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撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ

今回は日本でも非常に人気のある作家、チャンドラーの代表作「長いお別れ」をご紹介します。ハードボイルドな雰囲気と独特の文体で描かれた本作は、男の友情を描き出した畢生の傑作として知られています。チ

ャンドラーの非情な視線が作り出す世界に引き込まれ、読者は自分も主人公となったかのような臨場感を味わうことができます。緻密なストーリー展開やキャラクターの魅力、そして意外な結末にも注目です。ミステリー小説が好きな方やチャンドラー作品のファンは必読の一冊です。

彼の作品の中でも、最も印象的かつ代表的な傑作であるこの長編小説は、推理小説というジャンルにおいて類まれなる読みごたえを持っています。その素晴らしさは、推理小説の歴史を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。この作品は、キャラクターの魅力、ストーリーの複雑さ、そして驚きの結末に満ちており、読者を引き込む力があります。この小説を読むことで、推理小説の魅力がより深く理解できることでしょう。

そして、この作品に登場する私立探偵フィリップ・マーロウの粋なセリフは、読者の心に深く刻まれるものです。そのセリフは時折、自分自身も口にしてみたいと思わせるほど、印象的で魅力的です。マーロウのセリフはキャラクターの個性を際立たせ、物語に深みを与えています。彼の言葉遣いや哲学的なコメントは、この作品の魅力の一部であり、読者にとっても忘れがたいものとなります。彼のセリフを呟いてみることは、この作品の魔法に触れる素晴らしい方法かもしれません。

この作品の最大の魅力は、主人公マーロウのハードボイルドな生き様と、彼の粋なセリフが絶妙に組み合わさり、読者の心に深く残ることです。マーロウは自分のモラルに忠実に生き、その強さと不屈の精神が物語を通じて際立ちます。彼のセリフは印象的で、読者にとって忘れがたいものとなります。さらに、ストーリーには感傷的で物憂げな描写も織り交ぜられ、物語全体が深みを持って描かれています。この作品は、ハードボイルド文学の王道ともいえる、モラルを貫き通す主人公のストイックな生き方と、彼の言葉の魅力が満ち溢れており、読者を引き込むでしょう。

元ネタのセリフを探して、意外な発見
「怒ると、どうするんだ? リスとタンゴでも踊るのか?」というセリフを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。このセリフは、漫画「コブラ」の主人公・コブラが、敵に言い放った名言です。

このセリフの元ネタは、漫画「コブラ」の作者である寺沢武一氏が、映画「長いお別れ」を見たときに、船越英二演じる主人公・吉永英雄が、敵に言い放った「怒ると、ウサギとダンスでもするのか?」というセリフにインスピレーションを受けたといわれています。

さらに、映画「探偵物語」にも、松田優作演じる主人公・工藤新一が、敵に言い放った「怒ると、リスとタンゴでも踊るのか?」というセリフが登場します。このセリフも、映画「長いお別れ」の元ネタのひとつだと考えられています。

このように、「怒ると、リスとタンゴでも踊るのか?」というセリフは、映画「長いお別れ」に由来する名言であることがわかります。

「長いお別れ」の魅力は、複雑な事件の謎解きではなく、人物描写と名言の多さ

レイモンド・チャンドラーの長編小説「長いお別れ」は、1953年に発表されたハードボイルド小説です。私立探偵フィリップ・マーロウが、殺人事件の真相を探っていく物語ですが、複数の事件が複雑に絡み合っており、謎解きを楽しみたい人には物足りないかもしれません。

しかし、この作品の魅力は、複雑な事件の謎解きではなく、人物描写と名言の多さにあります。

主人公のマーロウは、孤独と退廃に満ちた世界を生きる、孤高の私立探偵です。彼は、悪に立ち向かうヒーローではなく、ただ生きるために事件に巻き込まれていく、人間臭いキャラクターです。

そのマーロウを中心に、彼を慕うレノックス、マーロウを敵視するアイリーンなど、魅力的なキャラクターたちが登場します。彼らの人間ドラマは、読者の心を揺さぶります。

また、この作品には、多くの名言が登場します。

「怒ると、リスとタンゴでも踊るのか?」

「女のことは、愛さずに、ただ愛し合うだけだ。」

「男は、一度は愛した女を、二度と愛することはできない。」

など、日常でも使えるような名言が、数多く引用されています。

「長いお別れ」は、推理小説としてよりも、人物描写と名言の多さを楽しめる作品です。ハードボイルド小説の傑作として、ぜひ一度手に取ってみてください。

内容の要約(※ネタバレ注意)

主人公のマーロウは、孤独と退廃に満ちた世界を生きる、孤高の私立探偵です。彼は、悪に立ち向かうヒーローではなく、ただ生きるために事件に巻き込まれていく、人間臭いキャラクターです。

