父さんのオムライス〜父の日に寄せて〜
「父さんのオムライスが食べたい」
帰省中に何か食べたいものがあるかと聞かれたら、自然と答えていた。
父が嬉しそうな顔をしていた。
私は父のオムライスが世界で一番美味いと思っている。
ファザコンだと思われたっていい。
本当に真剣にそう思っている。
うちの食事担当は平日と夜が母、休日の日中は父だった。
作ってくれるのは所謂、男の料理。
ラーメンやチャーハン、カツ丼…
ちょっと濃いめ(いやちょっとじゃないな)の味付けでボリューム満点。
それが父の料理だった。
その中でも好きなのがオムライスだ。
しっかり味付けされたケチャップライスをバターたっぷりで焼いた半熟トロトロの卵で包んである。
ケチャップライスにしっかり味がついてるから、卵にケチャップはいらない。
これが本当に美味しいんだ。
「自分で再現しようとしても全然上手くいかないの。
やっぱり父さんが作ったものじゃないとダメみたいで。」
照れくさいから伝えたことは無いけど、いつか伝えるつもり。
どんな顔をしてくれるかな。
きっと
「おめぇ、何言ってんだよ〜」
って照れくさそうに笑うんだろうな。
そんなことを思いながらまた一口、口に運ぶ。
健康を意識してからか、だいぶ薄味にはなったけど変わらず美味しいな。
そんな私の顔を見て父はニッと笑いながら煙草に火をつけた。
いつか必ず伝えるよ。
父さんのオムライスが世界一だって
父さんが大好きだよって
だから
これからも
元気でいてね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?