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「タヴィストック洗脳研究所」(6)第5章 ~ H.G.ウェルズが言うところの 「見えない政府」があるのだろうか?

第5章
H.G.ウェルズが言うところの 「見えない政府」があるのだろうか?

以前にも紹介したように、大衆の意見を操作する高度な世論操作技術による世論形成の近代的な科学は、イギリス(Britain)のウェリントン・ハウスにある西洋で最も進んだプロパガンダ工場の一つで始まったのである。第一次世界大戦が始まった頃、この社会工学と世論形成のための施設は、ロスミア卿とノースクリフ卿、そして後に王立国際問題研究所(RIIA)の研究部長となるアーノルド・トインビーが中心となって運営されていた。ウェリントン・ハウスには、ウォルター・リップマンとエドワード・バーネイズが所属するアメリカン・セクションがあり、最も著名なメンバーであった。後に分かったことだが、バーネイズはフロイトの甥であり、その事実は慎重に隠されていたのだ。

彼らは共に、ドイツとの戦争に反対する大勢の人々の間で、第一次世界大戦への支持を「動員」するための技術的手法を中心的に考えた。ドイツはイギリス(British)国民の味方であり、敵ではない、イギリス(British)国民はドイツと戦う必要はない、というのが世間の認識であった。なにしろ、ヴィクトリア女王はカイザー・ヴィルヘルム2世のいとこであったというのだから。トインビー、リップマン、バーネイズは、戦争が必要であると説得するために、通信メディアを通じた大衆操作という新しい科学の技術を駆使し、アングロ・ボーア戦争(1899-1902 英米ボーア戦争)で多くの経験を積み、ちょうど物事の軌道に乗っていたため嘘をつくことをいとわずに、戦争の必要性を説得することに懸命に取り組みました。

出来事に対する認識を変えなければならなかったのは、イギリス(British)国民の事象に対する見方だけでなく、不誠実なアメリカ国民(American)も同じだった。

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この最終的な目的を達成する(to this end 末端の四分の一を区別する)ために、バーネイズとリップマンはウッドロウ・ウィルソンにクリール委員会を設立させるのに尽力し、成功するプロパガンダの普及と「正しい」意見を確保するための世論調査の科学のための最初の方法論の技術体系を作り上げたのである。

当初からこれらの技術は、世論調査[投票](世論形成)が、一つの明白(道にいることが多く、邪魔をして目立つ~向かう道がハッキリしている)な、しかし顕著な特徴に基づくように、その技法が設計されていました:ー それは科学的プロセスの(間[下]に立った)解明・理解ではなく、人々の意見に関わるものであるように(混ぜ合わせ、振るい分け、共に関わったことと思わせるように)設計されていた。このように、世論調査担当者は意図的に、心の中の本質的に非合理な要素を大衆の関心の的となるレベルにまで高めてしまったのです。これは、ますます複雑化する産業社会の中で、一般の人々の現実把握を弱体化させるための(共に、すべて[善悪の区別]を自覚し、よく知った上での)意識的・意図的な決定であった。

もしあなたが「Fox News」を見ていて、視聴者に「アメリカ人は何を考えているか」という世論調査の結果が伝えられ、その結果が自分の思考回路[思考過程]をどのように反映しているのかと、次の瞬間、頭を抱えた経験があるなら、これまで以上にパズルってる~混み入っているため理解や回答にさんざん苦しんできたはずである。

Fox Newsと世論調査を理解する鍵は、このような問題について述べたリップマンの考え方にあるのかもしれない。リップマンは1922年に出版した『世論《民意》』(Public Opinion)という本の中で、タヴィストックの心理戦の方法論について概説している。

リップマンは「人間の頭の中の絵(外側の世界と頭[心]の中で描かれた[塗られた]もの)」という序章で、「社会世論の分析者にとっての研究対象は、その現実に対する内的な認識[感じ方の違い、認識のずれ]やイメージ[模倣したもの、類似物、偶像]によって[限界・境界を定め]定義・特徴づけされた現実[描写の迫真性にあるの]である」と強調している。世論が扱うのは、間接的で、目に見えない、不可解で、何も明らかでない事実を扱う。世論が言及する状況は、意見としてのみ言及される」。

