【ニュースに異論】国内空港の旅客機燃料 不足のままでも構わない

日本国内の空港で旅客機の燃料不足が深刻化しているとのニュースが6月9日の朝刊で報じられました。国際線の増便や新規の就航に支障が出ているといいます。

記事は、訪日客の拡大に伴う増便の需要に、燃料を供給する石油元売り各社が追い付いていない、と状況を説明します。訪日客を誘致を通じた地方の活性化に冷や水を浴びせかねない、と指摘しています。

【飛び恥】

でも、そんなに悪い事態なのだろうか。記事を読み、私は「何をそんなに大騒ぎしているのだろう。そのままでいいのではないか?」と率直に思いました。増便に合わせて旅客機に供給する燃料を増やせば、大気中のCO2が増大し、地球温暖化が一段と進む恐れがあるからです。

 飛行機は燃料を大量に消費し、CO2排出量も自動車とは桁違いに多いです。このため国際社会では旅客機に乗ることは「飛び恥」と呼ばれ、環境に配慮して利用を避ける人もいるほどです。

【CO2排出ゼロのため、燃料のやみくもな供給に疑問】

日本が2050年にCO2排出量の実質ゼロという国際公約を実現するのであれば、旅客機のCO2排出量は極力抑える必要があります。

そもそも政府は、国内で旅客機に供給する燃料の10%を、2030年までに植物由来のSAFという次世代燃料に置き換え、CO2排出量を減らすことを目指しています。訪日客の需要が伸びている分だけ旅客機を増便し、燃料の供給量をやみくもに増やせば、こうしたCO2の排出を削減する努力は水泡に帰すでしょう。

【利潤と環境のバランスを】

訪日客の誘致を通じて地方を活性化させる方針に異論はありません。しかし、地球温暖化が大きなリスクとなる中、ビジネスを追求するあまり人類社会が存続できなくなるのは本末転倒ではないでしょうか。地球環境を犠牲にしながら、どこまで利潤を追い求めるのか。成長一辺倒の資本主義は色あせ、そろそろ限界を迎えつつあることを肝に銘じる時だと思うのです。

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