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「赤でいいかな。」

「赤でいいかな。」

#いい時間とお酒

調理中の妻から声がかかる。
私は、その姿を見ながら、「そうだね。」と応える。
定年退職した私は、妻との夕刻のこのひと時がこの上もなく楽しい。

妻は、赤ラベルの「本麒麟」を冷蔵庫から取り出し、グラスとともに私に渡す。
私は、思いっきり「本麒麟」をグラスに注ぐ。
泡が落ち着いたのを見届けて、今度は慎重に注ぎ込む。
何と美しい。
今日も、泡のバランスが最高だ。

妻はまだ現役だ。
会社が終わると、まっすぐ家に帰ってくる。
昼間、時間がたっぷりある私が調理すれば良いのだが、料理は妻に任せっきりだ。
「本麒麟」を飲みながら、妻の料理する姿を見るのが何より好きだからだ。

喉を鳴らして「本麒麟」を流し込む。
旨い。
今日も、昼間、飲まずに待っていた甲斐がある。
さあ、今夜も妻と宴会だ。




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