時には時間をかけて


世の要約結論だけ大好き勢を敵に回しそうなことを
書いてしまいましたが、世の中効率最優先で
音楽もサビ以外飛ばしたり、映画や動画も早送りで
あらすじだけでいい、という人も多いようです。
私はそういうのは好きではありませんが、中には
チェックしたいアイテムが多すぎる、という忙しい
アピールをしたい人が多いんですかねえ。。。。

ビジネス文書では始めに結論を、が鉄則です。
が、注意しておきたいのは、結論と主題は、
同じ意味ではないということです。
主題は「○○について」何の話かということ。
結論は「カクカクしかじかである」と
登場人物なり筆者なりが意見を提示することです。

「この話は、これについて書いています」と言う、
主題は冒頭に提示しないと何の話かわかりません。
長い文章の場合は、初めに、とか、著者の挨拶文が
ついていることもありますね。これは必要です。

ただね。

小説なんかで、ごく短いショートショート以外は
結論は最後なんですよ。過程が大事なので。
裁判官が作成する判例も重大な判決の場合は
結論にあたる判決文は最後になります。
これも、その判決に至った過程が問われるから。

詩に至っては結論何?と言うのは別に
明示されるとも限らないじゃないですか。

文章の構成要素として「主題」と「結論」は
同じである場合も多いけれども、違う場合もある
ということを指摘したいです。ビジネス文書でも
日常的な報告や定型フォームに記入するだけ、
というのは結論から書くべきですが、例えば
何十万、何百万の提案書でいきなり結論から
入ったら、その提案は採用されないのでは?

音楽でも、結論というかその曲で最も主張したい
ことというのがどこにくるかといえばサビですね。

でもそのサビに行くまでに、情景・目線・人称など
作品のイメージを形成する「描かれるべきこと」が
たくさんあって、それを交えて物語が展開されて
最後に自分が言いたいことが出てくる、そして
一番印象付けたいところなのでリフレインもする。

一方主題はと言えば、例えばベートーヴェンの
交響曲第五番は主題を冒頭に置いています。
他の曲も主題は冒頭にあるように思います。
じゃあ、その冒頭のが結論かといえば。

そうではない。

ンジャジャジャジャーンはスタート。
私はあの曲の第4楽章まで聴いた時、すごく感動
しましたね。最後まで飛ばさないで聴いて初めて
その感動が得られる訳です。

人の話なども、ある結論はそこに至る過程を
丁寧に傾聴していかないとな〜んにも伝わらない、
せっかく語って頂いたのに、勿体無い結果に
なってしまいます。

マンガの「風雲児たち」なんか明治維新を描く
その始まりは関ヶ原の戦いですよ。でも、
そこから語り始めないと分からない部分も
確かにありましたからね。。。

さらに例えば、映画のタイトルもそうですね。
どんな映画でも、タイトルを見て内容がなんとなく
想像できるのはドラえもんの映画くらいです。
逆に、タイトルから内容が(映画の結末が)
想像できるようなもの、見たい人いるんですか?

ちなみに感想文の書き方、というサイト
今見てみましたが、文章の構成の指南の他は
メモの代わりに付箋をつけて、自分の気持ちが
動いたところを忘れないようにしましょう、と
とても真っ当なことが書かれてあって安心
しました。

付箋をつけたところから、文章にするときに
何度も削ったり新たな部分を足したりして
結構何度も読み直すことになる、と言うのは
書いてませんでしたけど。

私自身は本を読むなら
時間をかけて、最初から最後まで読み尽くす
目を通すのではなく、熟読します。
気に入った本は何十回でも読み返します。

音楽も、1回だけ、サビだけ聴くのではなく
一度全体を聞いてみて
次は詩の内容や構成に注目し
その次はメロディーとハーモニーに聞き入り
ベースとドラム、パーカッションも聴き込み、
最後に全体をもう一度じっくり聴いてみます。
無論気に入れば何度でも聴きます。

これについて、写真と動画、という
映像を取り扱う点で同じなのに
その主張の仕方が全く違うメディアがあると
自分の経験から思い至りました。

写真は、そこに移された一瞬が全てです。
それが主題であり、結論であり、そこに
全て表現されているはずです。
(機材とか技量とかの範囲内でです)

一方動画はその流れが大事です。
主題は提示されますが、結論は最後まで
見てみる必要があります。移された一瞬
ではなく、一定の時間経過によって
何がどのように変わっていったかが
大きな要素になります。この場合は
一瞬だけ見て、これが結論だといって
飛びつくのは相当危険ですね。

物事を理解するのにも、写真型か動画型か
そういう得意不得意がありそうです。

どちらにも良し悪しあります。
全部を見れば詳細までわかりますが
時間がかかるためそれができるものは
限られてしまいます。

要約、結論のみということなら膨大な
件数を見ることはできますが、重要な
部分でも見落とす可能性があります。
取捨選択でしょうが、あえて言えば
ちゃんと見る方が正解だと思います。
結論だけに飛びついても、それが
情報不足だったり間違っていたり
重要なエピソードやパーツを落としていたり
結局全部見ないとわからない、という
逆説に時間の無駄になってしまう気がします。


ま、それにね。
コーヒーでも飲みながら本を読む時間。
たまにはそういう時間も人には必要ですよ。

そういうことで。


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