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木質バイオマスの利用方法と自然研究開始のお知らせ

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これまで木質バイオマスは柱や板などの建材だけではなく、薪や炭など化石燃料以前の主要なエネルギー資源として利用されてきました。

また、製材工場などで発生する工場廃材は約95%がマテリアルとして、建設発生材は約70%がエネルギーとして大半が利用されている現状があります。

近年では地球温暖化対策として発電や熱供給のエネルギー原料やエタノール原料として注目されることになりましたが、木質バイオマス研究は新技術開発だけではなく、これまでの技術を応用して新技術に組み合わせるなど基礎的研究から応用、実用化研究まで様々なステージにおける研究のレベルがあります。

ここでは近年の主な研究事例を中心に紹介させていただきます。

木質バイオマスの収集・運搬

1980年代のオイルショックによる影響により、林地残材利用の可能性や全木集材の生産性、あるいは早生樹種や林産資源の有効活用を図るため、効率的な収穫技術に関する研究が進められました。

当時の森林作業はチェーンソーによる伐倒、集材機による集材および磐台でのチェーンソー造材が主な作業システムでして、現在の森林作業で使用されている林業機械や作業システムとは異なります。

しかし、早生樹種や林産資源の収穫・運搬のために開発された段軸式車両や連結操軌車両の不整地走行に関する技術は、その後の林業機械の開発に活用され現在に至っています。

10年後の1990年代に入ると「地球温暖化」というキーワードがクローズアップされ、潜在的にカーボンニュートラルの木質バイオマスを化石燃料に代替する事が温暖化防止策の一つであると位置付けられました。

この頃、森林作業で高性能林業機械という多工程処理機械の導入が盛んに進み、林産生産の現場で機械の大型化や新しい機械導入による作業システムの改革が盛んに行われました。

これに伴って、林内や林道沿いに枝葉や端材などの林地残材(林業バイオマス)が大量に発生するようになり、特に林道沿いの林業バイオマスは大雨などの自然災害時に河川に流出し、二次災害をもたらすなど社会問題となってきました。

一方で海外では、温暖化対策を背景として木質バイオマスの利用が活発化し、高性能チップボイラーなどのバイオマス利用機器の技術開発が進められ、国内でもこれらを輸入し、利用する事業体も増えてきました。

しかし、工場残廃材や建設発生材は利用率が高いため、余剰は少なく、これらの新施設で利用できる林業バイオマスに期待が寄せられました。

ところが林業バイオマスは薄く・広く森林内に存在するためコスト面や安定供給方法が大きな問題となってくるのです。

実際に森林内から利用施設まで林業バイオマスを収集・運搬するためには、利用可能バイオマス量の把握、収集作業、トラックなどの積み込み・運搬作業および貯蔵・保管方法などを一連の工程として考える必要があります。

そこで新しい役割として、利用可能バイオマス資源量、効率的収集・運搬システム、新収集・運搬機械を開発していく必要があるでしょう。

【メモ】 利用可能バイオマス資源量

一般的に賦存量という言葉で表されるバイオマス資源量は統計データに基づく森林の蓄積量に林地残材の発生割合に乗じて求められます。

効率的な収集・運搬システムの開発

バイオマス施設は増加しましたが、海外も含めて実験的な収集・運搬作業の研究事例は少ないのが現実です。

これらの情報収集と分析を進めて、自然産業に寄与しながら事業として、どのようにマネタイズしていくのかをできるだけ早期に考えないといけません。

したがって、このマガジン「自然産業を綴じる杜」もちょくちょく更新するのでチェックしてみてください。

それではまたお会いしましょう!

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