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機会と課題を理解し、適切な活用でグローバル人材を育成する

我が国が直面している労働力不足の問題は深刻であり、その解決策の一端を担っているのが外国人労働者の受け入れです。彼らは経済の成長を支える重要な役割を果たしています。我々は、この外国人労働者が、産業や経済、地域社会を共に担う一員として、共生社会を築くべきだと考えています。

技能実習制度もまた、その一環として重要な役割を果たしています。しかしながら、制度が創設された本来の目的である「国際貢献を通じた人材育成」が見失われ、ただの労働力確保手段として利用されているケースが見受けられます。これは、制度目的と運用実態の間に乖離があることを示しています。そのため、技能実習制度の廃止と、その代わりに人材確保および育成を目的とした新たな制度の創設を検討するべきです。

一方で、特定技能制度については、制度の活用を続けつつも、適正化を進めるべきです。企業単独型の技能実習制度や新たな制度における転籍制限のあり方などについても、今後の議論を深めていくことが求められます。

現在、我が国には約32万人の技能実習生が在留しています。この中でベトナム人が占める割合は約55%となっており、ベトナムは重要な人材供給国となっています。しかし、近年はベトナムからの送り出し人数が減少傾向にあり、技能実習生の数は当面減少する可能性が考えられます。これを受け、我々は技能実習生が来日して良かったと感じられるような制度を設計することが求められます。

現行の技能実習制度は、原則として同一企業での実習を前提としています。そのため、技能実習生がパワハラやセクハラなどの人権侵害を受けた場合、声を上げるのが難しく、場合によっては実習先から失踪してしまうこともあります。このような問題に対処するため、人権侵害から救済される仕組みを構築することが不可欠です。

また、現行制度の下では、給与の高い職場を求めて失踪するケースも報告されています。これは、来日のために借金を負っている技能実習生が約55%に上ることが一因とされています。したがって、実習生が入国前に負担するコストを適正化する取り組みが求められています。

このような現状を踏まえ、我々は有識者会議にて、現行の技能実習制度が抱える問題を解決するための具体的な方策を検討することを期待しています。

企業単独型技能実習制度 新たな人材育成の機会とその課題

技能実習制度は、日本が開発途上国の技術者に対し、日本の高度な技術や知識、技能を修得させることを目的とした制度です。しかし、この制度の運用にはいくつかの形態があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。中でも、企業単独型の技能実習制度は比較的新しいもので、一部の企業でしか実施されていません。

企業単独型とは、企業が自社で外国人技能実習生を受け入れ、教育・指導する形式のことを指します。従来の方式では、技能実習生を受け入れるためには監理団体を通じて行われていましたが、企業単独型ではその必要がなくなります。これにより、より直接的に技能実習生を教育・指導できるようになり、企業の特定のニーズに対応した教育プログラムを実施することが可能となります。

例えば、ある製造業の企業A社が高度な製造技術を持っているとします。しかし、その技術を理解し適切に操作できる人材が日本国内に不足しているという状況が生じました。ここで、A社が企業単独型の技能実習制度を活用し、海外から技能実習生を直接受け入れることを選択した場合、A社の具体的な技術を学びたいという意欲のある技能実習生を直接育成し、必要な技術力を確保することができます。

ただ、企業単独型にはその一方で、技能実習生の管理体制や労働環境の整備に高い負荷がかかるというデメリットもあります。従来の方式であれば、監理団体が労働環境のチェックを行っていましたが、企業単独型では企業自身がその役割を果たさなければならないからです。

たとえば、技能実習生の労働時間や休日、賃金などの労働条件が適切に守られているか、技能実習生が適切な訓練を受けているかなど、確認し続けなければならない項目は多岐にわたります。もし適切な管理ができない場合、技能実習制度の趣旨に反する「労働力の搾取」となりかねません。

このように、企業単独型の技能実習制度は、企業と技能実習生双方にとって新たな機会を提供しつつも、運用には細心の注意が必要な制度といえるでしょう。これらの事柄を理解し、制度を適切に活用することで、企業はグローバルな人材の獲得と成長に寄与できます。

ところで、最近は地方でもコンビニに行くと外国人の店員さんをよく見かけるようになりましたね。彼らはフラッと日本やってきてアルバイトをしているわけではありません。

それぞれの店員さんがどのような経緯で日本に来て、どのように働いているのかはその人それぞれですが、おそらくその背後には各国の文化や社会状況、そして日本の雇用制度や技能実習制度といったシステムが影響しているでしょう。

例えば、アジア諸国からの実習生は、自国の生活環境を改善するため、または自己のスキルアップを図るために日本での技能実習を選んでいます。実習制度を通じて、彼らは自国で得られない経験や知識を身につけ、自国の発展に貢献しようとしています。

