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気象予報士試験対策 学科 一般知識 気候変動 過去問

気候変動に関する過去問です。
この部門も計算式は特にないので、正確な知識を覚えておけば勝てます。

平成28年度第1回(第46回)問11
地球温暖化に関する正誤問題。
(1)地球温暖化は、二酸化炭素、メタン、フロンなどの温室効果ガスの大気中濃度が増加して太陽からの赤外放射の吸収量が増え、大気がより強く加熱されることにより引き起こされる。❌
 👉太字部分が誤りです。温室効果ガスは太陽放射は吸収しません。地表面や雲など地球放射の赤外線を吸収します。

(2)農業や畜産業の活発化は、温室効果ガスの放出量の増加にはつながらないが、地表面状態の変化に伴うアルベドや土壌水分量の変化により、気候変化に影響を与えている。❌
 👉畜産業の活発化は確実に温室効果ガスの放出量の増加につながります。ここで単に「農業」と書かれると迷いますよね。「農業」にも様々な形態がありますから。
 「農業」🧑‍🌾の活発化・・・肥料を農作物に与える場合、肥料から一酸化二窒素が放出されます。一酸化二窒素は温室効果としては二酸化炭素の約320倍の影響があります。
 植物が光合成して大気中の二酸化炭素を吸収するクリーンなイメージがあるので、出題者の意図として受験生がこの点を理解しているか試しているということなのでしょう。

(3)海洋は人為起源の二酸化炭素放出量の約80%を吸収している。❌
 👉これは単なる正しい知識があるか否かです。試験場でいくら考えても正解には辿りつきません。約30%と書かれていれば正解です。
 海洋は1年あたり28億トンの二酸化炭素を吸収していると言われています。
人為起源の二酸化炭素の排出量は約90億トン(IPCC, 2013)とのことなので、約30%の人為起源の二酸化炭素を海洋が吸収しています。
 海洋による二酸化炭素の吸収は増加しており、2020年は約29億トンと言われています。吸収量が増えている要因は南半球の中高緯度で吸収量が増えているとのことです。

(4)地球温暖化による地表面付近の気温の100年後の変化は、北半球の高緯度で最も大きく、また陸上での変化は海上での変化より大きいと予測されている。⭕️
 👉北半球の高緯度は大きな大陸があります。この問題はどちらが正解なのか少々分かりにくかったのですが、正誤の組み合わせで自動的に「正」となります。
 熱伝導率の関係から、大陸の地表面に占める割合を考えれば、南半球よりも北半球の方が陸地の面積は広くかつ中高緯度に分布しているので、なんとなく正解という感じでしょうか。逆に地表面付近の気温の100年後の変化で最も影響が小さいのは南半球の海洋部分ということでしょうね。


平成29年度第1回(第48回)学科 一般知識 問11
現在進行している地球温暖化に関する正誤問題。
(1)世界平均の海面水位の上昇の主な原因は、地球温暖化による海水の熱膨張および山岳氷河や南極・グリーンランドの氷床の融解や海洋への流出であると考えられている。⭕️
 👉問題文の通りです。このまま覚えておきましょう。

(2)温室効果は、地表面からの赤外放射を大気中の温室効果ガスが吸収し、再び地表面へ赤外放射することによっておこる。⭕️
 👉問題文の通りです。このまま覚えましょう。

(3)海水温上昇により、現在、海洋中の二酸化炭素が海洋から大気中へ放出されているため、大気中の二酸化炭素の濃度の上昇速度が加速されている。❌
 👉全て誤りです。気象庁ウェブサイトの知識・解説のページによりますと、次のように書かれています。
「大気と海洋の間では常に二酸化炭素のやり取りが行われており、海洋全体で平均すると、海洋は大気から二酸化炭素を吸収しています」
また、同ページによると、次の記述があり、次あたりの学科試験で出るかもしれません。

海洋による二酸化炭素の吸収・放出を変動させる主な要因は、大気中の二酸化炭素分圧と表面海水中の二酸化炭素分圧の差、及び風速の変動です。表面海水中の二酸化炭素の分圧が大気よりも高いと海洋は大気へ二酸化炭素を放出し、逆に表面海水中の二酸化炭素の分圧が大気よりも低いと海洋は大気から二酸化炭素を吸収します。また、風速が大きいほど吸収・放出が多くなります。
②表面海水中の二酸化炭素分圧は、水温、海水の鉛直混合や湧昇、生物活動といったさまざまな影響を受けて大きく変動しています。例えば、水温が高くなると、二酸化炭素の水に対する溶解度が減少し、溶けきれなくなった二酸化炭素は表面海水中の二酸化炭素分圧を高くします(要すれば、水温が高くなると二酸化炭素は海水から大気へ)
 また、海水の鉛直混合や湧昇で二酸化炭素を多く含む下層の水と混ざると、表面海水中の二酸化炭素の分圧は高くなります。(要すれば、ラニーニャ時は二酸化炭素の放出が強まる)
 生物活動が盛んになると、植物プランクトンが二酸化炭素を消費することで、表面海水中の二酸化炭素の分圧は低くなります。(⇦光合成の結果ですね)

🔴個人的には、気候変動の問題で、エルニーニョと二酸化炭素放出量の関係がそろそろ出題されるのではないかと思っています。
ポイント)エルニーニョ時は海洋からの二酸化炭素の放出が弱まる!!
     ラニーニャ時は海洋からの二酸化炭素の放出が強まる!!
覚え方!!エルニーニョ時は貿易風が弱いですよね。だから二酸化炭素放出が弱くなる。(風と放出量は比例の関係)

二酸化炭素の吸収・放出の分布と季節変動の特徴について(ここも出題されそう)
❶赤道域

 赤道域では、湧昇の影響を受けて表面海水中の二酸化炭素分圧は高く二酸化炭素の放出域が分布しています。特に、太平洋の赤道域は、海洋全体の中で放出量が最も多い海域です。
赤道域では二酸化炭素の放出量の季節変動は小さく、年間を通じて二酸化炭素を放出しています。
❷亜熱帯域
亜熱帯域(北緯10~35度、南緯10~35度)には、二酸化炭素の吸収域が広く分布しています。
 亜熱帯域では、主に海面水温の影響を受けて表面海水中の二酸化炭素分圧が季節変動しており、冬季に吸収量が多くなり、夏季に吸収量が少なくなります。
❸亜寒帯域
亜寒帯域(北緯35~60度、南緯35~60度)では、海面水温だけでなく、海水の鉛直混合や生物活動などの影響を複合的に受けて、季節変動をしています。このため、二酸化炭素の年間の交換量や季節変動は海域によって一様ではありません。
 おおむね、冬季には風が強く、表面の海水が冷却されることにより強い鉛直混合が起きることで、二酸化炭素の放出域に、また、春季から秋季には生物活動が盛んになり、表面海水中の二酸化炭素が消費されて吸収域になるという季節変動をしています。
(出典)https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/global_co2_flux/global_co2_flux_map.html

最後までお読みいただきありがとうございました。

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