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精神疾患にかかわる人が最初に読む本を読んだよ。

タイトルの通りですが、以下の本を買いました。
買いましたが、なんとも頭に残らないのでメモします。

私は医師、看護師ではないのですが、このページでは
「だいたいそういう症状はこう呼ばれるよ」
という、判断の助けになればと思って書いています。気が付けば私自身、何度も同じページを読んでるので、メモることにしました。

その言動、その選択が、人の「個性」なのか「症状」なのかを切り分ける助けになれば良いなと考えています。

精神症状

知覚の障害

錯覚
 間違えて知覚してしまうこと。いろいろあるが、患者さんにとっては事実なので無理に否定する必要はありません。
幻覚
 
何もないのに感じてしまうこと。これも患者さんにとっては事実なので、内容を聞いてみましょう。
幻聴
 自分を罵倒する声がよく聞こえる。場所を変えても音楽をかけても聞こえるのだ。否定するよりも、苦しそうですね、大丈夫ですか?という理解。
幻視
 なにもないのにリアルな幻がみえる……。認知症、頭部外傷、覚せい剤などで見える。統合失調症やうつ病では見えません。
体感幻覚
 何もないのに、包丁が体に刺さってると感じる。統合失調症でみられる。

思考の障害

|観念奔逸《かんねんほんいつ》
 話題が次々と脱線して、言いたいことにたどり着かない!躁状態でみられる。
|滅裂思考《めつれつしこう》
 おしゃべりの内容が関係のない話題にどんどん変わる!
 こちらは話に関連性がないのだ。統合失調症でみられる。
思考制止
 本人は全開なのだが、動きもしゃべりもスロー。止まってはいない。
 やる気あるの?とか、言わない。うつ状態でみられる。
|思考途絶《しこうとぜつ 》
 考えが急にストップする、統合失調症の症状のひとつ。
|思考化声《しこうかせい》(考想化声こうそうかせい)
 自分の考えてることが声になって聞こえると感じるので、怖くて外に出られない。自分の考えが人に悟られるように思う、恐ろしい症状。統合失調症の症状のひとつ。
|迂遠《うえん》
 話がまわりくどいこと。観念奔逸と似ているが、こちらはいつかは着地する。本人に悪気はないけどまわりの人に避けられてしまう。認知症や不安症でみられる。
|保続《ほぞく》
 同じことをずっと話してしまう。認知症の症状のひとつ。同じ言葉をずっと言ってしまう滞続言語たいぞくげんごと似ている。
支配観念
 不安症の症状のひとつだが、正常な人にも見られる強い疑念や不安のこと。まわりからの指摘である程度抑制できる。しかしかなり強いので、訂正されたところで消えるわけではない。
強迫観念
 観念に合理性を欠くもの。カギを100%かけたのにカギのことがずっと気になる。そういった観念。実際に何度もカギをかけに帰宅してしまうのは強迫行為と言って区別する。強迫性障害の症状のひとつ
|作為思考《さくいしこう》
 他人によって考えさせられていると感じる。統合失調症でみられる特徴的な症状のひとつ。
|思考吹入《しこうすいにゅう》
 他人の考えが自分の中に吹き込まれる!妄想とセットになってトラブルにつながることも。統合失調症でみられる。
|思考伝播《しこうでんぱ》
 自分の考えがまわりに伝わっている!とかんじてしまう。統合失調症でみられる。人は本音と建前を使い分けて生活しているので、それがバレていると感じる恐怖は、思っているよりも強いものだと理解しよう。
妄想
 誤った内容を信じ込み、誰からの訂正も受け付けなくなる。それらは周りからも否定されるので、本人も苦しい。
 
