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ナスの定植直後の管理と作業

前回は「ナスの芽かきと主枝の選択から平面四本仕立て」と題して、あまり一般的ではないナスで四本仕立てについて、収量や手間の点でとても成績が良かったので全面的な導入に踏み切り、その方法について解説しました。

今回は、その他の仕立て方についてもご紹介していきます。
支柱を立てることには、いくつかの重要な役割があります。

まず一つ目は、支柱を立てることによって、ナスの苗が強風や突風などの気象条件による折れを防ぐ効果があります。特に成長初期の苗は細くて脆弱であり、風によるダメージを受けやすい傾向があります。しかし、支柱を利用することで苗を安定させることができます。

支柱はナスの苗の横方向の安定性を提供し、風による揺れや折れを軽減します。支柱は苗を支える役割を果たし、苗が風によって倒れたり折れたりすることを防ぐことができます。また、支柱は根元からの栄養の流れをスムーズにする効果もあります。これにより、苗の成長や果実の発育を促進させることができます。

特に風の強い地域や季節においては、支柱の役割は非常に重要です。苗を支えることで、栽培中の苗の健康状態を保ち、収穫量や品質の向上に寄与することができます。

支柱を立てることは、ナス栽培において重要な管理手法の一つです。適切な支柱の設置と管理により、苗の安定性を確保し、風による被害を最小限に抑えることができます。

二つ目は、支柱は枝や茎をガイドする役割を果たし、ナスの成長を整える上で重要な役割を担っています。苗が支柱に沿って成長することで、望ましい形状や方向に枝を伸ばすことができます。

支柱の設置によって、ナスの枝は乱れずに整然と成長することができます。枝がバラバラに広がることなく、支柱に沿って垂直に伸びることで、ナスの植株はコンパクトで美しい形に整えられます。これにより、株間のスペースを最大限に活用し、収穫効率を高めることができます。

また、支柱は枝を安定させる役割も果たします。成長して重くなった枝は自重で垂れ下がることがありますが、支柱によって枝を支えることで垂れ下がりを防ぎます。これにより、果実が地面に触れることなく清潔な状態で成長し、品質の向上を図ることができます。

さらに、支柱は管理作業を容易にする効果もあります。枝が支柱に沿って成長しているため、収穫や剪定、病害虫の確認などの作業がスムーズに行えます。枝が乱れている場合よりも、支柱に沿って整列した枝は見通しがよく、作業効率が向上します。

支柱はナス栽培において、植物の成長をサポートし、効果的な管理を可能にする重要な要素です。枝や茎をガイドすることで、整然とした成長を促し、収穫の容易さや品質の向上に寄与します。

以上のように、支柱の立てることは苗の保護と形状の誘導に役立つ重要な役割を果たしています。適切な支柱の設置により、ナスの栽培を成功させるためには欠かせない要素です。

目的に応じて色々な仕立て方がありますが、まずは二種類の方法をお伝えしたいと思います。


U字仕立てとV字仕立て

まず一般的にはU字とV字という仕立て方があって、その違いは最終的な主枝の形になります。

U字仕立てにはいくつかのメリットがありますが、その中でも最大のメリットはナスの株の中心に光が均等に入ることです。この仕立て方によって、葉が重なることなく日光を受けることができ、光合成が効率的に行われます。これにより、ナスの生育が促進され、健全な果実の発育が期待できます。

一方で、U字仕立てのデメリットとしては、株の内側を収穫するため、効率が悪いという点が挙げられます。株の中心に果実が形成されるため、収穫時には株の内部にアクセスする必要があり、作業効率が低下することがあります。また、足場の悪さや腰をかがめる姿勢が多くなるため、作業効率の低下だけでなく、健康面や安全性の低下も懸念されます。

これらのデメリットを踏まえて、U字仕立てを選択するかどうかは、生産効率や作業条件、栽培目的などを考慮して判断する必要があります。

V字仕立ては、支柱とワイヤー、誘引テープを活用してナスの主枝を斜め上向きに伸ばす方法です。この仕立て方によって、ナスの枝が均等に広がり、光合成が効率的に行われます。

V字仕立ての欠点としては、枝を誘引テープに固定するタイミングを遅らせると、節間が長くなってしまうことが挙げられます。節間が長くなると、枝の強度が低下し、倒れやすくなる可能性があります。そのため、枝の成長に合わせて適切なタイミングで誘引テープに固定することが重要です。

また、枝の分岐点が裂けることを防ぐためにも注意が必要です。分岐点には適度な強度が必要であり、誘引テープの締め付け過程で枝が裂けないように慎重に取り組む必要があります。枝を寝かすように誘引テープで固定することで、分岐点がしっかりと形成されるようにしましょう。

以上のポイントに留意しながら、V字仕立てに取り組むことで、ナスの健全な成長と収穫を促すことができます。

平面四本仕立てのナス栽培では、作業のしやすさが最大のメリットです。ナスの果実は四本の主枝に均等に分散しており、作業効率が向上します。収穫時には獲りこぼしも少なくなるため、収量を最大限に活かすことができます。また、花の状態の観察も容易であり、花の結実状態や受粉の確認がしやすいです。

一方、平面四本仕立てのデメリットとしては、強風時に注意が必要です。この仕立て方では横風に対して弱い構造となっているため、倒れてしまう可能性があります。そのため、風に対する防風対策をしっかりと行うことが重要です。支柱や固定具を使用して樹を補強し、風による損傷や倒れを防止する対策を取りましょう。

適切な防風対策を施すことで、平面四本仕立てのメリットを最大限に活かしながら、安定した栽培を行うことができます。畑の風の状況や気象条件を考慮しながら、慎重に対策を立てるようにしましょう。

支柱の種類(支柱の長さ、太さ、間隔、形状)

支柱の種類は、一般的に使用される鉄パイプの外形が19mmのものです。

支柱の長さには、275cmの直管パイプまたは同じ規格のパイプ2本を組み合わせて逆U字に組んだものが使用されます。これらのパイプはホームセンターなどで入手可能です。

特にうねの端部分には足場パイプなどを使用して補強を行います。これにより、強風などの外部の力に対して支柱がしっかりと固定され、安定性が確保されます。

また、支柱間の間隔は栽培条件や栽培方法によって異なる場合があります。一般的には、ナスの場合は約1.5〜2メートル程度の間隔を設けることが一般的です。これにより、各株に適切なスペースを確保し、枝が十分に成長することができます。

形状としては、ナスの支柱は逆U字の形状が一般的です。この形状は、枝をしっかりとサポートするとともに、ナスの植物体の中心に光が入りやすくなります。これにより、均一な光照射を促し、ナスの成長を助けることができます。

支柱の選定は、ナスの品種や栽培環境に合わせて行う必要があります。適切な長さ、太さ、間隔、形状の支柱を選ぶことで、ナスの安定した成長と効果的な管理を実現することができます。

支柱パイプの組み立て手順は以下の通りです。

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