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おむかえ[怪談]

ふと気がつくと、携帯のカレンダーに見知らぬ記念日が設定されていた。

「7月24日 ゆりのひ」

そのような日を設定したおぼえもなければ、そんな記念日に思い当たる節もない。

なんとなく気味が悪かったので、設定を消した。

これが、まだ僕が高校生の時に体験した、今までの人生で唯一と言っていい、不思議な体験。
特に怖くもないので、社会人となり家庭を持つようになった今の今まで忘れていた。

なぜ、突然はっきりと思い出したのか。
子供が産まれたからだ。
愛しい我が娘。妻との愛の結晶。
名前は妻の強い希望で、百合…ゆり…

全てが決まった後に、押し寄せるようによみがえる記憶。
「ゆりのひ」とは、つまり。
将来の娘の事を指していたのか。
しかし、娘が産まれた日は、7月でもなければ24日でもない。
7月24日に、何があるのか?
僕にとって、百合にとって、
いったいなんの記念日になるというのだろうか。

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