いろいろな病気でみられる症状である。が、否定も肯定もしない!というのが対応のポイントです。大切なのは妄想に付随して、不安やイライラなどの様々な感情が生まれることです。
 脈絡なく突然思い込む[一次妄想]と、妻がそっけないので浮気に違いない!というような[二次妄想]がある。
妄想気分
 一次妄想のひとつ、統合失調症でみられる。根拠のない不気味な恐怖感。
 悪化すると世界の終わりと感じてしまう。
妄想知覚
 一次妄想のひとつ。車のクラクションは宇宙からのサイン。というような独特の意味付けをする。統合失調症でみられる。
妄想着想
 一次妄想のひとつ。ある思いが突然浮かび妄想がひらめく。統合失調症でみられる。
微小妄想
 俺はもうだめだ!ダメ人間だ!「そんなことないですよ」と安心させてあげるのが大切。うつ病でみられる。
心気妄想
 俺はガンなんだあ!と健康状態をマイナス評価。治らないならいっそ…と自殺を考える場合もあるので注意。
貧困妄想
 自分の持っているお金を過小評価する。借金苦から自殺を考える場合もあるので注意。
罪業妄想
 自分の社会的価値をマイナス評価する。自分がいては迷惑だ…と、自殺を考える場合もあるので注意。
誇大妄想
 躁うつ病でみられる。自分を過大評価し、戦国武将などすごい人間だと思い込む。基本はヨイショしておだてながら対応するが、偉いと思ってるので動かない。健康妄想(自分は無敵)、宗教妄想(自分は神)、血統妄想(自分は偉人の子)がある。
被害妄想、関係妄想
 起こった出来事をなんでも自分に関係あるものと感じてしまう

注察妄想
 見られてる気がする
被毒妄想
 毒が盛られてる気がする
追跡妄想
 後をつけられている気がする
嫉妬妄想
 浮気されている気がする
憑依妄想
 なにかに取り憑かれている気がする
物理的被害妄想
 電波で攻撃されている気がする!

自我意識の障害

自己を認識するのは以下の要素がある
能動性・・・俺が考えている
単一性・・・俺はひとり、ほかに同じ男はいない
同一性・・・以前の俺も今の俺も同じ人だ
境界性・・・俺と他人は別のものだ。

これらに障害が発生すると、自分が自分でない、周囲に生き生きとした現実感がなくなったと自覚される。
 
させられ体験
 統合失調症でみられる。操られてる!
離人症
 うつ状態でみられる。幽体離脱している!

感情の障害

不安
 かたちにできないぼんやりとした不安。イライラも不安のサインのひとつとされる。どうしたの?と声をかけるのが大切。
多幸
 理由がないのにニコニコしている。病的にうれしい気分。アルツハイマー型認知症の症状のひとつ。
感情失禁
 ちょっとしたことで泣いたり笑ったりする。血管性認知症の症状のひとつ。
両価性、アンビバレンス。
 愛しているけど殺したい。さみしいけれど一人にしてほしい。統合失調症やパーソナリティ障害でみられる。
気分倒錯
 つらい状況でも笑ってしまう。場や体験にふさわしくない行動をしてしまう。統合失調症の症状のひとつ。

意欲・行動の障害

 意欲には、生存のための欲と、精神的な欲があります。休職中に妊娠したからといって、非難されるようなものではありません。生存のための欲ですからね。

ひきこもり
 6か月以上仕事や学校に行かず自宅にひきこもる状態、いろいろな疾患でみられる。周囲に対する関心が薄れ、自分の殻に閉じこもる状態になったら自閉と呼びます。
無為
 統合失調症の症状でみられます。意欲がなく、なにもする気が起きない。かといって退屈というわけでもない。症状には波があるので、良い感じに誘ってね。
昏迷
 うつ病や統合失調症でみられる。行動する意欲、意思がほとんどなくなってしまう。他人から見れば昏睡状態に見えるが、聞こえているし考えている。行動できない状態。不用意な発言は控えましょうね。

緊張病
 さまざまな精神疾患で共通してみられる症状。以下のものがある。
 拒絶・食事や薬やコミュニケーションを拒む
 常動症・同じ姿勢、言葉、運動を繰り返す
 反響症状・言われたことをおうむ返しにする
 命令自動・言われた指示にそのまま従います
 カタレプシー・ひとつの姿勢をとらせると蝋人形のように固まってしまう
 |衒奇症《げんきしょう》・それまで暇そうにしていたのに話しかけると[忙しい]と返したりする、奇妙でわざとらしい、あまのじゃくな行動をとる。

操作
 パーソナリティ障害でみられる。自分を有利にするために嘘をついて他人をまきこむ。パーソナリティ障害であるとわかっているなら職員同士で情報共有しましょう。パーソナリティ障害とわかっていないなら、鵜呑みにしない。事実を確認することが大切。
 
