スマートドラッグとコンサータについて

自分はADHD/ASD混合型と診断され、実際にWAIS-IVという知能検査にてIQの偏りが大きいディスクレパンシーと指摘された経験を持つ。診断された当時はまだ20代半ばであり自分や世間の事など何一つとして知らず、「病は気から」、「ADHDは自分で治せる」と勝手に思い込んでいた。今にして思えば全て幻想に過ぎなかったが、当時は本気で「治す」事が出来ると考えていた。

最初に通院したクリニックではストラテラが処方された。個人的な感想として頭の中がスッキリし精神がまったりとする感じがして結構良かった。ミスも大分減ったと思う。しかし頭部の表面が締め付けられるような、いわゆる被帽感が副作用として起こり、耐えられなくて服用を止めた。

次に処方されたのはインチュニブだった。この薬は今まで些細な事で怒りを抱いていた精神を落ち着かせ、感情をある程度コントロール出来るようにしてくれた。しかしミスや物忘れには全く効果がなかった為、服用を中止した。

上記2つの薬以外でADHDに認可されているコンサータを処方してもらおうと医師に相談した。しかし、過去にとある患者へ同成分であるリタリンを処方した所、依存症となり包丁を突き付けられて処方するよう迫られた経験から、ウチでは出せないと断られてしまった。

コンサータはリタリンの徐放錠であり、依存性は少ないとされているが、ぶっちゃけて言うと「効果の弱いシャブ」なので流通管理システム登録医や登録薬剤師でないと処方や調剤が出来ない。そういう事もあって、あの医師は処方しなかったのかもしれない。

その話を聞いた自分はコンサータは怖い薬だと思い、何か他に手は無いのかと考えた。結果、スマートドラッグの使用を思いついた。なんてことはない、ネットでADHDに効果があると書いてあった事を何の裏付けもなく信用してしまったからだった。

スマートドラッグとは集中力を高め、勉強や仕事の能率を高めるとされている医薬品やサプリメントの事であり、日本でも個人輸入やネット通販で購入できる。詳細は様々な人達が体験談を挙げているので省くが、イチョウ葉やらビンポセチンやら、あるいは今ではもう名前も忘れているような、様々な成分が混合されているサプリメントを服用した。

服用を続けて2年程が経ち、その間に薬科大学を卒業と同時に薬剤師として総合病院へ就職し、そこで遅刻やミスや物忘れを連発し、そのせいでパワハラやイジメの対象となってようやく気が付いた。

スマートドラッグとは所詮はサプリメントの一種、あくまで健常者向けであり、発達障害者には1ミリも効果がない事に。

誤解がない様に伝えておきたいのだが、別にスマートドラッグのアンチという訳ではない。当時はスマドラこそが自らの特性を治す鍵であり、それが無ければ生きていけないとすら考えていた。

しかし現在、冷静になって考えてみれば、もし効果があるならとっくにADHDの治療薬として認可されている筈である。まあ海外ではイチョウ葉やビンポセチンは医薬品として認可されているらしいし、本邦でもラセタム系の一つであるレベチラセタムはてんかんの治療薬として採用されているのだが、別にADHDの治療薬という訳ではない。

結局半年で自主退職だが事実上のクビを言い渡され、その後ネットで調べたコンサータ登録医の下へ行き、コンサータを処方してもらう事となった。

怖いと感じていたコンサータを実際に服用してみると、うっかりミスや物忘れが減り、頭の回転も速くなり、昼夜逆転も改善し、副作用も特にない、とにかくいい事ずくめの薬であった。しかし、他人の体験談を読むと、副作用に苦しんでいたり、合わなかったりしていたり、多様な意見があるので、精神医学という領域は未だに未発達なのだろうと思う。

けれども、少なくとも初めて通ったクリニックの医師が説明していたような、依存性があり人々を狂暴化させるような薬ではない事だけは確かだ。
少なくとも自分には絶対に必要な薬と言える。まあ、それが依存と言われたならばそうかもしれないのだが。

ちなみにコンサータを服用してもADHDが健常者になれる訳ではない。あくまで諸症状を改善する薬だ。あと自分はコンサータだけを服用していても物足りずに、今現在様々な薬を服用している。ADHDには二次障害、周辺症状が付き物だからだ。

現在服用している薬については、また時間があるときにでも書きたいと思う。

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