そのマーロウを中心に、彼を慕うレノックス、マーロウを敵視するアイリーンなど、魅力的なキャラクターたちが登場します。彼らの人間ドラマは、読者の心を揺さぶります。

一匹狼の探偵、フィリップ・マーロウは、ロサンゼルスの高級レストランの前で、ロールスロイスから投げ出された酔っぱらった男、テリー・レノックスを見かけました。彼を気遣い、助けの手を差し伸べたことから、奇妙な友情の幕が開かれます。

テリーは億万長者の娘を妻にしながら、ホームレスのように街をさまよい、複雑な家庭事情に悩まされていることがうかがえました。

ある晩、テリーは興奮冷めやらぬ様子で、拳銃を手にマーロウを訪ねてきます。彼の言葉はシンプルで、しかし重大でした。

「メキシコのチュアナまで送ってくれ」

マーロウは疑問を抱きつつも、何も尋ねずに彼を送り出しました。しかし、その後の出来事は思わぬ展開を迎えます。帰宅したマーロウを待っていたのは警察の尋問でした。

「テリー・レノックスはどこだ?」

彼の妻が自宅で殺されていたというのです。マーロウは容疑者として連行され、過酷な尋問と暴力にさらされます。この場面はまさに名場面で、マーロウのタフさとハードボイルドな本質が際立つ瞬間で、読者は彼のキャラクターに深い感銘を受けます。

テリーの黙秘により釈放されたマーロウは、まさかの衝撃的な事実を知ることになりました。

テリーはメキシコのホテルで自殺しており、手紙を残して「妻を殺した」という告白文がその中に書かれていました。この出来事によって物語は予想外の展開を迎えました。

マーロウの新しい仕事は、アルコール依存症である人気作家ロジャーの世話をすることで、彼が無事に新作小説を書き上げる手助けをすることです。

ロジャーはアルコールに溺れると、妻に対して暴力を振るったり、不安定な行動を取ったりと、非常に問題のある男性です。さらに、彼には深い悩みがあり、それが彼のアルコール依存症の原因の一部とされています。この新たな仕事は、マーロウにとって厄介な依頼であり、物語に新たな謎と展開をもたらします。

そして、ロジャー夫妻とテリー夫妻は、ご近所さんでもありました。この縁があって、マーロウはロジャーの家に滞在することになります。しかし、そこで彼はロジャーの美しい妻アイリーンに心を奪われ、禁断の恋に陥ってしまいます。

この展開は読者にとっては、予想外の展開であり、物語に新たな興味を引き起こします。マーロウの複雑な感情と、彼が巻き込まれる禁断の恋愛が物語に深みを与えます。

そして、徐々にロジャーの秘密が明らかになってきます。彼はテリーの妻と不倫関係になってしまい、酔った状態で彼女を殴り殺してしまったことが判明します。この事実は物語を一層複雑にし、ロジャーの性格をめちゃめちゃなものとして浮き彫りにします。

彼の行動は非常に衝撃的で、読者はどのようにしてこの事件が解決されるのかを追求することになります。物語が進むにつれて、登場人物たちの関係がさらに複雑に入り組み、読者を引き込む要素が増えていきます。

だから、テリーが犯人とされて事件は解決しましたが、ロジャーの心の闇とアルコール依存症による苦悩が明らかになります。

そして、ロジャーはついに拳銃自殺を遂げるのですが、その後の展開にはさらなる謎が隠されていました。事件の真相に迫る過程で、登場人物たちの複雑な心情や秘密が描かれ、読者を引き込む要素が増えていきます。物語は終わりではなく、新たな謎や展開が待っていることが示唆されています。

マーロウによって暴かれた真実は、驚くべきものでした。実は、ロジャーの妻アイリーンには、戦前イギリスで結婚していた別の男性がいたのです。

さらに驚くべきことに、彼女が本当に愛していたのは、その戦前の夫でした。しかし、その夫は戦死し、アイリーンはアメリカに渡り、後にロジャーと再婚したのです。この背後に隠された過去の愛と別れ、再び結ばれた関係が、物語に深い感動と複雑さをもたらしています。

ここからの展開はまさに目が離せないものでした。驚くべきことに、戦死したはずのアイリーンの最初の夫が実は生きていたのです。そして、運命のいたずらとも言える出会いが彼らを再び結びつけました。

しかし、その夫もまた別の女性と再婚しており、その女性こそがテリー・レノックスでした。この複雑で入り組んだ関係が、事件の背後に隠された真実でした。アイリーンが愛する夫を奪われ、憎しみからテリーの妻を殺したことが、事件の深層に関わっていたのです。

そして、アイリーンは現在の夫であるロジャーをも撃ち殺し、テリーはかつての妻をかばうため、自ら罪をかぶってメキシコへ逃走したのでした。

物語はここでクライマックスを迎え、その続きは是非この素晴らしい小説を読んでご自身で味わっていただきたいと思います。この複雑な人間関係と事件の真相が織り成す物語は、読者を引き込み、最後まで惹きつけることでしょう。

またの機会にお会いしましょう!

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