土田に夢中

土曜日、土田が死んだ
葬式は、家族友人で行った


朝起きたら 土田から電話があり
二人でメキシコ料理を食べた

その後 電車で三駅移動し

自分は乗り換えの為 土田は、そこから 家に帰るため 駅のロータリーで別れる事になった

じゃあ と言って離れて行く時

土田が、こちらを呼び止めた
「す」

土田が、そう言った瞬間
土田は、そこに居なかった


トラックが 止まっていて
土田が トラックになっていて

恐る恐る トラックの進行方向を見たら
土田が死んだ

正確には、土田は振り返る前には 死んでいたかもしれないけど

振り返った時には 土田が居た場所には
トラックがいて 土田、土田、だった身体が
土田のように死んでいた


水曜日 土田が消えた悲しみに

炭を買い 知り合いを集め 死んだ顔で
山奥に行き

そのうち楽しくなり 焚き火になり

死んだ顔で 始めた焚き火は、焼肉する気持ちに変わり

焼肉をした

そこには 土田もいた

五人で乗り合わせたハイエースに
熊も乗り

街へ帰り また、それぞれの生活に戻った
ちなみに熊も、いつのまにか山に帰っていった

土田に、渡すはずだった 手紙を土田に渡して
目の前で音読しだしたりされたから

土田と二人で笑ったけど
いつからか、静かな空気と
その目の動きから 土田が 読んでる場所と
自分が、気持ちの中で音読した部分が 並走した


カサっと暫くして 土田が手紙を閉じて 顔を上げた時

土田と目が合った

土曜日の 午前中 空には飛行機雲が残ってた


あの日 土田が 言いかけた 言葉の続きを
僕から手紙で言った。



#フィクション

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