見出し画像

真夏の公園の駐車場で、30年前の思い出にひたる

モーニャン(妻)を美容院まで送っていった後に、ナビと一緒に公園の駐車場に来てこの記事を書いている。

いやぁ〜、それにしても最近の暑さは異常だ。今朝の天気予報ではこの地域の最高気温は37℃から38℃とのことだったが、現在の気温を車の温度計で確認すると37℃。これでは本当に長時間外にいると熱中症になってしまう。まさに命の危険を感じる気温だ。

そんなことを考えながら、窓の外を見るとはなしに見ていると、横に停めている車のドライバーが、アウトドア用のキャリーカートを引っ張りながら帰ってきた。キャリーカートにはクーラーボックスや他の荷物が乗っている。一体どこから帰ってきたのだろう。

他にも浮き輪を持った子連れの家族が何組か車まで帰ってくる。見事にみんなキャリーカートを引っ張っている。

どうやら、少し離れた場所に車を停めて、キャリーカートに荷物を積んで公園のプールに行ったようだ。プールの近くはすぐにいっぱいになるが、キャリーカートがあれば、少し離れていても荷物を運ぶことができる、とそういうことか!

なるほど、これは便利だ。

こんな命の危険を感じる日はやっぱりプールだよな、と思いつつ、そういえば、我が家の息子が子供の頃には、夏になると車で30分ほどの山の中にある小川まで、頻繁に出かけていたことを思い出した。

当時、私は兵庫県西宮市の阪急西宮北口駅の近くに住んでいた。今から30年近く前の話だ。

西宮市の北には甲山(かぶとやま)という山があり、その山のふもとを仁川(にがわ)の上流が西から東へと流れている。仁川沿いには阪神競馬場があり、阪神競馬場の最寄りの駅は阪急宝塚線の仁川駅。そして阪神競馬場をこえたあたりで仁川は武庫川に合流する。

息子と一緒に毎週出かけていた小川は、そんな仁川の上流なのだ。川の事故が多いが、ここはまさしく「小川」であり、そんな心配は一切なかった。油断禁物なので、一切というのは言い過ぎかもしれないが、極めてリスクは低かった。

川に並走している県道から脇道に入ると道の脇に車を停めて川に降りることができた。

折りたたみ椅子を持って行って、川に足を突っ込んで「じゃりん子チエ」を読むのが私の楽しみだった。当時、私は「じゃりん子チエ」にすっかりハマっていた。近くの文化会館にある図書館で借りてくるのだが、全巻67巻もあるので、いくら読んでも終わらなかった。

山の中なので、大きな岩がゴロゴロしており、息子はその上で甲羅干しをしては暑くなると川につかるというのを繰り返していた。

川の上を「オニヤンマ」が飛び、あたり一面には「ヒグラシ」の鳴き声が響き渡っている。そして、くぬぎの木には「クワガタムシ」が這っている。そういう場所だった。

お昼前に出かけていき、お腹が空くとアウトドア用のストーブでお湯を沸かしてラーメンを食べる。そして、しばらく遊んで、遊び飽きたら帰るというのが毎週末のおきまりだった。たまには息子の友達を2、3人車に載せて連れて行った。

西宮北口の駅から車でたった30分で、こんな信じられないような場所に行けた。

今でも時々、その近くを車で通ることがあるが、今では沿線の開発で小川だった仁川の様子もすっかり変わってしまい、川に降りることはできなくなっている。

そんな場所は、他にもたくさんあるのだろう。古き良き時代は、こうしてどんどんなくなっていく。その代わりに人の手で作られる遊び場もあるが、いくら人が頑張っても自然の美しさには敵わないのではないか。


ふと気がつくと、プールで遊んだ子供達を乗せた周りの車は、1台、2台と駐車場を離れていった。そして時間を見ると、モーニャン(妻)を迎えにいく時間になっている。思い出にひたるのはやめにして、彼女の待つ美容院へ向かって車を出した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?