伝担当の方お二人でお話を作られているとのこと。
今回は短編を読みたかったのでこちらの作品を選ばせていただきましたが、様々な異世界ファンタジーを描かれていて「読者参加型」という面白い試みもされているようです。

山道で迷った末に「猫神」に出会った主人公は、不思議な力によって無事に母親の元に帰ることができます。
それから数十年後、働く店の常連客に見初められた主人公が、彼ら夫婦の絆に触れることになるストーリーです。
主軸となるストーリー以外にも魅力的な登場人物やおにぎりが登場して、こういうお店が近所にあるといいなあと思いました。

作中に五感をうまく描くことができる方を尊敬します。
私は味覚嗅覚の表現がうまくなくて、食事シーンを魅力的に書けるようになりたいなあと日頃から考えています。
出津絵様の作品は魅力的なご飯や、激マズ料理なども題材にされているようなので、普段からいい食事の仕方をしているのだと思いほっこりしておりました。

出津絵様、反応ありがとうございました!


さいだー様「溺愛する妹と美人な連れ子の義妹の相性が最悪すぎる」

こちらは「ノベルアップ+」にて公開中の中編です。
クラスメートの美人な女子生徒、菊川華に恋をしていたたくみ。
彼は友人の計らいで彼女をデートに誘うことに成功します。
しかし、タイトルからすでに分かる通り、家に帰ると父親と華の母親が再婚することが判明し、二人は兄妹の関係になります。

そのまま障害ありのラブコメに発展するのかと思いきや、妹と華との「界面活性剤」になる主人公の奮闘劇が始まるほのぼのとした一作でした。
容姿端麗の高嶺の花として描かれていた華が、ノリもよくて気さくな少女として動くのが印象的です。
新しくできた家族に馴染めない妹と華を繋ぐ存在が猫なのも含め、夢がいっぱいつまった作品だなあと感じました。
わかりやすいフラグに引っ張られてついつい先を読みたくなってしまうさいだー様の手腕でしょうか。楽しく最後まで読ませていただきました。

昔、携帯小説が流行していた時期、同世代の少年少女が書いたストーリーが多く出版されていました。
その中で碧天舎さんから出版されていた「Lな気分」という本がわたしは大好きでした。
その話も突然同級生が兄妹になる話で、この手の「非日常感」は永遠に残り続けるテーマなんだと感じました。
碧天舎さんは倒産されてしまっていますが、当時物語を作っていた方々も、いまでも書き続けていらっしゃるといいなと時折思います。

さいだー様、タグへのご反応ありがとうございました。


星乃史歩様「親ガチャ〜地獄の沙汰も運次第!もし、親を選べたなら〜」

https://ncode.syosetu.com/n3186hy/

こちらの作品も「小説家になろう」掲載中の長編です。
「親ガチャ」という言葉と冥府の存在を掛け合わせた斬新なアイディアの作品で、一話事のタイトルが回文になっているのも印象的でした。
今回は最初の少年のストーリーを読ませていただきました。

親に恵まれないと感じていた少年が、恵まれた家庭に生まれ変わり、順風満帆な人生を歩みなおします。
字が苦手な少年に生まれ変わった彼は、生まれ変わる前に書道教室に通っていた経験と粘り強さで自身の名前を書いた条幅を完成させます。
無事に条幅を完成させ、選挙に打ち勝った彼は生徒会長に就任します。彼はそれでも自分自身の人生に納得がいかず、再び「ガチャ」に手を伸ばします。

生まれついた環境やそれこそ両親を選ぶことはできないし、努力次第で全てを変えられるという綺麗ごとを語ることはできません。
それを全部「ガチャ」だと思うと救われるけれど、いつまでも「ガチャ」の所為にしているのは何も生まれなくてただただ空しい。
そんな微妙な感情が籠っているのであろう言葉をうまく風刺しているテンションのように感じました。

冥府の少女「五道転輪王」が美しく魅力的なので、今後どのように物語に関わっていくのか楽しみになりました。

星乃様、ご反応ありがとうございました!


鳴世響様「風神の恋」

https://ncode.syosetu.com/n4660hy/

「小説家になろう」にて公開されている中編を読ませていただきました。
旅をする一行は悪天候に見舞われたところを、一人の男に導かれます。
かつて「風神」だったと名乗る男は、少しずつ過去を語ります。
作中、旅をする男女と少女の関係、旅の理由、そして男が彼らに向かうよう促した先になにがあるのかは語られません。
でも、穏やかな雰囲気や世界観が、ファンタジーRPGの導入のようでわくわくさせられました。

 どんな高名な魔道士であっても、通常、魔術の発動には最低数秒間の集中が必要である。精神を統一するために目を瞑ったり、何かを口ずさんだりが普通の魔道士の魔術を使う時の姿だが、彼の場合はまるで軽く息を吐くような一瞬の予備動作だけでこれだけ強力な魔術を見舞ったのである。 
 おおよそ人間の為せる技とは思えなかった。そもそもこれは魔術なのか
 そして、とうとうこの男が元々風神であったという妙な話が真実味を帯びて感じられた。

「風神の恋」

世界観を説明する難しさは文章で物語を表現する者にとって大きな課題だと思います。
コンパクトに目の前の異質を語り、世界観を展開しているのがわかりやすいですね。短い文章ですが非常に印象に残り、作者様の作る世界に引き込まれました。

鳴世様、ハッシュタグへの反応ありがとうございました!!


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