自殺・自傷行為
 精神状態の悪化や幻聴など、異常な精神状態が引き金となる。正常でない状態であったことを理解することが大切である。自分に希死念慮が沸いたなら精神科救急の対応窓口へ。自殺しようとしている人の現場にいる場合は、警察を呼びましょう。具体的に死に方、日取りを考えている場合は緊急性が高い。
「死んじゃダメ!」と頭ごなしに言っても無意味。死にたくなるくらいつらい気持ちなのですね。というニュアンスが適切である。適度な励ましは有効である。

過食・拒食・異食
 さまざまな疾患でみられます。健康を害します。認知症でも見られます。
自業自得と周囲は見るが、本人にしてみれば制御できない衝動なので心無い言葉を吐くのはやめましょう。
 
性欲亢進・減退・性目標・対象の異常
 性欲亢進は躁状態や違法薬物の使用でみられます。減退はうつ状態や、向精神薬の副作用でみられます。性対象が異常(小児,死体,動物)であったり対象や自分に苦痛を与えることで害を引き起こす可能性のある「パラフィリア症候群」というものもある。理解することは難しいかもしれないが、恋人と普通に愛し合う時間を持てない障害である。といえば深刻に感じてもらえるかもしれない。

意識の障害

せん妄
 認知症、器質性精神障害、症状精神病でみられる。
夜間に生じる記憶障害を伴う行動異常。わしは騙されてここに来た。いまから帰る!など。昼間にちゃんと起きててもらうのが大切。

知能の障害

知的能力障害(知的発達症)
生まれつき、あるいは発育中に何らかの原因で知能が阻害されてずっと低いままとどまった状態。
病気でないのに知能が低い、病気が原因で知能が低い、貧困や教育を与えられなかったことで知能が低い。いろいろあります。最近ではDSM-5という診断基準をもとに総合的に診断されています。

記憶の障害

記憶には3種類ある。これらが阻害されると障害としてあらわれる。
記銘・ものごとを覚えること
保持・記憶を覚えておくこと
想起・思い出すこと

健忘
 認知症でみられる。前向性健忘はある出来事以後の記憶がない。酒を飲んで、どうやって帰ったか記憶にない。という状態もこれにあたる逆行性健忘は、今の夫の名を忘れて前の夫の名を言ってしまうなどのケース。
見当識障害
 認知症や意識障害で見られる。ここがどこかも見当がつかない。
作話
 アルコール依存で見られる。記憶の欠けた部分をあたかも自分が経験したかのように取り繕うコルサコフ症候群が有名だが、認知症でも見られる。

巣症状そうしょうじょう

脳の一部に障害が起きることで生じる機能障害。
前頭葉が阻害されると・意欲、性格変化、運動失調、運動性失語
側頭葉が阻害されると・性格変化、記憶障害、感覚性失語
頭頂葉が阻害されると・知覚障害、失行、失認、失語など
後頭葉が阻害されると・視覚障害など

運動性失語=言葉は理解できるがしゃべれない
感覚性失語=しゃべれるが、言葉を理解できない
健忘失語=しゃべれるし理解できるが、言葉を忘れてしまう
脳は壊れたら回復しないと思う人もいるようだが、回復して|喚語困難《かんごこんなん》という症状だけ残る人もいます。
失認は、視覚失認(見てもわからないが触ればわかる)、触覚失認(触ってもなにがなにやらサッパリだが、見ればわかる)など。
失行は、やりたいことをじょうずにできない。服をきちんと着れなくなる着衣失行などが有名

構音障害=発音器官に異常があるので、本人は正しく発音しているつもりでもうまくできない。
ウェルニッケ失語=言葉の理解ができなくなり、間違った言葉をしゃべるようになります。「はい、そうです。何だかわかりませんが、何にもどうにも何かそういうあります」と明瞭な口調で答える。