一方、日本に留学している外国人学生たちは、資格外活動の許可を受けてアルバイトをすることで、生活費を稼ぎつつ、日本の社会や文化をより深く理解しようとしています。コンビニでのアルバイトは、日本語のスキルを活かし、日本人との交流を深める絶好の機会となります。

そう考えると、コンビニで見かける一人ひとりの外国人店員さんは、日本の社会と深く結びついており、彼らが日本社会の一部として活動していることがわかります。私たちが彼らをただの「外国人の人」として見るのではなく、彼らの背景や目指す目標を理解し、彼らが日本社会で活躍できるようサポートすることが大切です。

実際に、多くの会社では外国人の雇用が増え、様々な背景を持つ人々が働く場所となっています。具体的な事例をあげてみましょう。

一つの例として、外資系のIT企業では、全社員の半数以上が外国籍で、世界各地から集まったエンジニアが日本のオフィスで共に働いています。彼らは高度な専門知識を活かして、日本市場向けの製品開発に携わりつつ、世界各地のチームと協力してグローバルなプロジェクトを推進しています。その結果、オフィスは多様な言語と文化が混ざり合う国際的な場となっています。

また、訪問看護ステーションでは、フィリピン出身の看護師が日本の老人ホームで働いています。彼女は日本の看護師資格を取得し、フィリピンでの経験を活かしながら、高齢者の日常生活を支えています。彼女の優れた看護技術と温かい人柄は、利用者や同僚から高い評価を受けています。

私が以前所属していた海外籍の会社では、日本人の私が唯一の日本人スタッフで、それは一見孤立しているように感じられるかもしれません。しかし、異なる文化背景を持つ同僚たちと共に働くことで、新たな視点を得たり、異なるアプローチを学んだりする機会が豊富にありました。これらの経験は私にとって、自身のスキルを伸ばし、視野を広げる貴重な機会となりました。

これらの事例から、多様な背景を持つ人々が集まる職場は、それぞれの長所を活かし、チーム全体の力となることがわかります。また、文化の違いを理解し尊重することは、国際化が進む現代社会において、ますます重要なスキルとなっています。

過去に日本は外国人労働者に対して非常に保守的な国と見なされていましたが、今日ではその風景は大きく変わっています。この新たな現実を具体的な例で詳しく見てみましょう。

初めに、外国人が日本で働くためのビザが大幅に増えています。たとえば、特定技能ビザが導入され、介護、建設、農業など14の産業で働く外国人を受け入れることが可能になりました。これにより、これまで日本で働く機会が少なかった人々が新たに働く機会を得ることができました。

次に、日本でのビジネス環境が進化しています。特にスタートアップの分野では、外国人創業者や外国籍の社員が活躍しています。彼らは、自分たちの視点と経験を活かして、日本国内外の市場に新しいサービスや製品を提供しています。これは、日本がグローバルな視点を持つ企業家や労働者を歓迎していることを示しています。

さらに、教育分野でも外国人教員の需要が高まっています。英語教育の充実を目指す日本の学校では、ネイティブスピーカーの教員を積極的に採用しています。これは、日本がグローバルな視野を持つ若者を育てるための一環ともいえます。

これらの例から、日本は外国人労働者の受け入れに向けて、様々な改革を進めていることが分かります。それは、日本がますますグローバルな社会に適応し、異なる文化や価値観を尊重する国に変わってきていることを示しています。このような動きは、日本における多様性と共生の価値を高め、新たな機会を創出しています。

「専門的・技術的分野の在留資格」を有する外国人労働者は、日本の労働市場において重要な役割を果たしています。具体的な例としては、以下のような事例が挙げられます。

まず、大学教授として活動する外国人は、学術的な視点や異文化理解を学生に教えています。例えば、京都大学では、アメリカ出身の教授が最新のロボット工学について教えています。彼女は自身の専門知識を用いて、日本の学生に新たな視点を提供し、学術の国際化に貢献しています。

次に、医者として働く外国人もいます。たとえば、ある大病院ではフィリピン出身の医師が日本語と英語で診療を行っています。彼は日本の医療制度とフィリピンの医療制度の両方に精通しているため、多文化背景の患者に対して適切なケアを提供することができます。

また、語学学校の教師として活動する外国人も増えています。彼らは自身の母国語を活かして、日本人に語学の指導を行っています。例えば、ある英語学校では、イギリス出身の教師が、生徒たちに英語の発音や表現を教えています。