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これらの「人間の頭の中の絵」とは、自分自身、他人、必要性[強制(力)]、前に置く提案[目的]、(もとへ運ぶ2つ以上の物・事を結び付ける、その)関係に対する見方と人間関係[恋愛・性的な関係]などの頭の中の絵、その関係性が、彼らが考え判断する公的な意見・世論なのです。これらの絵は、人々の集団によって、あるいは集団の名において行動する個人によって、大文字(=首都で、計画を遅らせ妨害する人たちに疲れ追い出すべく)(頭の、頭に関する資本家階級の長を第一とする学問・知識)で書かれたパブリック・オピニオン(世論)である。その内なる絵は、外の世界との取引において、しばしば人を惑わせ、付き合い方を誤らせることが多いのです」。

この評価から、バーネイズが行った次の決定的なステップ、つまり、社会を支配するエリートは、マス・コミュニケーションという道具を利用して、「群衆」の心を動かし変えることができし、そして実際にそうしているということを容易に理解することができるだろう。

リップマンの本が出版された翌年、バーネイズは「世論の結晶」を著した。1928年には、『プロパガンダ』と題した本を出版している:

第1章「カオスの組織化」の中でバーネイズはこう書いている:

大衆のもつ秩序、組織、習慣や意見を、意識的、知的に操作することは、民主主義社会における重要な要素である。この目に見えない社会の仕組みを操る者たちが、目に見えない政府を構成し、それがわが国の真の支配力となっているのである。

私たちは、ほとんど聞いたこともないような人たちによって、支配され、心が形成され、嗜好が形成され、アイデアが提案される......。多くの場合、私たちの目に見えない統治者[ガバナー、知事、(昔の植民地の)総督、支配[統治]者、長官、理事長、管理者、代表者、会長、所長、頭取、総裁、おやじ、父親、親方、雇い主]たちは、多くの場合、内閣[キャビネット、大統領の顧問団]の中にいる仲間の身元や正体を知りません。

このような状況に対してどのような態度をとるかは別にして、政治やビジネスの領域であろうと、私たちの日常生活のほとんどすべての行為において、このような事実があることに変わりはない。

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私たちは、社会的指導者(上流階級の仲間の集まりを共に導く者)や倫理的思考(ある社会・職業集団の道義にかなうよう自分に見えるよう思い描いた処方箋)において、大衆の精神的過程や社会的パターンを熟知する比較的少数の人々ー1億2000万人の中のほんの一握りの人ー 人々によって支配されているのである。 大衆の心を支配する糸を引くのも、古い社会的な力を利用し、世界を縛り導き指示する新しい方法を考案しているのも、彼らなのです。

バーネイズは『プロパガンダ』の中で、「見えない政府」への賞賛に続いて、プロパガンダ技術が辿るであろう次の段階(の重要性)を力説している。

文明が高度化し、より複雑になり、目に見えない政府の必要性がますます明らかになるにつれて、意見[世論]を統制・規制するための技術的手段が発明され開発されてきた。印刷機、新聞、電話、電信、ラジオ、飛行機によって、思想(idea)は急速に、しかも瞬時にアメリカ(America)全土に広がることができる。

バーネイズは、その主張を裏付けるために、「意見操作」の師匠であるH・G・ウェルズの言葉を引用している。彼は、 ウェルズが「現代のコミュニケーション手段」が「政治プロセスの新しい世界を切り開き」、「共通のデザイン」を「倒錯と裏切りに対して記録され維持される」ことを可能にしたと歓迎する1928年のニューヨーク・タイムズ紙の記事を引用している。ウェルズにとって、テレビにつながる「マス・コミュニケーション」の出現は、イギリス(British)フェビアン協会の大衆操作の狂信者たちの想像を超えた、夢見た以上のすばらしい社会支配の新しい道を意味していたのである。この極めて重要なテーマについては、後ほどまた触れることにしよう。


第6章「マス・コミュニケーションは世論調査[投票操作]産業の草分け」につづく。。。

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