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鉄コーティングする場合の浸種作業3つのチェックポイント

前回は、鉄コーティング栽培成功のポイントは「まずは圃場の選定から!」と題して、水稲栽培かつ鉄コーティングに向いた圃場というのをご紹介させていただきました。

鉄コーティング栽培を成功させるためには、まずは適切な圃場の選定が重要です。地域によっても異なる要素がありますが、作業時期が通常の栽培と異なるため、取水に関して問題が生じる可能性があることに注意が必要です。

特に水稲栽培では適切な水管理が不可欠ですので、水の確保が重要なポイントとなります。作業時期に合わせて十分な水源を確保し、取水制限がないことを確認しましょう。また、水の利用計画や周辺の水環境に配慮しながら、持続可能な水利用を心掛けましょう。

さらに、圃場の地形や土壌状態も考慮しなければなりません。水稲栽培に適した排水性の良い土壌や適切な水はけを持つ地域を選定することが重要です。また、土壌の肥沃度や栄養素の状態も確認し、適切な土壌改良を行うことで生育環境を整えましょう。

鉄コーティング栽培は、適切な圃場の選定からスタートすることで成功への道が開けます。水の確保や土壌環境の整備に配慮し、栽培に必要な環境条件を整えることを忘れずに取り組んでください。持続可能な農業を目指し、鉄コーティング栽培の成功を目指しましょう!

今回は、代かきが終わった圃場にいよいよ鉄コーティングされた籾を直播していきます。最初は不安な気持ちになるかもしれませんが、心配ありません。

鉄コーティング栽培では、根張りが良くて倒伏しにくい強い稲が育ちますので、風の強い地域などでも安心です。風に揺れることで根がしっかりと張り、土壌にしっかりと固定されるため、倒伏のリスクが低くなります。

また、直播栽培によって苗を植え付ける手間が省かれるため、作業効率も向上します。一つ一つの種子がしっかりと土に接触し、適切な栄養や水分を吸収できる環境を作ることができます。

鉄コーティング栽培は初めは不安を感じるかもしれませんが、強い稲が育つことで風や気候の変動にも対応できます。自信を持って直播栽培に取り組みましょう。風の強い地域などでの栽培におすすめです。

では、まずは鉄コーティング栽培に適した種子の準備をしましょう!

種子の選定にはいくつかのポイントがあります。直播栽培や定植栽培においても共通の要素がありますので、以下のガイドラインを参考にしてください。

  1. 耐倒伏性や発芽性の強さを重視しましょう。これは直播栽培でも定植栽培でも重要な要素です。

  2. 各県の奨励品種や主要品種、市場性の高い品種を選びましょう。消費者のニーズに合った品種を選択することは、収益性を高める上でも重要です。

  3. 東北地方や寒冷地では、登熟晩限日を超える晩性品種は避ける方が良いでしょう。寒冷地では早めに収穫をする必要があるため、早生品種が適しています。

  4. 西南暖地では、登熟晩限日が少ないため、早生品種の利用が有利です。また、麦作や野菜作跡地での播種においても早めの播種が収量向上につながることがあります。

  5. 鉄コーティング栽培では、直接圃場に播種するため、発芽力の強い採種圃産種子(購入種子)を選びます。健全で品質の良い種子を選択しましょう。

  6. 種子の品質が劣っている場合は、必要に応じて塩水選を行うことも考慮しましょう。ただし、鉄コーティングによって種子伝染性病害の発生が少ない傾向があるため、種子消毒の必要性は低いかもしれません。

以上のポイントを踏まえて、健全で品質の良い種子を選ぶことが鉄コーティング栽培の成功につながります。


浸種作業における3つのチェックポイント

浸種作業における3つのチェックポイント

浸種作業は水稲の栽培において重要な工程です。以下のポイントを押さえて作業を進めましょう。

① 浸種する水温
水温が10℃以下だと種子の活性化が十分に行われません。浸種する水温は15~20℃程度に保ちましょう。

② 浸種日数と積算温度
水温15~20℃での浸種期間は通常3~4日程度です。また、積算温度は40~60℃程度と目安にします。

③ 浸種後の処理
直接コーティング作業に進む前に、以下の処理を行いましょう。

  • 袋から出して、日陰で乾燥させる。

  • 袋のまま放置する場合は、冷水に浸して袋内部の温度を下げることで種子の活性を抑えます。

これらのチェックポイントを意識して、浸種作業を適切に行いましょう。種子の活性化やコーティングの効果を最大限に引き出すために、正確な作業を心がけてください。

種子の発芽メカニズム

水稲の種子が発芽するメカニズムは以下の通りです。

吸水とホルモン分泌
種子が水を吸収すると、胚から植物ホルモンであるジベレリンが分泌されます。

消化酵素の合成
ジベレリンの作用により、胚が消化酵素であるアミラーゼを合成することが促進されます。

エネルギー生成
アミラーゼによって澱粉が分解され、ブドウ糖が生成されます。このブドウ糖が発芽に必要なエネルギー源となります。

代かきの影響
代かきは均平で、やや硬めに行うことで、土壌の圧密や根の発達を促し、発芽に適した環境を整えます。

低温発芽性の確認
水稲の品種には「敏」と「鈍」といった低温発芽性の特性があります。事前に種子の特性を確認し、適切な浸種温度を決定することが重要です。

これらの知識は、近くの農協や経験豊富な農家が持っていることが多いです。地域のナレッジを活用しながら、種子の発芽に適した条件を確保しましょう。

ただし、種子の発芽に関わる温度は、品温、室温、水温などのバランスが重要です。こうした温度管理には、IoT技術の活用が期待されます。将来的にはデータ収集や分析を通じて、より効果的な温度管理が可能になるかもしれません。

そのようなチャンスが訪れた際には、ぜひデータを取りながら試してみたいと思っています。その結果を皆さんと共有させていただきたいと考えています。

今回はここまでです。またお会いしましょう!

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