精神疾患

うつ病
 マラソンでいえば、いくらがんばっても足が前に出ない状態。脳自体の問題であることがわかっている。強い不安、食べられなくなったり、眠れなくなったり。思考制止が起き集中や決断ができなくなる。希死念慮は、少しよくなった回復期に出やすいと言われているので注意。どん底では死にに行く元気すらない。
躁うつ病(双極性障害)
 躁とうつを繰り返す。うつ病と別の疾患で、抗うつ薬でなく、気分安定薬という種類の薬剤で治療する。誇大的で易怒性いどせいで、活発になる。落ち着いてくれと言って落ち着くものでもない。口論は一切が無意味である。
統合失調症
以下の三つの症状が出る病気
陽性症状:幻聴や体感幻覚、被害妄想。普通の人がもちえない感覚。
陰性症状:自閉、感情が乏しくなる。普通の人が持っているものがなくなる。
認知機能障害:遂行機能障害、注意障害(余計なことが気になって目的が果たせない)、コミュニケーション能力の低下など
基本的にずっと治療が必要で、薬をやめたら60%が再発する。周囲がねぎらい気を配ることができればけっこう落ち着かせることが可能。だけど妄想を分析するのはダメです。詳しく聞くと妄想や恐怖が強くなるので。

認知症
 後天的な原因で知能が低下し、認知障害が生じるいわゆる「ボケ」
アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症と、血管性認知症がある。
オリエンテーションは見当識を高めるための効果がある。
過去を回想し、成果のあったことを認めて尊重し、自信や精神的安定につなげると効果がある。
違う!ダメ!そうじゃない!という禁止では悪化する。怒られた記憶は忘れても怒られた感情は残っているので、それが問題行動や介護拒否につながる。介護は大変で、心に余裕がなくなることはあるだろうが、本人を認め、尊重する優しい対応が認知症をやわらげる。


不安症/不安障害
 古くから「ノイローゼ」などと言われていた症状。ストレスと関係が強い。不安が異常に強すぎる病気。気持ちが落ち着かないならば、少し話を聞き、安心を与え、気持ちをリラックスさせることが大切。以下のような種類がある
 パニック障害:予告なく突然起きる動悸や呼吸困難などの発作と、原因なくそれが突然起こることの不安がみられる。発作が起こることが怖くなって何もできなくなる場合も。
 強迫性障害:繰り返し強い不安を感じて、その不安を解消するために同じ行動を繰り返す。手を洗っても洗っても……というのが代表的。
別の話題で気をそらすと、不安から少し解放されるのだ。
 全般性不安症:なにもかも不安。迂遠になる。30代での発症が多い
 心的外傷後ストレス障害PTSD:大災害や大事故などに遭遇後、何度もそのことを思い出すことで、常に気が張り詰めてしまう病気。
 社交不安症:対人恐怖症と言われたもの。注目されて恥をかくことに苦痛を感じる。人によっては動悸、吐き気、赤面などの不安反応が出ることも。
 解離性障害:記憶がない、意識を失うなどの精神機能に問題を生じるのが解離性障害。一方で不安によって身体機能に障害を生じるのが転換性障害。アルプスの少女ハイジのクララは、両親にかまってもらえないストレスで足が動かなくなるのだ。
 身体症状症:不安から頭やおなかが痛くなるが、診断で異常がみられず精神科に紹介されるパターンが多い
 心身症:ストレスで実際に体が悪くなる。胃潰瘍や高血圧など。精神科でも治療を行うが、心療内科が治療にあたる。
 


適応障害
 具体的なストレスが引き金となって、気分の落ち込みなどが起こる。
 うつ病と違って明確なストレス源がわかっている。
 が、勉強のストレスで気分の落ち込みが起こったとして、勉強から離れられるわけでもない。ので、補助的に睡眠薬や抗不安薬を与えることがある。
 
神経発達症(発達障害)
 
以下の二種類ある
 自閉スペクトラム症(ASD)
:従来の自閉症もアスペルガー症候群もすべて同じ疾患である。他人の気持ちが理解しにくく文脈からの推察ができない。ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションが苦手、ひとつのことへのこだわりが強く、オタク傾向で変化や不測の事態に弱い。
 多少根気のいる指導が必要である。言語よりも視覚の方が理解しやすいので、話して聞かせるより絵や記号で説明すると理解が早い場合がある。
 注意欠如多動症(ADHD):集中力がなく忘れっぽく片付けが苦手という不注意症状と、落ち着きがなく席を立ち、順番を待つのが苦手な多動性衝動性がある。25%のASDにADHDが合併しているという研究もある。
どちらも騒がしい場所での作業が苦手だが、ASDの場合は音の処理が苦手、ADHDの場合は気が散るので苦手。
予定リストを細かいところまで書いて計画通りにする工夫や、物の置き場を決めておくことで忘れ物をしないといった行動療法で自信とスキルを身に着けていいきます。(公正の訓練が効くという話も)

