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ナスの支柱立てから整枝まで

前回は「ナスの定植直後の管理と作業」と題して、その他の仕立て方についてもご紹介させていただきました。

今回は、整枝作業について解説させていただきます。
整枝作業は、畝作りとマルチ施工後に行います。特にトンネル栽培では、支柱の存在が安定性と安全性につながります。作業の手順は以下の通りです。

作業を開始する前に、健康で成長の良い主枝を選びます。これが株の中心となります。不要な脇芽や側枝を取り除き、主枝のエネルギー集中を促します。枝の長さや方向を調整し、望ましい形状や方向に整えます。誘引テープやエスター線を使用して、枝を固定します。

トンネル栽培では、強風に備えて支柱の補強を行います。追加の支柱や補強材を使用して、トンネルの安定性を確保します。

整枝作業はナスの健康な成長と収穫にとって重要です。正確な整枝により、株の成長を促し、収量と品質を向上させることができます。また、トンネル栽培では安定性を保つために支柱の補強も欠かせません。これにより、ナスの栽培が安全かつ効果的に行われることができます。

露地でのナス栽培において、整枝法によって支柱の足元の間隔や支柱の開き具合が異なります。一般的なV字仕立てでは、支柱の足元はわずかに交差させるか、ほとんど離さずに設置し、地面から約70度の角度で立てます。

一方、U字仕立てでは、支柱の間隔を55~60㎝離して設置し、同様に地面から約70度の角度で立てます。この方法では、支柱同士の距離を広く取ることで、ナスの樹形を広げることができます。

どちらの仕立て方法でも、支柱の設置角度は地域や栽培条件によって微妙に異なる場合もあります。栽培者は自身の経験や地域の気候条件に基づき、最適な支柱配置と角度を選択する必要があります。これにより、ナスの成長や収穫時の作業効率を最大化し、健全な株の育成に貢献することができます。

露地でのナス栽培において、支柱に取り付けるワイヤーの配置や誘引テープの設置位置は、株の開き方や高さによって決定されます。

平面三本仕立てでは、支柱を株と平行に設置します。この方法では、地面から支柱までの角度を直角にするように調整します。支柱の配置は株の間隔に合わせて均等に行われます。

ワイヤーは下のワイヤーの高さで株の開き方が調整されます。一般的には、株の高さに合わせてワイヤーを取り付け、株がワイヤーに自然に沿って成長するようにします。

誘引テープの位置も株の高さに基づいて決定されます。株が成長するにつれて、適切な高さで誘引テープを取り付け、株を支えるように誘引します。

これらの工程を丁寧に行うことで、ナスの株は適切に誘引され、健全な成長を促進することができます。栽培者は株の状態や成長具合に合わせて支柱や誘引方法を調整し、ナスの健康な発育と効率的な収穫を実現することが重要です。

ナスの誘引作業には、ブドウの誘引などに使われるテープナーが便利です。テープナーは株や支柱に取り付けることで、茎や枝をしっかりと固定し支えます。この方法では、結ぶ技術が必要なく、誰でも比較的簡単に作業を行うことができます。そのため、作業スピードに大きな差は生じません。テープナーを使用することで、ナスの誘引作業がスムーズに進み、株の成長を支えることができます。誘因作業は効率的に行い、ナスの健全な発育を促進しましょう。


整枝と手入れ

ナスの栽培において、整枝作業は非常に重要です。適切な整枝によって、ナスの成長や収量に大きな影響を与えることができます。整枝の目的は、枝や葉のバランスを調整し、光や風の通り道を確保することです。

まず、茂りすぎた枝や生育に支障をきたす葉を剪定します。これにより、株のエネルギーが健全な部分に集中し、成長や収穫に寄与します。主枝を適切に選び、支柱に誘引することも重要です。強く健康な主枝を選び、適切な位置に誘引することで、均一な成長を促し、収穫の効率を高めます。

また、枝の間引きも行います。主枝から分岐する枝を間引きし、適切な間隔を保つことで、光や風が均等に株全体に届き、病気や害虫の発生を抑制する効果があります。

整枝作業は慎重に行う必要があります。ナスの成長状態や枝の配置を注意深く観察し、適切な剪定と誘引を行いましょう。適切な整枝によって、ナスの健康な成長をサポートし、収量や品質の向上を実現することができます。

ナスの整枝作業には、光の最大限の利用と水分の効率的な分配を促すという2つの主な目的があります。

まず、光の利用を最大化するために、不要な茎や葉を取り除き、株全体に均等に光が当たるように樹形を整えます。茎や葉が密集していると、光が届かずに下部の葉が弱くなったり、果実の発育に影響を与えたりすることがあります。適切な整枝によって、光が葉面全体に行き渡り、光合成の効率を最大限に引き出すことができます。

また、根から吸い上げた水分や養分を効率的に利用するためにも整枝が重要です。不要な茎や葉を取り除くことで、水分や養分が必要な部分に集中して供給されます。これにより、株全体の成長や果実の発育に必要な栄養を効果的に分配することができます。

整枝作業はナスの健全な成長と高収量を実現するために欠かせない作業です。光の利用と水分の効率的な分配を意識しながら、適切な茎や葉の剪定を行いましょう。これによって、ナスの樹形を整え、光合成や栄養供給を最適化し、健康な成長を促進することができます。

整枝作業において、「整枝」と「手入れ」という二つの要素があります。

まず、「整枝」は樹全体をとらえてその姿を表現する作業です。枝の本数を調整することで、特定の枝を重点的に育てることができます。枝数を少なくすると、強い枝が早期に発生し、初期収量を増やすことができます。一方、枝数を多くすると、樹勢を抑制しやすくなり、落ち着いた樹形を作ることができます。整枝によって、ナスの樹形を調整し、収量を最大化することが可能です。

次に、「手入れ」とは、主枝上の脈芽の管理を行う作業です。脈芽は新たな枝を形成するための芽であり、適切な管理が必要です。手入れ作業では、強い脈芽を選んで育て、不要な脈芽を取り除くことで、バランスの取れた枝の成長を促します。手入れによって、枝の成長を調整し、株全体の健康な発育をサポートします。

整枝と手入れは、ナスの生育をコントロールするために重要な作業です。枝の本数や脈芽の管理によって、ナスの成長や収量を調整することができます。適切な整枝と手入れを行いながら、ナスの樹形と成果をバランス良く育てていきましょう。

第四主枝は通常、他の主枝に比べて弱くなりやすい傾向があります。そのため、適切な対策を取ることで、四本の主枝のバランスを調整することが重要です。

まず、第四主枝の成長を促すために、最初の誘引を遅らせます。これにより、他の主枝がしっかりと成長した後に第四主枝を伸ばすことができます。また、第四主枝を上に伸ばす期間を長めに設定し、十分な成長を促します。これによって、第四主枝が強く育つことが期待できます。

さらに、寝かす作業を遅らせることも有効な対策です。他の主枝がしっかりと成長した後に第四主枝を寝かせることで、十分な栄養や水分を吸収し、強く健康な枝を形成することができます。このような対策を取ることで、平面四本仕立てでも四本の主枝のバランスを調整し、ナスの健全な成長を促進することができます。

平面四本仕立てにおいても、第四主枝の弱さに対する対策を行うことで、均一な成長と収量を実現しましょう。適切な誘引や寝かしのタイミングを見極め、ナスの生育に適した状態を維持することが重要です。

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