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『全員笑顔の体育授業をめざして』

「教材にしかけをつくる体育授業 10の方法」
清水由・結城光紀 編著

  授業をユニバーサルデザイン化するということは、すべての子どもが楽しく学び合い「わかる・できる」を目指すことである。また、授業を計画する段階でつまずく子に注目し、学習内容を考えて授業づくりを進めていくことである。

  体育授業をユニバーサルデザイン化する「しかけ」には、10の方法がある。
①取り除く   ②分ける・減らす   ③ゲーム化する   ④たとえる   ⑤比べる   ⑥間違える   ⑦選ぶ   ⑧合言葉にする   ⑨補助する   ⑩合わせる

  体育授業のつまずきは、「やりたくない」「わからない」「できそうにない」の3つに分けられる。子どものつまずきをイメージし、しかけを用いることで動き出したくなる子どもの姿を引き出していく。

  体育授業をユニバーサルデザイン化するためには、焦点化、多感覚化、共有化の3つの視点による工夫と個別の配慮が必要である。

【焦点化】
 教師が子どもの発言を問い返すことで、子ども自身が考えていることを焦点化させることができる。

【多感覚化】
 
教師の説明や目に見えない動きを視覚化したり、子どもが表現した動きや感覚を他の子の参考になるようにつなげたりする工夫により、多感覚化することができる。

【共有化】
  教師が発問、助言することで子どもの意見や思考を整理し、共有化する。教師がポイントを繰り返し声かけすることで強化することができる。共有化は、みんなの学びにする大切な視点である。

【個別の配慮】
  気になる子に対して、個別の教具などの準備やICT機器の活用による理解や表現の保障を考える。個別最適な学び、協働的な学びには、授業のUD化における個別の配慮は、欠かせない視点になる。

  授業のねらいと子どもの主体的活動との間には、ズレが生じる。そのズレを結びつけるのが「しかけ」である。教師と子どもの目的を整理し、目的をずらして動きをそろえることで、結果として両者の目的が達成される。

  子どもの主体的活動を生み出すためには、安心や安全などの心理的安定を意識することが大切である。また、運動にアクセスするための思考を整理したり、コツを発見したりすることは、受動的に教えられる場合よりも、動きを獲得する際に活用できる力として転化させることができる。

  子ども理解、学習に対する準備性(実態把握やアセスメントなど)、しかけの効果は、学級経営の考え方と共通する部分が多い。子どもの「できない」「わからない」と向き合い、意図的・戦略的にその改善を図ることは、学級崩壊や児童生徒指導にも影響を与え、大きな効果が期待できる。

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