チック症
 ストレスにより、意思とは別の動きをしてしまうチック症、ビートたけしの肩すくめが有名だけど、最近はやりませんね。指摘するとそれがストレスとなりよけいにひどくなるので避ける。ADHDと合併することがある。ひどいときは向精神薬であるハロペリドールを少し使うことがあるが、ADHDの薬によってチック症が悪化することもあるようだ。

アルコール使用障害、アルコール依存症
 精神依存、身体依存を引き起こす、再発頻度の高い病気。振戦しんせんせん妄などの離脱症状などがあると対応が必要。重篤だと死亡する。
意識障害、自律神経症状、小動物幻視という虫が見える特徴的な幻視がある。がんばってお酒をやめたことで命を落とす場合があるのは避けたい。大切なのは一生お酒を飲まないこと。だけどいつのまにか飲んでしまう。なので、飲むな!と言うより、なぜ飲みたくなったのですか?などの声かけが良い。何よりも病院につながっていることが大切である。

睡眠障害
 精神疾患があれば多くの場合不眠がある。非常に多くの精神疾患で出現する精神異常のサインである。精神疾患がないのに不眠があるのが睡眠障害である。
 むずむず脚症候群:夜に足がむずむずして眠れない不眠
 睡眠相後退症候群:夜勤や夜更かしで遅寝遅起きになること
 過眠症:睡眠突発や入眠時幻覚が有名なナルコレプシーや、睡眠時無呼吸症候群が原因で日中の眠気と激しいいびきが生じるなど。

いずれにせよ、不眠は特別な症状ではない。原因の除去と日常生活の工夫でまずは改善してみよう。
厚生労働省から健康づくりのための睡眠指針2014が発表されている。睡眠12箇条をチェックしてみよう!

摂食障害

 神経性やせ症:BMI18以下になることが目安
 低い自己評価にはたらきかけることが大切。コミュニケーションがとれることで自信がついてくケースも。
 神経性過食症:過食だけでなく、太らないようにする代償行為を認める場合もある。食べ吐きをしたり、下剤を飲んだりする。
成長することへの拒否、人間関係の葛藤やストレスで発症する。イライラして「お母さんみたいになりたくないから食べない」などという患者には、自分の気持ちを表現できるようになりましたね。と認めてあげる。

パーソナリティ障害

常識的な受け止め方ができず、感情が不安定。コミュニケーションに問題があり、衝動が抑制できない。パーソナリティは人格と訳されるが「性格」という意味。以下の4項目のうち2項目以上があてはまるとパーソナリティ障害と診断する。
・認知の偏り:受け止め方、解釈が常識的でない。
・感情性:怒りや不安のコントロールがうまくいかず感情が不安定
・対人関係機能:脅したりだましたりという異常なコミュニケーションをする
・衝動の抑制:リストカット、大量服薬、薬物乱用、他者への攻撃など。

パーソナリティ障害の三つの分類
A群
風変り型パーソナリティ障害
 ・猜疑性パーソナリティ障害:被害意識つよい
 ・統合失調質(シゾイド)パーソナリティ障害:孤独で静かを好む
 ・統合失調型パーソナリティ障害:奇妙な思想とオカルティズム
B群トラブルメーカー型パーソナリティ障害
 ・反社会性パーソナリティ障害:暴力的でルール無用
 ・境界性パーソナリティ障害:情緒不安で自分や他人を傷つける
 ・演技性パーソナリティ障害:周囲の注目をあつめたくて嘘や誘惑を繰り返す
 ・自己愛性パーソナリティ障害:偉そうで自信満々でナルシスト
C群不安が強いパーソナリティ障害
 ・回避性パーソナリティ障害:評価を受けそうな場面を拒絶する
 ・依存性パーソナリティ障害:依存的で自立心がなく決断できず「冷たい」が口癖
 ・強迫性パーソナリティ障害:がんこで几帳面、柔軟性に欠け今まで通りのやりかたから変化できない

