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ナスの潅水三つの方法

前回は「ナスの摘心と過繁茂対策」と題して、中期以降に行うナスの摘心と過繁茂対策について解説させていただきました。

今回は、ナスの栽培には大量のお水をあげる必要があるのですが、その具体的な量やタイミングについて述べる前に潅水の方法についてどんな方法があるのか解説したいとおもいます。

潅水には大きく分けると三種類の方法で潅水する方法があるのでここでそれぞれのメリット・デメリットついて触れながら、ご紹介したいと思います。

① 畝間潅水

露地栽培のナスでは、水田跡地での栽培が一般的です。

水田跡地では、うね(畝)とその間の通路があります。

この通路に水を流したり貯めたりすることで、十分な水量を潅水する方法がとられます。

この方法は、水田の特性を活かして簡単に実施することができます。

通路に水を流すことで、うねに水が行き渡り、ナスの根が適切に水分を吸収することができます。

また、通路に水を貯めることで、土壌に十分な水分が供給され、乾燥を防ぐことができます。

畝間潅水は、効率的かつ簡便な方法であり、ナスの健全な成長と豊かな収穫を促す役割を果たします。

畝間潅水を実施する際には、地域の水利事情によって入水できる時間帯が制御される場合もあります。

特に夏期においては、水温上昇を避けるために、午後3時以降の入水が望ましいです。

この方法では、畝の肩まで水位を上げ、通路からの排水を約5時間程度で行うように設定します。

このような条件下での畝間潅水は効果的です。

畝間に水を供給することで、ナスの根が適切に水分を吸収し、健全な成長を促します。

一方で、水温上昇や過剰な水分負荷を避けるために、時間帯や水位の管理が重要です。

畝間潅水は、効果的な水管理手法の一つであり、適切なタイミングと条件で実施することで、ナスの栽培において良好な結果を得ることができます。

畝間潅水のデメリットとして、いくつかの要素が挙げられます。

まず、水が畝間に溜まることで雑草が繁茂しやすくなる点が挙げられます。

水分の供給はナスの成長にとって重要ですが、同時に雑草も水を利用して生育するため、管理が難しくなることがあります。

また、水が畝間に充満することで地面が湿った状態となり、作業効率が低下する可能性があります。

特に雨後などに畝間がぬかるんだ状態になると、作業が困難になります。

さらに、水が畝間に長時間滞留することで土壌病害が発生するリスクも考えられます。

湿った環境は病原菌の繁殖を促し、病気が広がる可能性があります。

そのため、適切な管理と予防策が重要です。

畝間潅水を実施する際には、雑草の管理や排水状況の確認など、慎重な対応が求められます。

病害虫の発生を防ぐためには、適切な環境管理や定期的な観察が必要です。

以上の点に留意しながら、畝間潅水を実施することで効果的な水管理が可能となります。

② 潅水チューブと点滴チューブ

ナスの潅水には、潅水チューブと点滴チューブの2つの方法があります。

潅水チューブは畝の上に置かれ、水源から供給される水をチューブを通じて畝に直接散水する方法です。

この方法は、畝全体に均一に水を供給できるため、水分の偏りや浸透不足を防ぐことができます。

また、水が地面に直接触れないため、雑草の発生を抑える効果も期待できます。

点滴チューブは軟質のチューブや硬質の塩ビ管を使用し、ナスの根元に点滴器を設置して水を供給する方法です。

この方法は、根元から直接的に水分を供給することで、根に近い位置で水を利用するため効率的です。

また、水の滴下量を調整できるため、ナスの水需要に合わせた適切な潅水が可能です。

潅水チューブと点滴チューブのどちらを選ぶかは、栽培環境や水の供給量、効率性などを考慮して決定する必要があります。

潅水チューブは広範囲の畝に適しており、一度に多くの水を供給できます。

一方、点滴チューブは個々の植株に水を供給するため、水の節約や株ごとの水分管理に優れています。

効果的な潅水方法を選択し、適切な水管理を行うことで、ナスの健康な成長と収量の向上につなげることができます。

硬質パイプや塩ビ管を使用した潅水方法には耐久性があり、長期間にわたって使用できるというメリットがあります。

これらのパイプは強度が高く、耐久性に優れているため、長い期間使用することができます。

一度設置すれば、定期的な交換やメンテナンスの必要性が少ないため、経済的な利点もあります。

ただし、潅水ムラを防ぐためには、パイプの設置や繋ぎ方に注意が必要です。

パイプの敷設や接続部分の確実な密閉、水流の均一な供給など、正確な設置技術や経験が求められる場合もあります。

また、長いパイプを使用する場合は、水圧や流速の低下による潅水ムラが生じる可能性もあります。

これらの課題に対処するためには、潅水システムの適切な計画と設計、適切な点検やメンテナンスが重要です。

慣れないうちは、専門家のアドバイスや指導を受けることで、適切な扱い方や設置方法を学ぶことがおすすめです。

慣れてきたら、効果的な潅水ムラの調整やパイプの繋ぎ方などをマスターし、効率的な潅水システムを構築していきましょう。

塩ビ管は、その耐久性と柔軟性から広く使用されている潅水ツールです。

塩ビ管を使いこなすことは、他の作物の栽培においても大いなる威力を発揮することができます。

塩ビ管の柔軟性によって、畝の形状やレイアウトに合わせて自在に敷設することができます。

また、硬質パイプよりも取り回しや設置が容易であり、様々な形状に対応することができます。

塩ビ管を活用することで、潅水の効率を向上させ、水のムラを最小限に抑えることができます。

その結果、作物の根元から均一に水を供給することができ、作物の生育を促進させることができます。

さらに、塩ビ管は耐久性が高く、長期にわたって使用することができます。

他の作物の栽培でも、塩ビ管を利用して効率的な潅水システムを構築することで、収量や品質の向上を実現することができます。

慣れるまでは、正しい設置方法や接続方法を学ぶことが重要ですが、その努力は将来の栽培活動に大いなる利益をもたらすでしょう。

塩ビ管の活用により、植物の水分管理や栄養供給を効率的に行い、より健全な作物の育成に貢献しましょう。

③ 日射制御型こけら落とし自動潅水システム

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