話し相手はAI 孤独なスマホ老人あふれる社会は幸せか


人と人とのリアルな関係を、スマホが切り離しています。いつでも、どこでも、誰もが小さな画面と終始にらめっこ。周囲の人の動きや風景、物音など意に介さない。身近な人や物に無関心なのです。

スマホによる分断は、我が家族の間でも見て取れます。

息子はスマホにイヤホンを付け、動画を視聴しっぱなし。妻もKポップスを流しっぱなし。声をかける隙はない。「話しかけてくるな」とばかりに、常にバリアを張られているようで、不快な気分になります。おかげで食事をする時間帯もばらばら。我が家から家族の団らんは消えてしまいました。

これは正常なの?いや、間違いなく異常ですよね。

夕食の食卓を家族で囲む光景がみられるのは、日曜夕のテレビアニメ「サザエさん」だけになっていく。日本遺産ともいうべき、貴重でノスタルジーにあふれた光景になっていく。その喪失は、日本人の心の喪失になりやしないかと心配になります。

SNSを使うことで「つながる」人は増えたかもしれない。ただ、それはネット上での話です。人と人は実際に会い、表情を見ながら会話しなければ、本当の意味で心を通わすことはできないと思うのです。
 
 本来、人間は肌感覚で付き合い、人に頼り頼られ、喜びや悲しみを分かち合うことで心が満たされる生き物。スマホと向き合う時間が長いほど、関心は自分にばかり向けられ、知識だけが豊富になっていく。その半面、人との深いつながりは乏しく、心に隙間が広がっていくのではないでしょうか。行き着くところ、それは孤独。あまりにも悲しい結末になりやしないか。

 今から9年後の2033年には、日本の1世帯当たりの人数は平均1.99人で、初めて2人を割り込むそうです。1人暮らしの65歳以上の高齢者が急増する。これまで、独居老人といえば、テレビの画面をぼーっと見ながら、というイメージで語られてきました。1人でスマホの画面を見続け、AIを話し相手に一日が過ぎていく―。そんなスマホ老人であふれた高齢化社会が、果たして幸せな社会と言えるのでしょうか。

私は嫌がられても、相手に大きな声で話しかけたいと思います。リアルな人の温もりを感じるためにー。


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