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鉄コーティング作業で準備するものと、その後の酸化および管理

前回は、「鉄コーティングにおける浸種作業の3つのチェックポイント」というテーマで、種子の選定や浸種作業における重要なポイントについてご紹介しました。

種子の品質や浸種温度、浸種日数と積算温度の管理が種子の発芽にとって重要であることを確認しました。また、代かきの均平さや硬さの調整、低温発芽性の確認なども行う必要があることをお伝えしました。

これらのポイントを抑えることで、鉄コーティングによる直播栽培の成功率を高めることができます。

地域の担い手として管理する面積が増えていく場合は、計画と準備の重要性がますます高まります。以下に、効果的な管理のためのポイントをご紹介します。


圃場のマッピングと管理計画の策定

各圃場の位置や特徴をマッピングし、適切な管理計画を立てましょう。それぞれの圃場の条件や特性に合わせた施肥、灌漑、防除のスケジュールを作成し、効率的な管理を実現します。

作業スケジュールの立案
種まき、代かき、除草、収穫などの作業スケジュールを事前に計画しておきましょう。季節や作物の特性、天候などを考慮して、適切なタイミングで作業を進めることが重要です。

労働力の確保

面積が増えると作業量も増えるため、十分な労働力を確保する必要があります。必要に応じてスタッフや労働者の採用や調整を行い、作業のスムーズな進行を図りましょう。

データ管理と分析

圃場の管理記録や作業データを適切に管理し、必要な情報を把握しやすくしましょう。データの分析を通じて、改善点や効果的な施策を見つけ出し、経営の向上に活かしましょう。

必要な機械や道具の準備

管理する面積が増えるにつれて、効率的な作業を実現するために必要な機械や道具の準備も重要です。必要な機械の種類や性能、耐久性などを考慮し、適切なものを選びましょう。

【準備するもの】

  • 浸種した種子

  • 噴霧器

  • コーティング資材

  • 焼石膏

  • コーティングマシン

  • クボタ自動鉄コーティングマシン

  • 酸化調整機

  • 育苗箱またはビニールシート

  • 苗ラック

※こんなの準備しなくたって浸透させた種子をクボタの事業所へ持っていけば全部やってもらえます

そもそもクボタのサイトにも詳しく記載されていますので、ご一読されることをおススメします。

ちなみにコーティングマシンを所持していれば以下の粉衣方法で、圃場に合ったコート比が選べるメリットがありますし、農閑期を利用してコーティング作業ができます。

鉄コーティング(粉衣)は種子に鉄粉と焼石膏を付着させることで行われる技術です。以下に、粉衣のメリットと手順について詳しく説明します。

【粉衣のメリット】

  1. 仕上げ精度の向上: 粉衣により、コート比が低い時でも仕上げ精度が向上します。種子表面が滑らかになるため、均一なコーティングが可能となります。

  2. 焼石膏の節約: 粉衣により、焼石膏の使用量を約15~35%削減することができます。効率的な使用により、節約効果が期待できます。

  3. 脱粉衣の減少: 粉衣により、種子表面が滑らかになるため、脱粉衣が少なくなります。種子の品質を保護し、育苗の成功率を高めることができます。

【粉衣手順】

  1. 浸種後の種籾をコーティングマシンに入れ、種子の動きを確認します。

  2. 鉄粉と焼石膏をあらかじめ混合した混合物を少しずつ加えながら、コーティングを行います。種子を手に取り、鉄粉の付き具合をチェックします。

  3. 噴霧器のノズル位置を調整し、落ちてくる種子に噴霧しながら丸みをつけます。ノズル位置はドラムの底に水を付着させないようにするため、光沢が出ない位置に設定します。

  4. ドラムの外周に集まった鉄粉や種子を整流化するために、スクレーパなどを使用してムラをなくします。

  5. コーティング後、仕上げ用の焼石膏を少しずつ加えて、コーティングされた種子の表面を整えます。

以上が粉衣の手順です。適切なコーティングが行われることで、種子の品質や育苗効率を向上させることができます。

水の噴霧ポイント

  1. 鉄粉と焼石膏がドラムの外周に集まっている場合は、水分不足と判断し、スクレーパで整流化しながら噴霧器で少しずつ水を噴霧します。

  2. ドラムの外周に光沢のある種籾が集まっている場合は、水分過多と判断し、水の噴霧を控えます。

鉄コーティング後の酸化および管理

  1. コーティング直後の管理では、酸化熱による種籾へのリスク低減のため、粉衣が終わった都度、薄く広げて酸化反応熱を放散させます。

  2. コーティング翌日以降の管理では、コーティングされた種子を新鮮な空気にさらすため、全体を攪拌し、噴霧器で水を直接籾の表面全体が湿る程度に噴霧して酸化を促進します。

  3. コーティング後1週間以降の管理では、酸化の完了を確認するために、サンプルを取り、ビニール袋に入れて籾の表面が湿る程度に水を噴霧し、発熱の有無を確認します。発熱がある場合は酸化が完了していないと判断し、酸化促進を継続します。

  4. 発熱がない場合は酸化が完了しているため、水分量を約15%程度まで乾燥させて保管します。重量比で算出しましょう。

以上が鉄コーティング後の酸化と管理に関するポイントです。適切な管理を行うことで、種子の品質と保存性を確保することができます。

機械による酸化(鉄コーティング種子酸化調整機)

  1. コーティング後の種子を網袋に入れて酸化と乾燥を行います。

  2. コーティング作業を含めて、約3日間で完全に酸化された鉄コーティング種子が完成します。

  3. 1回の作業で50kg(乾籾)の鉄コーティング種子が生産できます。

  4. この機械は、浸種後の乾燥にも利用することができます。

この酸化調整機を使用することで、効率的に大量の鉄コーティング種子の酸化を促進することができます。また、浸種後の乾燥作業にも活用できるため、種子の品質と保存性を高めることができます。

播種前の発芽率調査

播種を行う前に、必ず発芽テストを実施し、種子の発芽率を確認してください。発芽テストは以下の手順で行います。

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