B型には過剰な期待をさせない適切な距離と、いつも変わらぬ適度な接し方が大切。
自己愛性には、負けず嫌いなのは長所なのだが、ほかの人の手柄を横取りしたり嫉妬のために足を引っ張ることもあります。仕事ではヨイショしつつ対抗心が芽生えそうな共通の話題を持たずにあまりかかわらないようにすることも考えましょう。

器質性精神障害、症状精神病
脳そのものにダメージがあって起こる精神障害を器質性精神障害という。
肝機能障害、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などの脳以外の体の症状で起こる精神障害を症状精神病と呼ぶ。

代表的な治療

環境調整

 精神医療の三本柱は心理・生物・社会的側面からの治療である。
環境調整は日々の生活を過ごしやすくするために、会社での理解、周囲への理解、申請することでお金や医療費割引などのサービスを受けられるしくみがある。通所や訪問で社会で適応できるように、訓練や練習やリハビリテーションを行うしくみがあります。

精神療法

 患者の精神にはたらきかける治療法。精神保健福祉士や臨床心理士があたる。患者によって有効な療法がかわる。有効とされる手法にもはやりすたりがあり日々変わってゆく。

支持的精神療法:多くの疾患で効く。心理士が傾聴し、受容し、共感することで回復をうながす。「あなたはそう思っているのですね」と心情を聞く。患者が話したいことを聞く。「私もそう思う」という受け答えはダメ。
精神分析療法:治療者との対話から、患者の背景を分析する。有効となるのは解離性障害や強迫症などの一部の精神疾患に限られる。統合失調症には症状を悪化させるので使用禁止。PTSDに対して行っても悪化させることになる。友達が亡くなった現実を受け入れさせるために、その事実を思い出させる。というような治療は過去のものになった。
認知行動療法:ものごとのとらえかた、解釈をバランスのいいものにして、適応しやすい行動を促していく治療法。うつ病や不安障害の治療に使われる。統合失調症や神経発達症などでも利用できる。
集団精神療法:同じ問題をかかえる人同士で話しあう。アルコール依存治療などで有効
心理教育:患者さんや家族に、疾患や治療についての知識を専門家が教えることで、自分で対処できるようにする。自分で適切に病院にかかれるようにする。

薬物療法

抗精神病薬
抗うつ薬
気分安定薬
抗不安薬、睡眠薬
電気けいれん療法
入院・強制入院
といった治療法がある

その他コラム

てんかんについて
 原因がわかるものを症候性てんかん
 原因不明なものを特発性てんかんと呼ぶ。
 意識障害があるてんかんと、意識障害がないてんかんがある。症状はけいれんだけでなく、精神症状がでるものをてんかん精神病と呼び、幻覚や妄想が出現する。てんかんが起こっている間は危ないので座ってじっとしています。という患者もいるので、みんなが突然意識を失うというものではない。治療がうまくいって、数年てんかんが出てませんという場合もある。精神科で治療されるが、ときに神経内科とリエゾン医療を行うことも。


性の問題(性別違和など)
LGBTは病気ではありません、配慮される流れになっています。

精神科の薬はクセになると言われる理由
急にやめたら離脱症状が出るから、主治医と相談しながらゆっくり減らさないといけないのだ。

心理検査の種類
・認知および知能検査には[田中・ビネー知能検査][ウェクスラー式知能検査]などがある。
・人格検査には[エゴグラム][バウムテスト][ミネソタ多重人格目録MMPI][ロールシャッハテスト]などがある。
・認知機能検査には[ハミルトンうつ病症状評価尺度HAM-D][アルツハイマー病評価尺度ADAS-cog][内田クレペリン精神検査][小児自閉症評定尺度CARS]などがある。



おわりに


まさかの一万字記事になりました。
しかし、お読みいただきありがとうございました。

現代社会で知覚されている精神疾患の全体像が、やっとつかめた気がします。

では、コンゴトモヨロシク。


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