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自転車旅行の話  第2話

第2話

 今日河原で歌を歌っていると、一人のお婆さんが僕の曲を聞きながら涙ぐんでいるのが見えた。僕はそのお婆さんの事が気になって思わず話しかけた。「お婆さん僕の曲そんなに良かったですか?」するとおばさんが答えた。「いやあ。あんたの歌声があまりに死んでしまった主人の声にそっくりなものだから、それで思わず涙ぐんだんだよ。」「そうでしたか。」聞くところによるとお婆さんには子供が一人いたが、その子も随分前に事故で亡くなってしまったらしい。それからはずっとご主人と彼女との二人暮らしだったが、そのご主人も去年の暮れに亡くなってしまい、今は寂しい一人暮らしらしかった。
「そうだ、話しかけて来てくれたついでにお昼ご飯でも一緒にどうだい?」とお婆さんが言ってくれたので、僕はこうゆう偶然の出会いこそ求めて旅に出たのだと、喜んでお婆さんの家についていくことにした。お婆さんは「ごめんね、老人の一人暮らしだとこれ位のものしかなくって。」と言いながら、僕に筑前煮をごちそうしてくれた。

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