さらに、ホワイトカラーとして働く外国人もいます。彼らは、ビジネスの専門知識を持つことが求められます。例えば、あるIT企業では、インド出身のプログラマーが、グローバルな視点を持つ新しいソフトウェアの開発に関わっています。

これらの例から、日本で働く外国人労働者がどのように社会に貢献し、また自身の専門性や能力を活かしているかが見えてきます。彼らはそれぞれの分野で専門性を発揮し、日本の産業や教育、医療などに新たな価値をもたらしています。

日本の産業を支える外国人労働者の貢献

「技能実習」制度の活用は、日本の産業に新たな勢いを与えています。多様な業種で働く外国人労働者は、現地の働き手として貢献し、同時に国際的な視野と異文化の理解を深める機会を得ています。以下に、具体的な例を挙げて詳しく説明します。

例えば、農業分野では、技能実習生が一手間加えることで、地元の農産物の生産を支えています。岡山県のある農家では、ベトナム出身の技能実習生が桃の収穫を手伝い、高品質な果物の生産に貢献しています。彼は自国での農業経験を活かしつつ、日本独特の農業技術も学んでいます。

また、漁業分野でも、技能実習生は活躍しています。北海道のある漁港では、フィリピン出身の実習生がカニの漁獲に関わっています。彼は早朝から遅夜まで働き、新鮮な海鮮を消費者のテーブルへ届けるために必要な作業を行っています。

建設業でも、技能実習生の活用が進んでいます。都市部の高層ビル建設現場や地方の住宅建設現場で、インドネシアやネパール出身の技能実習生たちが建設作業に携わっています。彼らは日本の最先端の建築技術を学びつつ、労働力不足を補っています。

新たに技能実習の対象となった介護や自動車整備の分野でも、技能実習生の活躍が期待されています。ある老人ホームでは、中国出身の技能実習生が介護スタッフとして働き、高齢者の生活支援に努めています。また、ある自動車整備工場では、ブラジル出身の技能実習生が自動車の修理を学びながら、現地のスタッフを支えています。

これらの例から、技能実習制度がどのように外国人労働者を支え、日本の多様な産業に新たな活力を与えているかが分かります。また、制度の適用範囲が広がることで、より多くの外国人労働者が日本で働く機会を得て、その結果、日本の社会や経済にさらなる貢献を期待できます。

「資格外活動許可」が織りなす文化交流と経済貢献

「資格外活動許可」を利用した留学生のアルバイト活動は、日本の社会と留学生自身にとって、多大な利点をもたらしています。以下、いくつかの具体的な事例を用いて、その詳細を説明します。

例えば、東京のある語学学校に通う中国出身の留学生、李さんは、この制度を利用してレストランでウェイターとして働いています。彼は週に数回、勉強の合間を縫ってアルバイトに出向きます。この経験は彼にとって、日本語能力の向上だけでなく、日本の飲食業界やサービス精神について深く理解する貴重な機会となっています。

また、大阪に留学中のインド出身のRaviさんは、自身の専攻分野である情報技術(IT)を活用し、地元の企業で週に数日、アルバイトをしています。彼は「資格外活動許可」の制度を活用し、専門的な知識を生かしながら、実務経験を積んでいます。

その他にも、小売業や物流、介護など様々な業種で、資格外活動許可を持つ留学生がアルバイトをしています。特に、日本に特有のサービスや文化を体験できるアルバイトは、留学生にとって学問だけでなく、日本の文化や働き方を理解するための大切な経験となっています。

資格外活動許可を利用することで、留学生は日本での生活費を稼ぎつつ、実践的な日本語の使い方や日本社会の理解を深めることができます。また、彼らの存在は、日本の産業にとっても新たな人材を提供するという重要な役割を果たしています。この制度は、留学生と日本社会の双方にとって、価値ある経験を提供するものと言えるでしょう。

複数の視点からの日本における「身分に基づく在留資格」

「身分に基づく在留資格」は、一般的には特定の身分や地位に基づく在留資格を指します。これは、その人が日本での生活を続けるための基盤を提供し、一定の権利と義務を伴います。以下に具体的な例を示します。

一つ目の例は、日本の配偶者を持つ外国人です。これは、外国人が日本人と結婚した場合に適用される在留資格です。例えば、ブラジル出身のマリアさんが日本人の太郎さんと結婚した場合、マリアさんはこの在留資格を持つことができます。これにより、マリアさんは日本で働く権利を得て、夫と共に日本で生活を営むことが可能となります。

二つ目の例は、日系人に対する在留資格です。これは、日本の血を引く外国人が日本で生活するための在留資格です。たとえば、ペルー生まれで日本の祖父母を持つカルロスさんは、この在留資格を持つことができます。カルロスさんは、この在留資格により、日本で就労したり、日本の生活文化を体験したりする権利を得ます。

三つ目の例は、永住者の在留資格です。これは、長期間日本で生活し、社会的に定着した外国人に対して与えられます。例えば、韓国出身で20年以上日本で生活しているキムさんは、この在留資格を持つことができます。キムさんは、この在留資格により、ほぼ日本国民と同等の権利を得て、日本で安定した生活を送ることができます。

これらの例から、「身分に基づく在留資格」が日本の社会においてどのように機能しているかが明らかになるでしょう。それぞれの在留資格は、異なる身分や状況に基づいており、その結果、日本社会とその労働市場はより多様で包括的なものとなっています。

アメリカの就労ビザ取得 現実的な挑戦とその影響

アメリカの就労ビザは、その取得が非常に厳格であると広く認識されています。これは、一部の人々にとっては制約となる一方で、他の人々にとっては競争力を示す機会ともなり得ます。特に、トランプ政権下では、ビザ政策が見直され、米国市民の雇用を保護することが重視されるようになりました。これは、高学歴者や専門職の人々が特に影響を受ける事態となりました。

例えば、インド出身のソフトウェアエンジニア、シャルマ氏のケースを考えてみましょう。彼は米国の一流大学でコンピューターサイエンスの修士号を取得した後、シリコンバレーの有名なテクノロジー企業で働くオファーを受けました。しかし、厳格化したビザ政策の影響で、彼のH-1Bビザの申請は拒否されました。これは非常に特殊なスキルを持つ人々でも、ビザ取得は容易ではないという事実を示しています。

また、別の例として、フランス出身のビジネスコンサルタント、レベッカさんを挙げます。彼女はフランスの名門ビジネススクールからMBAを取得し、その後、ニューヨークの大手コンサルティングファームから就職のオファーを受けました。しかし、彼女もまたH-1Bビザの抽選に漏れ、仕事を始めることができませんでした。これは、高度な教育を受け、高度な職種についていても、ビザ取得は保証されていないという事実を強く示しています。

これらの例から、アメリカの就労ビザ取得の厳格さが伺えます。それは、留学生、専門家、技術者など、あらゆる層の人々に影響を及ぼしています。これらの現実を理解することは、アメリカで働くことを検討している外国人にとって重要です。

日本の就労ビザ取得に対する柔軟さは、数々の具体的な例で見ることができます。例えば、Aさんは英国の大学を卒業後、日本の広告会社で働くチャンスを得ました。彼女は英語と広告制作のスキルを持っていましたが、日本での業務経験はありませんでした。しかし、彼女は日本の労働市場におけるニーズに合致しており、その資格を証明する資料を適切に提出したため、無事に就労ビザを取得することができました。

別の例として、Bさんはフィリピンの専門学校を卒業し、日本のIT企業にエンジニアとして雇用される機会を得ました。彼の場合、彼が学んだ専門的な技術は日本でも非常に求められるスキルであり、それを証明する資料を提出したことで、彼もまた日本での就労ビザを取得することができました。

以上の例からもわかるように、日本の就労ビザは、比較的緩やかな要件となっています。ただし、それぞれの申請者が必要な書類をきちんとそろえ、ビザの対象となる職種について具体的な証明を提出することが必要となります。このような手続きを通じて、日本の労働市場は多様性を持ち、多くの国からの労働者を受け入れることが可能となっています。

対して日本は、比較的柔軟にアルバイトを認めています。日本での留学生は、申請により「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間までアルバイトが許されています。さらに、長期休暇中は1日8時間まで働くことが可能です。

たとえば、Cさんはインドネシアから日本の大学に留学し、情報科学を学ぶ学生です。彼は「資格外活動許可」を取得し、週末と夜間にコンビニエンスストアでアルバイトをしています。彼の場合、日本語の習得にも役立っており、生活費を稼ぐだけでなく、日本の社会と文化を理解する一助となっています。

また、Dさんは中国からの留学生で、東京の美術大学でデザインを学んでいます。彼女も「資格外活動許可」を取得し、デザイン関連のフリーランスの仕事を週に数時間こなしています。これにより彼女は、学ぶだけでなく自分のスキルを実際の仕事で活用することができ、さらに貴重な職業経験を積むことが可能となっています。

このように、日本では留学生が自分の時間を有効に活用し、学費や生活費の一部を稼ぐことが可能です。これは、自立を促すだけでなく、学生が日本の社会や文化に深く触れる機会を提供します。ただし、アルバイトが学業に影響を及ぼさないよう、許可された時間内で働くことが重要であり、ルールを守ることが求められます。


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